「は」と「が」の使い分け

「は」と「が」の使い分け

「は」と「が」って何が違うんですか?日本語を教えていると、学習者から必ずと言っていいほど聞かれる質問ですね。そして説明するのが難しい質問だったりします。

「は」も「が」もどちらも助詞なのはみなさんご存知のとおり。でも、実は助詞の種類が違うのです。「が」は格助詞、「は」はとりたて助詞。まったく別のものです。

ちなみに、格助詞というのは、名詞と動詞などの述語を結びつける働きがある助詞で、「が、を、に、へ、で、と、から、まで、より」の9個。

でもって、とりたて助詞。とりたて助詞には事柄に対する話し手の捉え方を表す機能があります。残念な気持ちを表す「しか」や驚きを表す「も」などもそうです。

とはいっても、学習者に「これは格助詞です」とか「とりたて助詞です」なんて言う説明はできません。なので、出てきた時がチャンス!こんなときは「が」を使うんだよ〜と例文をいくつかあげて、ルールを伝えると良いかもしれません。

「が」

<ルール1>

「が」の前には疑問詞がくる。

例1 誰がこの本を書いたのですか。

<ルール2>

新情報(聞き手にとってはじめて出てくる情報・話し始め)の「が」vs旧情報「は」

日本語教育で「は」と「が」の勉強をするときに、よく『桃太郎』のおなはしを使います。

例2 昔々、あるところにおじいさんとおばあさん(が)住んでいました。ある日、おじいさん(は)山へ芝刈りに、おばあさん(は)川へ洗濯に行きました。

<ルール3>

従属節[  ]の中では「が」

 ※1ただし、「けど」「けれど」「が」の節では「は」(例文9)

例3 スミスさんが話す日本語はとてもきれいだ。

例4 この仕事が終わったら、お茶でも飲もう。

例5 山田さんが来るまで、ここで待ってもいいですか。

 ※2ただし、主節と従属節の主語が同じ場合は「は」(例7)

「は」

一般に文の場合は「は」を使います。

1.述語が形容詞、名詞のとき  2.主語が「私」「あなた」のとき

例6 私は元気です。

「彼女」は主節と従属節の主語

例7 彼女は来ると、急に泣き出した。

否定文のとき

例8 私は知りません。

「けど」「けれど」「が」の節

例9 姉は背が高いが、私は低い。

例外

五感で感じたことを伝えるとき

例10 来て、海が見えるよ!風が冷たいね。

ニュースなどで客観的に物事を伝えるとき

例11 昨日、高速道路で事故がありました。

AとBを比較するとき

例12 私のほうが(あなたより)正しい。

述語が「重要だ、大事だ、大切だ」などのとき

例13 第一印象を良くすることは重要だ

「はーが」文:同じ文中に「は」と「が」が出てくる場合

例14 象は鼻が長い。兄は背が高い。

 

「は」と「が」は文の中で置き換えられることが多く、一見違いがないように感じられます。なので、学習者は「は」と「が」の違いについて、いったいどうなっているの???となるのでしょうね。違いについて全てを説明する必要は全くありません。逆に混乱を招いてしまいますので、あまり(いや、まったく)おすすめしません。

ただ、よく質問されるのはたしか。学習者に質問されたときのために「は」と「が」を一度自分なりにまとめておきましょう。学習者のレベルに応じて、適切な例文を提示しながら、基本的な使い分けが伝えられると良いですね。

 

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