中級文法コラム10.「ところ」シリーズ:「ところを」「ところに」「ところで」
今回は「ところ」シリーズを取り上げたいと思います。
- 盗みに入ったところを防犯カメラに撮られていたらしい。
- 盗んだ金を持ってドアを出たところに警察が来た。
- 警察に捕まったところで、この計画は水の泡と化した。
「ところを」「ところに」「ところで」、助詞が変わるだけで微妙に意味が変わってしまってややこしいですね。学生さんは「ところ」と聞くと「=場所」と考えてしまいがちですが、「ところ」には場所以外の意味があります。
いったいどんな違いがあるのでしょうか。ちょっと見てみましょう。
ところを
<例文>
- 盗みに入ったところを防犯カメラに撮られていたらしい。
- 彼が知らない女とデートしているところを見てしまった。
- クリスマスプレゼントを隠しているところを息子に見つかってしまった。
- 猫がトイレをしているところを邪魔してはいけません。
- 危ないところを助けていただき、ありがとうございました。
「まさに、その現場を!」 というような場面でしょうか。「見てしまった」とか、「見つかった」とかネガティブな場面だけかと思いましたが、最後の文のように「ありがとう」でも使えますね。
ところに
<例文>
- 盗んだ金を持ってドアを出たところに警察が来た。
- 帰宅したところに宅配便屋さんが荷物を持ってきた。
- 部長はケチかケチじゃないかと話しているところに部長が入って来た。
- 猫がトイレをしているところに、息子がおもちゃを投げつけた。
- ちょうど、その場所を通り過ぎたところに、上から植木鉢が落ちてきた。
何かをした/している時と同じタイミングで、他のことが起こる。
「たところに」を使うと、~した、~が終わった「瞬間」に、という感じがしますね。
「ているところに」を使うと、その行為をしている間に、と多少時間の幅が感じられます。
どちらも、「ちょうど」をつけると、タイミングが同じというニュアンスが強まるでしょうか。そして、後ろには意外なこと、予想外なことが起きているようですね。
ところで
<例文>
- 警察に捕まったところで、この計画は水の泡と化した。
- では、P180の問題を解いたところで、今日の授業は終わりたいと思います。
- では、両者が納得したところで、和解ということにしましょう。
- このドラマ、いつも気になるところで次回に続く。
- アンケートの集計ができたところで、結果を発表します。
「ところで」は「ここまで~して、結果が出る。ケリがつく」といった感じでしょうか。
「~ということにする」「発表する」が後ろに来ているので、意識的な行為や判断が続くようですね。そして、「気になるところで次回に続く」も使えているので、自分の意思とは関係ない出来事にも使えていますね。
まとめ「ところを」「ところに」「ところで」
ところを:まさにその現場を!
ところに:ちょうどその時、何かが起こる。
ところで:じゃ、ここまでで一旦終わり。
こんな感じで覚えておくと、学生に質問されたとき思い出しやすいのではないかと思います。
ちなみに、「場所」シリーズでいくと、
・あのポストのあるところを右に曲がります。
▶︎この「を」は通過を表す助詞ですね。角を曲がる、橋を渡る、海を越える、などなど。
・右に曲がったところに黒いビルがあります。
▶︎~が、ある/いる場所をピンポイントで説明する時に使いますね。
・その黒いビルに入ったところで待っていてください。
▶︎行為をする場所をピンポイントで説明する時に使います。
そして、「ところで」は
・最近天気が悪いですね。ところで、この間の返事、どうなりました?
のように、話題を変えるときの接続詞として使いますね。
同じ「ところ」でもこんなにたくさん意味・用法の違いがあるんですね。学生さんがなんだかかわいそうに思えてきました・・・。先生方も、学習者のみなさんに教える前に、もう一度ご自身で例文を作ってみたりしながら整理してみてください。
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