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日本語教師になるには~日本語教育能力検定試験を受ける~
日本語教師になろう!と思うなら、ぜひ勝ち取りたいのが日本語教育能力検定試験の合格です。現在もこの検定試験の合格をもって有資格者となることができますが、今後は日本語教師の資格整備も進んでいく予定です。いづれにせよ、今、この検定試験の概要を知り、必要な知識の整理をしておけば、今後の新しい資格試験にも備えられて怖いものなしです。
日本語教育能力試験の沿革
日本語教育能力検定試験は、日本語教育の専門家としての知識が基礎水準に達しているかを判定する試験として、1988年1月に第一回の試験が実施されました。主催は、日本国際教育協会(現・公益財団法人日本国際教育支援協会)です。
試験の実施は2023年度に第36回目を迎えますが、その間の社会情勢や学習需要は大きく変化してきました。その間、試験の出題範囲は改定が行われてきました。出題内容が全面的に変わったわけではありませんが、令和4年度(2022年)の試験より「必須の教育内容」(文化庁)に準じた出題範囲に移行しました。
受験者数
公式サイトでは第一回試験からの受験者数が公表されています。のべ受験者数は18万人を超えています。その中でも令和元年度の受験者数は大幅に飛躍し、1万人弱もの人がこの試験を受験しました。新しい日本語教師の資格の整備検討もされる中、令和2年6月には日本語教育推進法が閣議決定されました。そんな背景もあり、今、とても注目されている試験であることがうかがえます。
日本語教育能力検定試験の合格率は?
さて、ではどのくらいの人が合格を勝ち取っているのでしょうか。
ズバリ!合格率は第一回の試験から現在まで、平均して20%前後となっています。のべ18万人以上が受験している試験ですが、合格者数は3万7千人程度。超難関試験とは言いませんが、しっかり勉強して対策しないと合格できません。
ちなみに、令和元年度のデータは以下の通りです。
受験者数 9426人
合格者数 2659人
合格率 約20%
基礎知識を身に着けたうえで検定試験の対策をして、合格を目指しましょう!
実施回数
現在、日本語教育能力検定試験は年に一度、10月に試験が行われています。(2023年は10月22日)
この試験で合格を手にするチャンスはは年に一度だけです!また出願から結果がわかるまでには半年ほどかかる試験です。長い戦いです。
出願期間
概ね毎年7月が願書受付期間となっています。今年度から日本語教育能力検定試験の出願は、オンライン出願となります。
<参考データ>
- 受験料:17,000円(税込)
- 受験地:全国各地
- 北海道(札幌) 、東北(仙台、福島)、関東(東京、神奈川)、 中部(愛知)、 近畿(大阪、兵庫)、中国(広島)、九州(福岡)
- 合否結果通知の発送:12月22日
最新の情報は必ず公式サイトでチェック!
詳しい試験の内容については公益財団法人 日本国際教育支援協会のサイトで確認できます。
公式 http://www.jees.or.jp/jltct/
日本語教育能力試験対策
今は、様々な試験対策用の講座も用意されていますので、うまく活用するのもよいでしょう。あるいは既に420時間の養成講座を修了している人は自分で試験対策を進める場合もありますね。講座を受講するにしても、独学で挑戦するにしても、まずは試験の概要を知り、弱点を見つけたり、克服したりすることが大切です。
試験の構成
試験は、試験Ⅰ(90分)、試験Ⅱ(30分)、試験Ⅲ(120分)の三部構成で、最後に記述試験が1題あります。朝から夕方までかかる試験なので、試験当日も長丁場です。とはいえ、途中に昼休憩もあるので、集中して問題を解いていると意外とそれほど苦でもありません。ただ、覚悟してかかったほうが良いことは間違いありません。
出題される問題の多くは選択問題です。まずは日本語教育に関わる用語にはどんなものがあるかをチェックし、なんとなくでも用語の意味が分かるようなることが合格への第一歩です。
おすすめ図書
1. 基本の一冊
まずお勧めしたいのが、赤本ともいわれているこちらです。
『日本語教育教科書日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド 』
ヒューマンアカデミー著
これ一冊で十分という人もいるかもしれません。という程メジャーであり、とても勉強しやすい本です。試験の出題範囲を網羅していて、「よく出るポイント」も記載されています。最初に一通り目を通し、試験の全体像や雰囲気をつかんでから、各学習項目について深く学んでいく、等という使い方ができます。
2. 聴解対策
先ほど試験の構成をご紹介しましたが、試験Ⅱという30分間が聴解問題となっています。ここは日本語ネイティブでも、対策しなければ歯が立ちません。「聴解試験が苦手だ」という人もいるほどです。もし、試験の勉強をしていて、聴解が苦手だな、聴解の対策をもっとしておきたいなと思ったら、この本にも目を通してみてください。
『日本語教育能力検定試験 聴解・音声特訓プログラム』
遠藤由美子、池田悠子、奥澤美佐 著、アークアカデミー編集
3. 購入必須
忘れてはいけないのが、公式の過去問ですね。試験の雰囲気、全体像を知るためにも必ず1年分はやりましょう。余裕があれば、2~3年分の過去問に挑戦して、時間配分を考えたり、ペースをつかんだりすることも試験対策として得策です。
『令和元年度 日本語教育能力検定試験 試験問題』
公益財団法人日本国際教育支援協会著、編集
4. 専門用語の辞書的役割に使える本
おおまかに試験の全体像を得ることができるような本もたくさん出版されています。その一つが以下の本です。
『日本語教育能力検定試験に合格するための基礎知識50』
岡田英夫著 株式会社アルク発行
試験対策の本にも特徴があります。試験の全体像をつかみたい、弱点強化・克服をしたい、時間配分を考えたい等、本を選ぶ基準は様々です。自分に必要な本を選び、合格を目指しましょう。
まとめ
日本語教師になるための方法の一つ、日本語教育検定試験についてご紹介しました。超難関試験というわけではないものの、しっかりと対策をしないと合格できない試験だということはお分かりいただけましたでしょうか。
試験の対策のカギは、試験の概要を知ること、自分の弱点を見つること、そして、それを克服することです。しっかりと学んだ日本語の知識と教える技術力を証明できるのがこの試験の合格証です。この合格パスポートをもって日本語教師という新たな世界へ出発しましょう!
update 7/1/2023
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