おかげさまで

おかげさまで

先日、友人が外国人のジム仲間に「いい体、していますね〜。」と言ったところ、「おかげさまで」と返答され、違和感を感じたという話をしていました。「いや、鍛えたのは自分だからね。誰のおかげでもないでしょ」と思ったから、違和感を感じたのでしょうね。あまりに日本語を流暢に話す方だったので訂正するのをつい躊躇ってしまったとのこと。友人に「今度会ったときのためになんて言えばいいか教えて〜」と言われたので、ついでに整理してみることにしました。

気遣い表現の「お〇〇さま」

日本語には「お疲れさま」「ご苦労さま」「ごちそうさま」「お粗末さま」「お待ちどうさま」「お気の毒さま」「ご愁傷さま」など「お〇〇さま」という言葉がいくつかあります。これらの表現は人間関係を重視した日本ならではの「気遣い表現」です。使うシーンは限られているものも多いように思います。

「お疲れさま」などは日本語ネイティブなら意識せずに職場で毎日のように使っていますね。「お疲れさま」は相手の立場や年齢をあまり考えずに使うことができますし、色々なシーンで使うことができるので、とても便利な言葉です。

この「お疲れさま」、ざっくりとした感じと汎用性の高さは日本人にとって非常に便利なのですが、日本語を学ぶ外国人にとってはなかなか厄介な存在です。どれも英語にするとしっくりきません。英語にはこれらの表現と同じ使い方をできる言い回しが存在しないのですね。

 

「おかげさまで」の使い方

さて、話は戻って「おかげさまで」。

「おかげさまで」は、謙虚な姿勢、感謝の気持ちを表すクッション言葉です。(つまり、あってもなくてもいい言葉で文自体の意味は変わりません。)

例えば、こんな使い方をします。相手の協力や理解など助けに感謝するとき、

  1. 「おかげさまで、志望校に合格しました。」(→学校や塾などの先生・心配してくれた人に)
  2. 「おかげさまで、うまくいきました!」(→サポートしてくれた人に)
  3. 「おかげさまで、先日無事に退院することができました。」(→サポートしてくれた人、心配してくれた人に)
  4. 「おかげさまで創業10周年を迎えることができました。」(→お客さんやクライアントに)
  5. 「おかげさまで大きな商談がまとまりました。ご紹介していただき、ありがとうございました。」(→お世話になった人やクライアントに)

1の例文のように、この言葉には(実際は自分の力で合格したとしても、目には見えない自分に関わる人たちの助けがあったから)志望校に合格することができました」といった(  )の部分=謙虚なニュアンスが含まれています。

 

また、

「最近、調子はいかがですか」や「ご両親はお元気ですか」と聞かれた場合、直接はお世話になっていなくても、「おかげさまで」や「おかげさまで元気にしております」と返事をすることがあります。

ほかにも、

「おかげさまで、新しい職場にも慣れ、日々頑張っております」

「おかげさまで、忙しくさせていただいております」

など漠然とした感謝を伝えるときに使うことができます。自分を取り囲むすべてのもの(社会・自然界なども含む)や人のおかげで順調です!というニュアンスですね。

 

「おかげさまで」の使い方の注意点3つ

・人との関わりがないものの場合には使わない。最初の例の「筋トレ」など

・必ず文頭で用いる。文中で使うときは「○○さんのおかげで上手く行きました」

「○○さんのおかげさまで上手く行きました」や「〇〇できたのは、おかげさまです」はNG

・「失敗してしまいました」などのネガティブな文脈では「おかげさまで」は使わない。

 

最後に

「おかげさまで」は謙遜の気持ちが込められているので、同僚や身近な人だけでなく、目上の人や社外の人、お客様に対してなど広い範囲で使うことができる便利な言葉です。素敵な言葉です。

ただ「おかげさまで」には、他の言語では決して一言で説明できない日本人の心の表現なので、外国人はこのニュアンスを掴むのが難しいかもしれません。

最初のジムのくだり、正解はなんでしょうね。

日本人が「いい体、していますね〜。」と言われたら、「そんなことはありません」「いやあ、それほどでも・・・」などと謙遜する人が多いかもしれませんね。でも、外国人が同じように返答したらどうでしょう。なんだかこそばゆい。個性まで失われるような気がして、逆に違和感を感じてしまうのは私だけでしょうか。そのときは「ありがとうございます」で十分ですね。文化も表現も知識として知っておく分にはいいけれど、相手に無理に合わせることはないものってありますよね。

ただ日本語学習者の中には「使ってみたい」という方もいます。そういう場合は、使用されるシーンと上にあげたような例文をいくつか示し、あとは少しずつ試してもらい、ニュアンスを掴んでもらうといいですね。一度この便利さに気づいたら、もうそれ以外の表現は思いつかなくなるなんてこともあるかもしれませんね。

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