中級文法コラム17 言うシリーズ(といっても・とはいうものの・といいつつ)
春が来たとはいうものの、まだまだ寒いですね〜。寒いといっても真冬ほどではないですけど… といいつつコートを着る。
今回は「言う」シリーズです。その中でも、否定や反対の意味が含まれた表現を見ていきます。
といっても
- 寒いといっても真冬ほどではない。
通常「寒い」と聞くとどんな寒さを想像するでしょうか。冬の寒さでしょうかね。雪でも降っているような。でも、そこまで寒くはないよというような表現です。その言葉を聞いて通常瞬時にイメージすることに対して、実はそのイメージとはちょっと違うというようなことを伝えたいときに使います。
- 猫が好きだといっても、猫アレルギーで触れない…
「猫が好き」と聞くと、飼っていたり、猫カフェに行ったりするのかな? と思いますが、実は触れない…。
- 雪が積もったといっても、すぐに雨に変わってとけてしまった。
「雪が積もった」と聞くと雪だるまが作れるぐらいの雪をイメージしますが、実際は地面を少し覆った程度…
とはいうものの
じゃ、「とはいうものの」と違うのかというと、、、ちょっと置き換えてみましょう。
- 寒いとはいうものの、真冬ほどではない。
どうでしょう? 文としては何も問題ないですね。ちょっと硬い表現ですかね? でも、それだけでしょうか。
この文から感じる「寒い」は、本当に寒いのでしょうか? あまり寒くないのでしょうか? この「寒い」は本当に寒そうじゃないですか? 「寒い」は事実だけど、「真冬と比べるとそこまで厳しくない」というようなニュアンスがありますね。
- 春が来たとはいうものの、まだまだ寒いですね。
「春が来た」は暦の上では間違いなく春です。春が来たのは事実ですが、しかし実際はまだまだ寒さが残っています。
- 猫が好きだとはいうものの、猫アレルギーで触れない…
いかがですか?猫が好きなのに触れない悲壮感が伝わってきませんか??本当に猫が好きなのに触れないもどかしさ。うーん、かわいそうですね。
じゃ、反対に「といっても」に置き換えてみると、
- 春が来たといっても、まだまだ寒い。
「春が来た」と聞くと、桜や草木の芽吹きなんか感じてちょっと暖かなイメージをしてしまいますね。でも、そのイメージとは違って、まだ寒いんです。
つまり
「といっても」…聞いた言葉から相手が想像しそうなイメージを先に否定する。
「とはいうものの」…それは事実ではあるが、実際にはその事実と反する結果が出ている。
といった感じでしょうか。みなさんもこのニュアンスの違い、感じ取れましたか。
といいつつ
- 真冬の寒さではないといいつつ、コートを着る。
「真冬の寒さではない」のだからコートは必要なさそうだけど… おーい、着るんか~い!
のように、言っていることと行動が反対だったり、違うとわかっているけど、「あえて~する」といったときに使うんじゃないかと思います。
- 彼は野球には興味がないといいつつ、中日ドラゴンズの帽子をかぶっている。
興味がないわりにはなかなかの帽子かと…
- 彼は私が作った料理がおいしいといいつつ、無意識にソースを多めにかけていた。
彼はまだ彼女に本音が言えないようですね…苦笑
さて、今回の「言う」シリーズはどうでしたか。
文法を置き換えてみても、文自体はおかしくありません。でも、意味が微妙に変わっているのをわかっていただけましたでしょうか。
似ている文型について、どっちも使えるよね~で終わらず、実際に文型を入れ替えて文を作ってみると文から受ける印象が変わったり、意味の違いに気がついたりできると思います。文法は奥が深いです。
といっても、難しく考える必要はありません。気が付いたときに「おや?」と思うだけでもいいんです。といいつつ、文法の教科書をついつい手に取ってしまうのですが…
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