日本語教師のキモ!例文作成

日本語教師のキモ!例文作成

日本語のレッスンでは例文を示す機会が多々あります。経験の浅い日本語教師の中には例文の準備が苦手という方、少なくないと思います。今回は日本語教師のキモ、例文作成について考えていきます。

 

日本語教師はレッスン前の準備が大切!

教師が教科書だけを参考にしたり、頭の中で例文や会話文を作ったりすると、実生活では使わないような不自然な例を作ってしまうことがあります。例えば、「〜てしまう」でよくテキストに出てくる例文は「この雑誌は全部読んでしまいました」(みんなの日本語29課)ですが、正直あまり使用頻度は高くないですね。また、一つの文型で意味がいくつかある場合、既習の語彙を使った例文をとっさに作るのは非常の難しいです。

そこで、大切なのが授業前のしっかりした準備です!

今の時代、「〜てしまう・文型・教え方」などとキーワードを入れれば、インターネットなどで簡単に例文を検索することができます。ただ、出てきた例文をそのまま使うのではなく、学習者によってちょっと工夫を加えることがポイントです。学習者によって響く・インパクトのある例文はそれぞれ違いますからね。覚えなければいけない文型は山ほどありますから、できるだけ記憶に残る例文を見せられるといいですね。

 

例文作成&分析をしてみよう

Cotoにはオンライン上に『例文トレーニングの部屋』という全ての講師が書き込めるページがあります。

『例文トレーニングの部屋』では語彙のコントロールはしていません。ただ思いついた時に、思いついたものをボソッとつぶやき、ストックしていくという方式を取っています。溜まってくると、自然と分析したくなるのは日本語教師のサガでしょうか。はい、それでいいんです!!!

今回はここから「〜てしまう」をピックアップし、例文作成から文型分析について考えていきたいと思います。

たとえば・・・「〜てしまう」

日本語の初級文法の「〜てしまう」では2つの用法が紹介されています。一つは完了、もう一つは残念/後悔です。

①完了:動作の完了を表し、全部終わったという意味

<例文>

  • Netflixで話題のドラマシリーズ、一晩で全部見てしまった。
  • ちょっとだけって言いながら、ポテチを1袋全部食べてしまった。
  • 早く出ないと、バス行っちゃうよ〜。急ぎなさーい!
  • 片付けるから、早く食べちゃって・・・
  • 嫌になる前に、宿題しちゃおう。

②残念/後悔:話し手の後悔・残念な気持ちを表す(文法書によっては「非意図」)

<例文>

  • 電車でぐうぐう寝てしまい、降りる駅を寝過ごしてしまった。
  • 前の晩に炊飯器のタイマーをセットするのを忘れてしまった。
  • 猫におねだりされて、またご飯をあげてしまった。ダイエット中なのに・・・
  • 火が強すぎて、焦がしてしまった。あ〜あ、今晩、何食べよう。
  • ダメだと思いながら、子供にうるさく言ってしまう。
  • クラスで変なことを言ってしまった。次のレッスンで訂正しようと思ったけど、言うのを忘れちゃった・・・
  • 毎週楽しみにしていたドラマが終わっちゃった。
  • ショック・・・せっかく書いたブログ記事、消えちゃった。泣
  • あれ、スマホがない。どこかで落としちゃったかも。
  • クラリネットをこわしちゃった(童謡♪)

③その他(未分類)

<例文>

  • 愛しちゃったのよ、らららんらん♪
  • いつも同じようなタイプの人を好きになってしまう。そしてフラれてしまう私・・・
  • イメージ通りのスカートに出逢ってしまった。だから迷わず買ってしまった。
  • あ、私、わかっちゃったかも!
  • 安いから、全部まとめて大人買いしちゃう?
  • 今日は炒めないで炊飯器で炊いちゃいます!(クッキングチャンネルより)
  • やっちゃえNISSAN (TV CMより)

 

ここで紹介した例文はほんの一部です。例文を見ていると、どんな人が作っているかわかりますね。とってもリアルでなんとも愛しい例文たちです(笑)。それはさておき・・・例文から傾向を分析してみましょう。

①完了:例文があまり出ませんでした。ここから「ています」は完了の用法が少ないことがわかります。

②残念/後悔:数の上では圧倒的に多く、「終わる」「忘れる」「なくなる」「消える」など消失の概念を表す動詞との組み合わせがたくさん出てきました。無意識動詞との相性が良いことがわかります。そして、文末はほぼ「〜てしまった」で過去形です。

③その他:注目すべきはこの未分類の③です。①②とは毛色が違いますね。「愛しちゃった」「好きになっちゃった」ことで望ましくない結果を引き起こすと考えれば、②に分類されるのかもしれません。でも、それ以外はなんでしょう。グレーな感じです。

このように、完了・残念/後悔以外の「てしまう」が結構あるのです。この文法項目は初級で提出するものですから、レッスンの際は、このグレーゾーンの例文を間違えて紹介しないよう気をつけなければなりません。これらを踏まえて、使用頻度の高い語彙を入れて、学習者が日常的に使える例文を作るといいでしょう。

 

コーパス・文法コロケーション関連書籍、webサイト

たくさん例文をあげていくことで、使用する場面、一緒に使う言葉の傾向が見えてきます。「この例文を出したら学習者が混乱してしまう」というものも見えてきます。これらの作業はある程度自分でやっていかないと気が付かないことで、時間がかかります。日頃から例文をストックしておけば、あとは分析して、導入や会話に適した文を作るだけです。「例文を出して考察する」を繰り返すことで、自分で考える力は確実に身に付きます。慣れれば、処理スピードも上がってきます!日本語教師力、アップすること間違いなしです!!

昨今はプライベートレッスンやオンラインレッスンなど一人でお仕事をされている方も多いですね。ときに一人で考えるのは難しいということもあります、そんな時にはコーパスを使用してみるのも一つの方法です。

コーパスとは「実際に使われた言語のデータを大量に集めた電子的なデータベース」のことです。よく使われているwebサイトが国立国語研究所が作成した『現代日本語書き言葉均衡コーパス』です。また、初級文型であれば『日本語教育のための文法コロケーションハンドブック』、中級以上であれば『コーパスから始まる例文作り』(共に中俣尚己著 くろしお出版)などもおすすめです。これらを使うことによって、実際によく使われるパターンを見つけ出すことができます。ぜひ例文作成のヒントにしてみてください!

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