日本について外国人に聞かれたら? ー日本の教育事情(小学校〜高校)ー

日本について外国人に聞かれたら? ー日本の教育事情(小学校〜高校)ー

 

今回の『日本について外国人に聞かれたら?』では日本の教育事情について書いてみたいと思います。

昨今、日本で生活する外国人が増えています。お子さんを日本の学校に通わせる場合、また日本で今後子育てをしていく場合、教育というのはとても大きなテーマになります。

 

世界には国によっていろんな教育システムがあり、それぞれ特徴があります。日本の教育についても賛否両論いろんな声を聞きます。

一つの特徴も視点を変えたり、違う価値観のもとではよくも悪くも映るものです。
またある程度までは良かった特徴も、程度があがっていくと次第に逆効果になることもあります。

このような前提に立って、今回は日本の教育を客観的に見て考えてみたいと思います。

日本の教育制度は “6ー3ー3ー4制”

日本の教育年度は4月から3月までの1年間です。
4月2日生まれから翌4月1日に生まれた人までが同じ学年として教育を受けます。

日本の小中学校

小学校は満6歳になる年から12歳になる年までの6年間。中学校はその後の3年間。この9年間が義務教育期間です。公立の小中学校は市区町村により運営されています。

教科書は文部省の検定済みの教科書から、それぞれの学校を運営する自治体の教育委員会が選定しています。教科書の出版は民間の出版社が行っています。

義務教育の9年間は、文科省が設置した学習指導要領により、私立・公立ともに学習すべき項目や時間数は決められています。

日本の高校

高校は義務教育ではありませんが、現在の高校進学率は97%で非常に高いと言えるでしょう。

公立高校は都道府県によって運営されることが多いです。学区制といって、自分の住んでいる住所によって受けられる高校がきまっている県もありますが、学区制が完全になくなって都内、県内どこの高校でも受けられる、という都道府県もあります。

私立、公立いずれの場合でも高校に入るためには受験があります。それぞれの高校にはいる学力は偏差値という値で表され、それを元に志望校の目安を決めるのが一般的です。

公立高校の受験は、内申書という中学校での成績が記載された書類の内容と、受験の結果によって合否が決められます。

大学進学率も上昇傾向にあり、50ー60%の間で推移しています。
国公立大学生が39万2千人、私立大学生が 105 万 6 千人(195.8%)です。国公立進学者に対して、私立が倍以上となっています。
[参考]旺文社 教育情報センター資料

 

日本の教育で大切にしていること

落ちこぼれを作らない義務教育

日本の教育の基本は「平等」。誰にでも等しく教育の機会が与えられるというのが特徴です。飛び級はなく、また留年という概念もありません。

反復・習慣づけを重視

特に児童期においては、宿題や学習内容も「クリエイティビティや創造力を育む」というよりも「暗記や反復練習で基本的な学力を瞬発的に発揮できる」ようなものに重点を置いているのが特徴です。

中学時の世界学力テストでは国際平均を上回る結果を出しています。一方で、高い順位を保った学力調査に対し、学習意欲を問う調査では国際平均を下回る結果になっています。

[参考]『子供たちの現状』 文部科学省のHPより

全員参加の当番制・担当制

日本の学校では当番制や、係、委員会など基本が全員参加で団体の運営に対して責任を持つということを経験します。

掃除についてはよく特徴として挙げられていますが、他にも日直、係活動や、委員会活動など、全員が平等に責任をもったり、全員が自分の興味ややりたいことに合わせて貢献するような仕組みが多く見られます。

 

学校行事

祭りが好きな日本人の特性は学校行事にもあらわれています。

運動会や季節のイベント時には、授業時間をさいて皆で練習をしたり準備をしたりして当日に備えます。

文化祭などでは1〜2日のハレの日に合わせてたくさんのものづくり、演奏会や発表などの計画を立てることを楽しみます。

「協力して何かを作り上げるプロセスを楽しむ」という経験も学校時代から育まれているように思います。

 

まとめ

上記全ての特徴はすべてどの視点でみるかによって良くも悪くも映ります。そして、それぞれは一定の効果もありますが、行き過ぎれば逆効果になることもあります。

日本人の中には、外圧で動くということが習慣化しすぎて、「自分のすることに目的を見出せない」とか、「無意識に他者に目標設定や動機付けを委ねてしまう」とか、「外圧がないと動けない」などというパターンからストレスに陥ってしまう人もいます。

また、日本の学校教育は「個性を伸ばす教育」はされているとは言い難い現状があります。ただ、「相手の気持ちを考える」、「人に迷惑をかけない」という基本的な姿勢は家庭でも学校でも繰り返し教えられています。それが公の場所や他者への配慮が当たり前にできる治安のよい安心してくらせる社会環境を産んでいるのではないかと思います。

「団体行動の中で学ぶ」ということは、全体効率を高めることよりも、全員が参加し、それぞれの責務をおうことではないかと思います。どこに行っても「ある程度平等で高いサービスが受けられる」という安心安全の社会環境は、このような教育を経て作り上げられているのではないでしょうか。

そして、もう一つ。日本の教育は「知識偏重の詰め込み教育」で「クリエイティビティが育たない」と語られることが度々あります。しかし、実際には日本のアニメやゲームのストーリーの奥深さは間違いなく世界トップレベルと言えるでしょう。また、理系の基礎研究においてもとてもクリエイティブな実績をあげています。

これらは「コツコツ続ける習慣」+「効率や経済的価値に過度に縛られず自由に時間を使うこと」が許される環境であったからこその結果ではないかと思います。

季節の移り変わりを楽しみ、コツコツ学び働く習慣がついているということ自体は健全な人生の基礎と言えるのではないかと思います。

 

次回は日本の受験と就職について書きたいと思います。

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