引き出し上手の聞き上手になる!ネイティブ日本語教師に必要なこと  パート3

引き出し上手の聞き上手になる!

今回はネイティブ日本語教師に必要なことパート3、最終回となります。

3つ目はずばり「引き出し上手の聞き上手になること」です。

言葉は「伝えたいこと」を「伝えたい相手」に伝えるためにある

例えば、私たちが英語ネイティブとの英語レッスンで一番嬉しいことってなんでしょうか。

知っている言葉、習った表現を駆使して

「言いたかったことが伝わった!!!」

という瞬間ではないでしょうか。

言葉とは、やはり伝えたいことを伝えたい相手に伝えるためにあるのです。

その基本的な経験をクラスの中で積み上げられることができれば、学習者の方もモチベーションを高く保つことができます。

なぜか。毎回のレッスンで達成感を感じることができるからです。

それでは、私たち日本語教師はどのようにしたらクラスでそのような経験を与えることができるでしょうか。

それが「引き出し上手」の「聞き上手」になることです。

 

「引き出し上手」の「聞き上手」になるためには

 

「クラスでは学習者が話す時間8割、先生が話す時間2割のイメージで進めるのがちょうどいいですよ」といつも言っています。

楽しく話せばいいのだ〜!といって、話題に夢中になりすぎると、我々はネイティブですから会話の主導権を奪ってしまうことになります。

レッスンは学習者にお金をいただいている時間です。自分の好きなことを話すのに時間をとるべきではありません。

話題の中で、「先生はどうですか?」と聞かれて、まともに自分を表現しようとしてものすごく考え込んだり、思うまま話してしまう人もいますが、同じく学習者の時間。こまりますよね。

適度にコントロールして回答し、相手にバトンを渡すのがプロの対応です。

学習者に8割話をさせるためには、練習のさせ方も質問の仕方もよく練らなければなりません。

特に中級以上になるとあまりに日常的な話ではタスクが低すぎて何も学ぶことができません。

同じ話題でも下記のように、必要なあいづちをうちながら、いろんなタイプの質問を取り入れていくことで、たくさんの発話を引き出すことができます。

<話を引き出す質問>

yes / no 質問
 ↓
「いつ、何、誰、どれ」などを使ったオープン質問
 ↓
「どんな、どうやって、どういう」などより細かい説明や、描写をもとめる質問
 ↓
「なぜ、どうして、〜だとしたら」など理由や仮説に基づく質問

*このとき尋問調にならないよう、あいづち、リアクションやパラフレージングをするなどの工夫を!!

そしてレッスンですから、ただ話すだけでなく、間違えていた箇所や、よりよい語彙を教えるなど、あとでまとめてでも構わないので提示できるといいです。(その都度、会話を中断して間違いを指摘すると学習者の話す意欲が低下してしまうので注意!!)

 

たくさんの発話を引き出すコツはなんといっても

「相手に興味を持つこと」

そして

「時には知らない人になって、学習者に説明してもらうこと」

の二つでしょう。

 

「相手に興味を持つ」のはフツーの人間関係でも同じです。それでは、「時には知らない人になって、、、」というのはどういうことでしょうか。

学生「先日、村上春樹の本を読んだんです!」

教師「あ、村上春樹ね、僕も大好きでよく読みますよ。あーでこーであーでこーで・・・ですよね!」

学生「あ、はい」・・・シーン・・・

という感じです。ネイティブ教師があまりに物知りだと(そしてそれをアピールしたがると)話が盛り上がらないのです。

引き出し上手な人は、かりに自分が知っていることであっても

「村上春樹の本を読んだんですか??そうなんですねー。」

「どうでしたか?詳しく教えてください。」

「どうして読もうと思ったんですか?」

「もし、〇〇さんが主人公だったら、どうしますか?」

などといって、相手から内容や感想、意見などを引き出そうとするでしょう。

 

みなさんはプロの日本語教師として「引き出し上手」、「聞き出し上手」になっていますか?

そして、それ以前に学習者にとって「何かを伝えたい相手」になっていますか?

セルフチェックをしてみましょう。

 

 

今回の記事はここまでです。読んでくださってありがとうございました!

次回は「日本語教師に求められるコミュニケーションスキル」について書いていきます。

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