【日本語教師のキャリア】自分に合う職場・働き方を考える
「なんだか苦しい」の正体は?
「あんなに憧れてなった日本語教師。でも、自分には合っていないのかもしれない……」
「仕事そのものに不満があるわけではないのに、以前のように楽しく感じられない……」
そんなふうに感じたことはありませんか?
日本語教師の仕事は、勤務先によって仕事内容も働き方も大きく異なります。
大学、日本語学校、専門学校、企業研修、オンラインレッスンなど、さまざまな選択肢があります。
同じ「日本語を教える仕事」であっても、学校や会社が変われば、職場の雰囲気や仕事の進め方、教師に求められることはまったく違います。
だからこそ、仕事を選ぶときには、給与や勤務時間などの「条件」だけではなく、
「自分はどんな環境なら、自分らしく働けるのか」
という視点も大切なのではないでしょうか。
今回は、日本語教師でもあり、キャリアコンサルタントでもある私が、「カルチャーフィット」と「キャリアアンカー」という観点から、自分に合う働き方について考えてみたいと思います。
同じ仕事内容でも、こんなに違う!
私自身、「環境によって、仕事の楽しさはこんなに変わるのか」と感じる経験をしてきました。
私はライターとしても仕事をしており、これまで複数の会社と契約したことがあります。
会社によって、仕事の進め方は本当にさまざまでした。
ある会社では、記事のテーマから、どんな視点で書くか、どんな構成にするか、どのような結論にするかまで、かなりの部分をライターに任せてもらえました。
もちろん、会社の方針と大きく異なる内容を書くことはできません。
それでも、
「このテーマなら、私はこう考える」
「こういうことを読者に伝えたい」
と、自分で考え、自分の言葉で表現することができたのです。
自分の頭で考え、自分なりの答えを出し、それを自分の言葉で表現する。
その自由さに、私は大きなやりがいを感じていました。
現在、私はCotoでも日本語教師としてだけでなく、ライターとしても、こうして「コトハジメ」の記事を書く仕事をしています。
ここでも、記事のテーマや書き方については、基本的にライターに任せてもらえます。
私は、この自由さがとても自分に合っていると感じています。
一方で、以前契約していたある会社では、記事の内容について非常に細かな指示がありました。
「何を書くか」も決められていて、さらに「どのような結論にするか」まで決まっている。
顔も知らない人から、チャットで文章の「てにをは」や微妙な表現などについて、細かな修正指示が飛んでくる日々……。
さらに、自分の考えや価値観とは異なることを書かなければならないこともありました。
もちろん、仕事ですから、自分の好きなことだけを書くわけにはいきません。
それでも、私にとってはとても苦しい仕事でした。
「心を無にして、自分を殺して書いている」
そんな感覚になってしまったのです。
もちろん、細かな指示があることや、一定のルールに沿って仕事をすること、自分で創意工夫をするよりも決められたことを正確に行うことが合っている人もいるでしょう。
どちらが良い、悪いということではありません。
ただ、私の場合は違いました。
同じ「ライター」という仕事でも、環境が変わるだけで、これほど感じ方が変わる。
この経験から、私は改めて、
「仕事内容だけでなく、どんな環境で働くかも大切なのだ」
と感じました。
そして、日本語教師も実は同じ
「同じ日本語を教える仕事なのに、学校が違うとこんなに文化が違うのか」
このように驚いた経験がある方もいるのではないでしょうか。
授業の進め方。
教師に求められる役割。
他の先生や学生との関わり方。
仕事をどこまで自分で決められるのか。
新しいことを提案できるのか。
一つひとつの違いは小さく見えても、それが積み重なると、働くときの感覚は大きく変わります。
同じ「日本語教師」でも、
「この職場では、自分らしく働ける」
と感じる人もいれば、
「なぜか息苦しい」
と感じる人もいるでしょう。
そこで考えてみたいのが、「カルチャーフィット」という考え方です。
「カルチャーフィット」という考え方
カルチャーフィットとは、簡単に言えば、自分の価値観や仕事に対する考え方と、会社や組織の文化との相性のことです。
例えば、
「自分で考えて仕事を進めたい」
という人もいれば、
「ある程度決められたルールの中で、安定して仕事をしたい」
という人もいます。
「一人で集中して仕事をしたい」
という人もいれば、
「周りの人と相談しながら仕事をしたい」
という人もいるでしょう。
どちらが正しいという話ではありません。
大切なのは、
「自分にとって何が心地よく、何が苦痛なのか」
を知ることです。
そして、自分に合わない環境にいるからといって、その人の能力が低いとは限りません。
「能力の問題」ではなく、単純に相性の問題かもしれないのです。
ちなみに、私がCotoに入りたての頃に、Cotoのカルチャーについて書いた記事があります。よろしければ、こちらもご覧ください。
日本語教師1年生による「cotoに入ってビックリしたこと3選」(前編)
日本語教師1年生による「cotoに入ってビックリしたこと3選」(後編)
「何が苦しいか」を考えると、自分の価値観が見えてくる
では、自分がどんな環境に合うのかを知るには、どうしたらいいのでしょうか。
そのヒントになるのが、
「自分は仕事をするうえで、何を大切にしているのか」
を知ることです。
ここで参考になるのが、キャリアコンサルティングの分野で知られている「キャリアアンカー」という考え方です。
キャリアアンカーとは、簡単に言えば、仕事をするうえで「これだけは大切にしたい」と感じる、自分のキャリアにおける価値観や軸のことです。
面白いのは、自分のキャリアアンカーは、いつも意識しているわけではないということです。
自分に合った環境で、自分らしく働けているときには、
「私は自由裁量を大切にしています」
などと、わざわざ考えることはありません。
ところが、
「提案してもまったく通らない」
「自分の意見を表現できない」
「仕事に自由さや裁量がほしいのに、決められた通りに動くことが求められる」
など、自分にとって大切なものが満たされない環境に置かれると、急に苦しさを感じることがあります。
だからこそ、
「自分は、仕事の何に苦しさを感じているのだろう?」
と考えることが、自分のキャリアアンカーを知るヒントになることがあります。
「日本語教師を辞めたい」のではないのかもしれない
例えば、
「もう日本語教師を辞めようかな」
と思ったとします。
でも、その前に少し立ち止まってみてもいいかもしれません。
本当に、日本語を教えることそのものを辞めたいのでしょうか。
それとも、
「授業の自由度が低いことがつらい」
「職場の人間関係が合わない」
「自分の意見を出せないことが苦しい」
「もっと新しいことに挑戦したい」
など、今の環境の一部分が合っていないだけなのかもしれません。
また、
「日本語教師を続けたいけれど、今の働き方では不安」
という人もいるでしょう。
そんなときも、すぐに答えを出す必要はありません。
まず、
「私は日本語教師の仕事の、どんなところが好きなんだろう?」
「どんなときに仕事が楽しいと感じるんだろう?」
「逆に、何が続くと苦しくなるんだろう?」
と考えてみる。
それだけでも、自分の現在地が少し見えてくるかもしれません。
「条件がいい=自分に合う」とは限らない
仕事を考えるとき、私たちはどうしても目に見える条件に注目します。
給与。
勤務時間。
休日。
通勤時間。
雇用形態。
もちろん、どれも大切です。
しかし、条件が良いからといって、必ずしも自分に合う職場とは限りません。
だからこそ、仕事を考えるときには、
「何を得られるか」だけでなく、「どんな自分で働けるか」
という視点も持っておきたいと思います。
「自由に働きたい」という人が正しいわけでもありません。
「安定した環境で働きたい」という人が正しいわけでもありません。
「人と関わりながら働きたい」という人もいれば、「一人で専門性を高めたい」という人もいます。
キャリアアンカーに、正解も不正解もありません。
大切なのは、自分にとって何が大切なのかを知ることです。
「変える」だけがキャリアではない
登録日本語教員の試験などをきっかけに、これからの働き方について考える人もいるかもしれません。
「せっかく資格を取るのだから、新しい環境で働いてみよう」
そう考えるのも、一つの選択肢です。
でも、環境を変えることだけがキャリアを考えることではありません。
今の職場で、自分に合っているところを改めて見つける。
今の働き方の中で、自分が大切にしたいことを少し変えてみる。
新しい仕事を一つ加えてみる。
あるいは、
「今の環境が自分に合っている」
と再確認する。
それも、立派なキャリア選択です。
大切なのは、周りがどうしているかではなく、
「私は、どんな働き方をしたいのだろう?」
と、自分自身に問いかけてみることなのではないでしょうか。
まとめ――「自分らしく働けているか」を、ときどき確認する
日本語教師という仕事は、同じ「日本語を教える仕事」でも、働く場所によって本当にさまざまです。
だからこそ、職場を選ぶときだけではなく、今の仕事を続けていくときにも、ときどき自分の立ち位置を確認してみる。
「私は今、どんな環境で、どんな自分として働いているんだろう?」
そして、
「私は、この環境で自分らしく働けているだろうか?」
そんな問いを持つだけでも、自分のキャリアについて見えてくるものがあるかもしれません。
キャリアに、正解はありません。
「今の場所が自分に合っている」と気づくことも、
「少し働き方を変えてみよう」と考えることも、
どちらも自分のキャリアを大切にするための選択です。
大切なのは、周りの人の働き方ではなく、
「自分にとって心地よく、自分らしくいられる働き方とは何なのか」を、ときどき立ち止まって考えてみること。
日本語教師として、これからも長く働いていくために。
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