「得意」と「上手」は同じ?違う?

「得意」と「上手」は同じ?違う?

初級の学習者によく聞かれる質問に「得意」と「上手」はどう違うのか、というものがあります。
どんなときに使えて、どんなときに使えないのか。
まずは、具体的な状況をイメージしながら例文を作って考えてみましょう。

× 私は料理が上手です。→ ○ 私は料理が得意です。

○ 私は料理が下手です。 ○ 私は料理が苦手です。

× 私は数学が下手です。→ ○ 私は数学が苦手です。

△ メアリーさんは箸を使うのが下手です。

○ 私は納豆が苦手だ

× 私はギターが好きだ。でも、苦手だ。→ ○でも、下手だ

 

×印は違和感のある文です。なぜ違和感を感じるのでしょう。

これらの例を見ると、他人のことを言うときには「得意」、「上手」ともに用いることが可能のようですね。

自分の技能(サッカー、バスケなどのスポーツ、ギターやピアノ、日本語や料理)について述べるときは「得意」は使えても「上手」は使いづらい印象があります。

「私は料理が上手です」は文法的には問題はありませんが、ちょっと厚かましい感じがしますね。

「私はギターが好きだ。でも、苦手だ。」好きなのに苦手ってどういうこと???と思うのは私だけでしょうか。

 

「上手」は他人に対してのみ使える

「上手」は技能がすぐれている時に使う言葉です。

しかし、「得意」と違って、その技術の高さを評価して褒めるニュアンスがあります。したがって、「上手」は他人に対してのみ使うことができます。

○彼女は絵を描くのが上手です。

○彼は料理が上手です。

○お嬢さん、絵がお上手ですね。(相手を褒めるとき)

ちなみに、「上手」の対義語は「下手」ですが、「下手」は単純に技能(スキル)が低い時に使われます。これは自分のことでも他人に対しても使えます。ただ、他人に対して「歌、下手ですね〜」なんていうのはあまりに直接的で失礼な感じもしますが・・・

 

「得意」は他人にも自分にも使える

「得意」は自分の技能が高く、自信がある場合に使います。

○私は料理が得意です。

○メアリーさんは写真を撮るのが得意です。

「得意」の対義語は「苦手」で、使い方は「得意」と同じです。それでは、次の例文の場合はどうでしょうか。

○私は納豆が苦手だ。

○私は計算が苦手だ。

「納豆が苦手だ」は納豆が好きじゃないということです。「苦手」は「計算が苦手だ(計算が遅い・よくミスをするなど)」と自分の技能が低いことに加え、「嫌い」「いや」というニュアンスも含まれています。なので、最初に出した例文の「私はギターが好きだ。でも、苦手だ。」という文は成立しないのです。

このように、「得意」「苦手」は評価というより自分の意識を表している言葉と言えるでしょう。

 

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