英語訳が難しい日本語語彙:「工夫」って…なに?

「工夫」の訳語、ついに現る?!

「工夫」って…なに?

日本語と英語、1対1の対訳がつけにくい語彙はたくさんあるかと思いますが、その最たる例としてコトハジメでもしばしばとり挙げているのが「工夫」という言葉です。(⇒コチラ
たしかに、英語ネイティブの上級学習者に聞いても「そのものズバリ!という英訳はなさそうだ」という反応が多く、あえていうなら、ある人は「”well-prepared”, “well-considered”みたいなこと」、また最近担当したある学生からは「僕は”effort(s)”と、理解している!」というなかなか新しい説も伺ったりしました。

「工夫」を工夫して説明してみる

以前、cotoの先生方からも「工夫」を対訳(英語)を使わずに日本語だけでどう説明しているか、というお知恵を拝借したことがあります。例えば「ジャムのふたが固くて開かない(状況)→なら、開けるために、どうする?」として「手で空ける」以外の方法をいくつかフィジカルに提示(強くグリップできるようにタオルをはさむとか、蓋をたたいてみるとか)することで説明を試みているというようなご意見もいただきました。
また、あえて言葉(日本語)だけで説明するとするなら、「工夫」はgoal(この場合は「蓋をあける」)を達成するための、アプローチ(やり方・方法)という説明も可能かなとは思います。

「工夫」の訳語、ついに現る(か!?)

以上のように、「工夫」は、日本語教師にとっては、非常に悩ましい語彙なんですが、わたくし最近、ふとこれってまあまあ対訳として使えるんじゃないか?という言葉を発見したのです(前置きが長くてすみません)。それは、数年前から巷(とりわけsns界隈?)でよく聞く、「ライフハック lifehack」という言葉。
「ライフハック」とは、みなさんもご存じのとおり、「雪のときに滑らないよう靴底にガムテープを貼っておく」とか「ゆでたまごの殻を上手に剥くには?」と言った類の、生活を便利にするための小さな知恵、裏技的なものです。
lifehackという言葉は、もともと情報技術系の世界から出てきたことばで、仕事の情報処理能力や生産性を高めるための方法やストラテジーを意味します。そこから派生したので、 lifehack=日常生活の利便性を高める技術として、英語話者の世界でも一般的に使われているのか、学習者の理解にどこまで有効なのか、ちょっと微妙なところではありますが、もし次に「工夫」という言葉を教えるときがきたら、ちょっと試してみようかなとは思っています。

「工夫」は「努力(すること)」なのか?

ところで、この記事の最初に「工夫」→effort(s)と考えている学生がいると言いました。私としてはそれを聞いたとき、初めは「え、『努力』?」「『工夫』ってそこまで大層なことでもないような??」と、正直ピンと来ていなかったのですが、よくよく考えると、私たち日本人は、せまい国土のせまいスペースに暮らし、その限られた空間の中で、涙ぐましい「努力effort(s)」をもって、いかに省スペースで、快適な暮らしができるか「工夫」に余念がない人たちゆえ、「工夫=effort(s)」という対訳もアリなのかも…と思い始めています。

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