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タイパ?ワークライフバランスって?~圧倒的な「量」の先に見えるもの~ 【後編】
キャリアインタビューPart 2。前回Part 1の続きをお届けします。コトハジメ編集部のメンバーでもあるKさんの仕事観について、後半はより深く迫ります。
インタビュアーは引き続き私Matsubaraです。こちらの記事も併せてどうぞ。
インタビュイー略歴
Kさん:
現在Coto 麻布校のLD(Learning Development:教務)。大学卒業後、キャリアスタートは人材派遣会社の営業職。専門学校や日本語学校、米国の日本語補習校などでの勤務の他、日本語の検定試験の作成にも携わるなど幅広い日本語教育の経験の持ち主。ご主人の転勤に伴う3度の渡米や子育てをしながら日本語教師としてのキャリアを築いてきた。
実際にCotoに入社して感じていることは?
M:いろいろな職場で働かれてきたご経験から、Cotoはどんな会社だと感じていますか?Cotoに合う人・合わない人はどんな人でしょう?
W:Cotoは「こんなのどうですか?」「あ、それいいね」「じゃ、やってみようか」という社風です。ざっくりしていますが(笑)。自ら切り拓いていきたい人は相性がいいでしょうね。どんな仕事もとりあえず挑戦してみようという精神がある方は、Cotoでは楽しく働けると思います。逆に言うと、他者から何か与えてもらうのが当たり前だと思っている人はキツイかもしれません。
あと、私は日本的でしがらみが強い職場、自由がない状態だと苦しくなってしまいます。フリーランスで働くことをずっと選んできたのもその理由です。ただ、Cotoはそういったしがらみが一切ありませんし、外国人スタッフも多いので、私には居心地がいいですね。
M:Cotoではどんなことをしていきたいですか?
W:今は、約20年の日本語教師人生の中での気づきや学んできたことを、どんどん周りの人や組織に還元していくフェーズに入っていると感じています。私は日本語教師という仕事が大好きなので、この仕事の素晴らしさ、面白さや深さを皆さんに知ってほしいと心から願っています。
それぞれの人生の中で、学生にはXX先生に出会えてよかったと思ってもらいたいし、先生方には学生からそう思ってもらえる先生になってほしいと思っています。先生方も学生の皆さんも、みんながCotoに出会えて良かったと思ってもらえるといいなと。日本語教師の仕事を心から楽しんでいる人が安心してイキイキ働ける仕組みを作っていきたいですね。
キャリアを積んでいくときに大切な考え方は?
M:日本語教師として経験が豊富なKさんに、ぜひ聞いてみたいことがあります。仕事において最も大切にしている考えはなんでしょうか?
K:ワークライフバランスが重要視されるこの時代にはまったく合っていませんが、私はいつもワークほぼ100%で働いています。ワーク100%でやってきたのは、この仕事が大好きで、楽しいものだったからだと思います。
仕事の面白さや楽しさって思いっきりやってみないとわからないと思いませんか。タイパやコスパもいいけど、時代錯誤だと言われるかもしれないけど、とにかく思いっきりやってみるといいと個人的には思います。日本語教師の場合はたくさんのレッスンと内省の繰り返し、ですかね。ちゃんと量をこなしていくと、質的な変化が起こります(この「ちゃんと」がポイントだったりしますが…本日は割愛します)。またどんな仕事でもそうですが、私はチャンスがきた時に「私、します!」と言えるような状態でありたいと思っています。いろんな仕事をやってみると、自分の“好き”や進みたい道が見えてきたりします。
自分の将来は自分の力で変えていけます。フリーランスは自分のキャリアパスを自分で切り拓いていかなければなりません。でも、それができるのがフリーランスの良さですよね。日本語教師のような仕事の場合はとくにですが、キャリアってそうやって積み上げるものだと私は思っています。
M:ワークライフバランスなんてどこ吹く風ですね(笑)
K:ええ。ちょっと横道にそれますが、Coto Forumでは「例文トレーニング」という講師向けの勉強会を定期的に開いています。短時間でたくさん例文を作り、それを考察するというものです。これを繰り返すと日本語教師としての瞬発力と思考力がつくと思っているからです。これは日本語のレッスンでとても役に立つスキルです。
みんなで試行錯誤を重ねて得た結果が一つにまとまり、そのメカニズムが説明できたときにこの上ない達成感を感じます。この瞬間、参加者の皆さんの顔がパッと明るくなるんです。これは実際に時間と脳を使ってやってみないと味わえない感覚です。この仕事は常に新しい学びが得られるので日々驚かされることばかりですが、この知的好奇心が満たされる喜びというのも日本語教師の仕事の醍醐味で、私たちを突き動かすものの一つなのではないでしょうか。
M:お話、とても共感します。効率を求めるのが悪いわけではありませんが、一見無駄に見える大量行動の中で鍛えられたスキルや思考が、そのあと大いに役立つということがありますよね。
私のコトハジメの記事作成も、お風呂に入っていてもお布団に横になっていても「うーん、あそこはカットして、この文を入れて…いやいや、そもそも切り口が…」とぐるぐる考え、フィードバックをもらっては書き直し…を繰り返しますし。
でも、そうした「タイパ?ナニソレ?」というほどの「量」がなければ、なかなか自分の成長を実感できないし、納得するものもできない。時代に逆行していると言われそうですが、私もいつがオンでいつがオフかわからない生活をしています。
W:わかります。オンとオフの切り替えって、向いている人とそうじゃない人がいると思います。私はのめり込んでしまうタイプなので、今は身体的なタフネスがほしいですね。やっぱり年齢とともに衰えが…笑。体力づくりのためにピラティスや水泳を再開したいとは思っているんですが、なかなか…
M:体力が続く限りお仕事を続けたいですか?
W:そうですね。このまま健康でずっと働き続けたいですね〜。
インタビューを終えて ~「働き方の多様性」に思うこと~
本編の方ではだいぶカットしたのですが、インタビュー中「働き方」ついて思ってきたことを語り合っています。
Kさんは、実は今回のインタビューを受けるのをずっとためらっていたと言います。なぜなら「自分のような働き方は、全然人に勧められないから」だそうです。ただ、私としてはKさんのようなタイプの人も組織にいたほうが、多様性があっていいんじゃないかな、と思ったのでした。
Kさんは「今の私はこのくらいやらないと満足できないから望んでそういう働き方をしているだけ。そして今は私の周りの環境や自分の健康に不安がない状態だからある種振り切った働き方ができるだけ。取り巻く環境や仕事へのスタンスは皆同じだとは全く思わないから、人それぞれでいいんだと思うけどね」と言っていました。
私自身も「ワークとライフの境目がわからん。休むとヤサグレるからずっとオンでいいや」というタイプなので、近年の「ワークライフバランス」という名の働き方を制限するかのような風潮には、ちょっと違和感を覚えておりました。
うーん、働き方の多様性とは、何なのでしょうね…。
それは単に残業はしないとか、プライベートを大切にするということではないように思います。それでは一方の「ライフ」しか見ていないのではないか、と。
働くことに情熱を持っている人が、その能力をいかんなく発揮し社会に還元できたり、人生のたくさん働ける時期において、思う存分働ける環境があったりすることじゃないかな、と個人的には思うところです。
ただ、昨今の世の中の多くの人にはあまり歓迎されない考え方かもしれませんね(苦笑)
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