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助詞「に」と「で」の違いがわからん!
「おはよう、元気ないね」「うーん、いつも電車に寝てるんだけど・・・」???『イメージでわかる!日本語の助詞』より
また以前、講師のお一人が言っていた学習者の誤用はこちら。「駅でエレベーターを作ってほしいです」???
「電車に寝てるって・・・どういうこと?」「駅でって、駅員さんがエレベーターをトンテンカンテン作るってこと?」いやあ、想像するとおもしろすぎます。助詞がちょっと違うだけで、こんなことになっちゃうのですね〜。場所+「で」と頭に刷り込まれている初級の学習者は少なくありません。
「うちにばかりいないで、公園で遊んだら?」
こちらはよく聞くお母さんのセリフ。でも、なぜ「に」、なぜ「で」と聞かれるとなかなか説明が難しいですね。助詞は学習者にも先生にもよく質問されることの一つ。本日は場所を表す助詞の「に」と「で」にフォーカスしてみようと思います。
(場所)に存在する VS (場所)で動作する
「(場所)に」の(場所)は、「うちに猫がいます」「NYに自由の女神があります」のような”存在する場所”のことです。その場所にくっついているイメージです。
「山の中に一人の赤鬼が住んでいました」赤鬼が存在する場所が「山の中」ということです。(『泣いた赤鬼』より)
一方の「(場所)で」の(場所)。「公園で遊んでおいで!」「最近、うちで仕事をする人が多くなりました」で、「公園」や「うち」は”動作をする場所”です。
ダメ押しでもう一つ。次の2文を見てください。助詞以外は同じですが、、、
- 森に家を建てた・・・家が建てられた(存在している)場所は森
- 森で家を建てた・・・建てるという作業が行われた(動作をしている)のが森であって、森に家があるとは限らない。
ということです。
ちょっとトリッキーなのが「〇○大学でJLPTがあります」みたいな存在動詞を使った文。でも、これはあることを行うために利用される場所なので「で」を使います。
この「ある」「いる」の動詞に関しては、
- 〇○大学にきれいな図書館があります。
- 〇○大学でJLPTがありました。
「が」格の名詞がもの(図書館、カフェテリア、トイレ、大講堂など)ではなく、状況(試験、卒業式、文化祭などのイベントや事故や火事などの出来事)だと「で」になるという言い方でも説明ができます。
ちなみに、『イメージでわかる!日本語の助詞』では「に」は動かないイメージ(写真のイメージ)で、「で」は動くイメージ(動画のイメージ)というグループ分けをしていました。この方法だと学習者は簡単にグループ分けができそうですね。ここから助詞のイメージを掴んでいってもらえるかもしれません。
「で」と「に」を使った例文を挙げてみよう!
「で」=動作が行われることろ
<例文>
- 最近、うちで仕事をしています。
- 週末、渋谷で映画を見ます。
- 家でごろごろします。
- 図書館で勉強します。
- 公園で遊ぶ。
- 〇〇大学でJLPTが行われます。
「に」=存在しているところ
<例文>
- うちに猫がいます。
- ここに座ってもいいですか。
- バスに乗って駅まで行きます。
- お風呂に入ります。
- ホテルに泊まります。
- ここに駐車しないでください。
イメージが伝わらない場合は、「座る」「泊まる」「入る」「乗る」などの動詞と一緒に使われるという紹介方法でもはじめはいいかもしれません。(説明のしすぎは混乱を招くこともあるので)
ちょっと視点を変えて・・・
あるクラスでは「植樹祭」に参加される学習者がいたそうですが、どちらが「植樹祭」の描写として適切でしょうか。
- 山に木を植える。
- 山で木を植える。
木があるところがわかれば、自ずとどちらかわかります。でもまだ、「で」と「に」でさまよっている学習者がいたら、ちょっと視点を変えて「に」は「存在」の機能のほかに、「動作の終点・着地点、destination」の意味もあるよ、ということを例文で見せると良いかもしれません。植樹祭で植えた木をどこかに持っていくことはありませんからね。
植樹祭の例は少し難しいかもしれませんが、例えば、「4月から東京に住みます」は、これから東京にしばらくいるでしょうからとりあえず着地点になります。同様に「ホテルに泊まる」は、ホテルはその日の終点で、朝までそこから動きません。「車をここに止める」は駐車するという意味になります。「車をここで止める」も文として間違ってはいませんが、「ブレーキを踏んで停車する」という動作のイメージになります。いかがでしょうか。
本日の参考文献
『イメージでわかる!日本語の助詞』(アスク)2022
こんな本を待っていました。アスクさんからCoto Acedemyに届いており、手にとって感動!これさえあれば鬼に金棒!!助詞の持つイメージが例文とイラスト、動画配信で学べます。先生にも学習者にもおすすめの1冊です。
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