「私でできることがあれば」の「で」って何?

「私でできることがあれば」の「で」って何?

先日、Cotoのオンラインコミュニティーでこんな質問がありました。「私でお役に立てることがあれば、遠慮なくご連絡ください」の「で」ってなんですか。

たしかに、この「で」ってなんだろう…。どう説明すればいいのかな…。

 「私に役に立てることがあれば」、「私が役に立てることがあれば」、どの言い回しも日本人にとっては聞き馴染みのあるフレーズですが、どんな違いがあるか考えたことがありますか…?

そこで今回は、この助詞の機能について考えてみようと思います。

 

助詞「で」の機能

改めて助詞「で」の使い方について確認してみましょう。

初級日本語文法と教え方のポイント(スリーエーネットワーク)で調べてみると、この用法が見つかりました。

<助詞「で」の使い方>

① 動作、作用の場所「あの店でラーメンを食べた」

② 手段・方法・道具・材料 「ハサミで切ってください」

③ 範囲 「私の国では漁業が盛んです」

④ 限度・期限 「1週間でできますか?」「100円で買った」

⑤ 理由・原因 「地震で電車が止まった」

 今回の表現の比較の場合、この中の②③④に当てはまりそうなので、こちらを取り上げて確認してみようと思います。

 

② 手段や道具を表す「で」の表現

初級の最初の方で導入されるこの使い方。場所を表す「で」に次いで、学習者にも知られている表現ではないでしょうか。助詞の「で」だけではなく、て形でも手段を表すことができますよね。

  1.  インターネットで調べた。
  2. 最近、電子マネーで支払いする人が増えてきた。
  3. このカフェまで歩いてどのぐらいかかるんだろう…。バスで行く?
  4. インターネットによって、いろいろな人と気軽に連絡が取れるようになった。

4で使われている「によって」は、たよる、手段の意味の動詞の「依る」がて形に変換され、文法表現として使われるようになったと考えられます。

 

③ 範囲を表す「で」の表現

比較表現でよく使われるこの助詞は、範囲を表す助詞になります。 

  1. 日本料理の中で、寿司が一番好きです。
  2. 世界の中で、ロシアが一番大きい国です。
  3. アニメ業界で、宮崎駿を知らない人はいないのではないか。
  4. この会社で、間違いなく彼は一番優秀なプログラマーなのではないだろうか。

 範囲を表すといっても、なんだか、場所を表す「で」の概念と少し似ているような気がしませんか?

例えば「日本料理の中で、寿司が一番好きです。」の文で考えると、「日本料理というジャンル(場所)で、寿司が一番好きです。」と考えても問題ないような気がします。

「範囲」の括りになりますが、初級の学生にとって、「場所」の使い方を理解しているので、混乱することは考えにくいと思います。日本語教師の知識として押さえておけば大丈夫かなと・・・。

 

④ 限度・期限を表す「で」

時間や金額、数量の範囲を表す「で」は、「これ以上は必要ない、できない」といったニュアンスが含まれているように感じます。

  1. 今回の募集は、先着100名様で打ち切らせていただきます。→100人まで行ったら終わり!(人数の限度)
  2. 100円でなんでも買える!→100円以内でなんでも買える、十分!(金額の限度)
  3. 一人で作れます!→自分の持つ能力の範囲でできる!(能力の限度)
  4. この読解問題は、5分で解いてみましょう。→5分あれば、5分以内で解く!(限度・期限)
  5. あと10分で着くよ!→10分あれば十分、10分以内に着く!(限度・期限)

 数を表す言葉と一緒に使われますが、「一人で」のように抽象的な言葉で能力を表せる場合もあるようです。

 

ニュアンスの違いはある?

では、「私でできることがあれば…」はどれに当てはまるのでしょうか。うーん、え…?なんとなく、どれも当てはまるんじゃない…??と感じました。

「私の能力」を「一つの道具」と考えているような気もするし、「私の能力を使ってできることを手伝います!」とも考えられます。「私の持つ能力の範囲でカバーできるものがあれば手伝います!」といった感じですかね。いずれにしても謙遜のニュアンスも含まれていそうです。

 つまり、

「私にできることがあれば」は「あなたにもできると思うけど、私にもできることがあれば協力したい!」と、相手と私が平等に見えるような表現?

もしくは

「私ができることがあれば」は「あなたにはできないことで、私ができることがあれば協力したい!」と「私」を強調した表現」?

いやいや

「私でできることがあれば」は「“私なんかでできることがあれば” で、私の能力の範囲でできることは協力したい!日本人らしい謙遜表現でポライトネスが現れているのかな?

と感じました。皆さんはどのように感じますか?あーでもない、こーでもないと考えることが大事かなと。解釈の仕方はいくつもありそうなので、皆さんも自分なりの解釈をぜひ考えてみてください!^^

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