若者言葉③ まだ「チンする」って使ってる!?
文化庁の国語世論調査で、日本人の約9割が電子レンジで料理をあたためたり、調理したりする際「チンする」という言葉を使うという統計が出たのがもうかれこれ7、8年前。
「今日は仕事で遅くなるから、冷蔵庫のおかず、チンして食べてね」とか、テレビや雑誌の特集でもレンチン(レンジでチンする)レシピなんていうのは今や日常語。幅広い世代の人たちにつかわれているので、旧若者言葉ですかね。辞書にも載っています。
チンする:[動サ変]《調理終了を知らせる音から》電子レンジで加熱する。「飯を―・して食べる」『デジタル大辞林』より
電子レンジが世に出たころは「チーン」と音がしていたので整合性がとれていたのです(ちょっとおおげさですね)が、今時は「ピピピッ」という電子音やメロディー音だったりして「チーン」となる電子レンジは少ないことから、もはや死語なんて話も。
でも、最近『チーズ乱入!チンするタコライス』なんていう商品をオンラインショップで発見したので、まだまだ「チンする」の時代は続きそうです。昭和世代の人たちが「チンする」を使っているうちはこの言葉も生き続けるのではないでしょうか。
「擬音語+する」のことばを集めてみた
さてさて、この「チンする」ですが、電子レンジだけではありません。「まずは仏壇にチンしなさい」とか、鼻をかむときに「チーンして」と母親が小さい子どもにいうことがあります。ということで、レンジで「チンする」とはだいぶ毛色が違いますが、「擬音語+する」のことばを集めてみました。
<例文>
- ピンポンする 「ちょっとお隣さんにピンポンして、回覧板おいてきて〜」そういえば、昔はピンポンダッシュするいたずらっこもいましたね。
- トントンする 「赤ちゃんの背中をトントンする」、「猫のおしりをトントンする」、「おばあちゃんの肩、トントンしてくれる?」
- ポンポンする 「おーよくできたね。おいで〜、ポンポンしてあげるよ」
- チューする 「ママ、大好き。チューして〜」
- パチパチする 「はーい、パチパチしましょう(拍手)」、「勝手にパチパチ撮らないで(写真)」「はい、目を何回かパチパチしてください(眼科にて)」
- パンパンする 「外で靴をパンパンしてから、中に入って(外遊びで泥だらけの靴を見て)」
- ジュージューする「今日はジュージューしようか。(焼肉を食べる)」「ちょっと畳の部屋ジュージューしてくれる?サーっとでいいから。(まさかの掃除機)」
例を挙げてみると、同じ音を二つ重ねて言うパターンが多いですね。
「擬音語+する」はイメージを喚起させやすいため、幼児語としてよく使われます。また、家族の誰が言い出したかわからない独自の(独特な)言い回しもあります。私にとっては「ジュージューする」がそれでした。いやあ、自由すぎます。
そして、すでに死語かもしれませんが、若者言葉の「壁ドン」。「壁ドンされて」胸キュン♡、少女まんがの世界です。「壁ドン」より、より距離が近いのが「肘ドン」だそうで、両手がふさがっているときは「足ドン」だそうです。ならば、「壁ドン」は「手ドン」なんじゃないか、う〜ん・・・わけがわからない。
「ジュージューする」しかり「肘ドン」「足ドン」しかり、このわけのわからない感じが面白くて、なんだか惹かれて、思わず使ってみたくなるのかもしれません。
新しい文化が登場するから新語は生まれる
自動改札やコンビニなどでICカードをかざすときは「ピッ」という音がしますから、「ピッとする」なんて言う人もいます。「〜とする」系だと、最近はオンライン・ショッピングなどで「ポチッとする(ポチる)」のが日常になっています。
コロナ禍でタッチレス化がますます進み、毎日ピッとしたり、ポチッとしたり。「新しい文化が登場するから、必要な言葉をその都度造っていく」日本人はこの能力に非常に長けています。なるほど、こういうときに新語って生まれるんですね。
考えてみれば、「チンする」もそう。レンジで調理するというのは、「焼く」でも「煮る」でも「炒める」でもない当時としてはまったく新しい概念です。そう考えると「チンする」はずっとなくならないかもしれませんね。
<関連記事>
若者言葉①:カタカナ+「る」動詞(「ググる」「ディスる」「バズる」って知ってる?)
若者言葉②:カタカナ+「い」形容詞(「エモい」「ラグい」「チルい」って知ってる?)
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