日本語授業で時間が余ったときのアクティビティ3選【準備なし10分タスク】
授業が思ったより早く終わりそう。
「あと10分ある、どうしよう…」と焦ったことはありませんか。
しっかり準備していても、学生の理解がよく、思いのほかスムーズに授業が進むことがあります。教師としてはうれしい反面、時間が余ると少し困りますよね。
そんなときに助かるのが、短時間でできる「10分タスク」です。
今回は、特別な準備がなくてもすぐ実施できる活動として、次の3つを紹介します。
①ディクテーション
②Q&A練習
③しりとり
どれも授業の残り時間10分ほどでできる活動です。
非常用としてだけでなく、ウォーミングアップやなんとなくクラスの雰囲気が重いときの気分転換としても使えます。
①ディクテーション
既習の文型や語彙を使った短い文で、ディクテーションを行います。
理想は講師自身が例文を準備しておくことですが、何もない場合でも、教科書の例文をそのまま使うことができます。たとえば「みんなの日本語」であれば巻末にある「学習項目一覧」や、「げんき」だと文法解説ページにある例文やワークブック内で宿題として扱った文など、学生にとって一度は見たり聞いたりしたものを扱うといいかと思います。またいざというときのために「どんなときどう使う 日本語表現文型200」アルクや、「耳から覚える日本語能力試験 文法トレーニングN4/N5」アルクなどを携行しておくと便利です。また、このような既成の本を使って行う場合、使用語彙は当該クラスのレベルや学習者の属性によって適宜変えてみるのもいいでしょう。
<進め方>
- 「今から文を2回読みます。書いてください」と指示します。
- 「文は3つ読みます」と言い、ホワイトボードに「1・2・3」と番号を書きます。
- 文を2回づつ読みます。
- 最後にもう一度全部の文を読み、「確認してください」と伝えます。
答え合わせは、
- 講師が板書する
- 学習者を指名して書かせる
のどちらでも構いません。時間があれば、学習者に書いてもらうほうが学習効果は高くなります。
この流れだと、10分で2〜3問程度がちょうどよい量です。
■応用:穴埋めディクテーション
文の一部を空欄にして、穴埋め形式にする方法もあります(ただし、これは学生が直接書き込める穴埋め用のワークシートを準備しておく必要があります)。いざというときのバックアップにそのようなワークシートも準備しておけるとさらにいいですね。
この場合は書く量が減るため、10分で4問程度できます。
一文全部書かせるものより、少し語彙の難易度を上げると、よい練習になります。
②簡単なQ&A練習
これは、日常的な話題について質問に答えてもらう活動です。
特に
- 少人数クラス
- プライベートレッスン
でよく機能します。
<進め方>
- 「今から質問します。答えてください」と指示します。
- 3〜4問程度質問します。
- 学習者の答えをホワイトボードに書きます。
- 一文で終わりがちな答えを、2〜3文に広げるように指導します。
例えば、
Q:趣味は何ですか。
A:趣味は料理です。
ここで終わることが多いので、講師が追加情報を引き出します。
例:
趣味は料理です。
よくYouTubeを見ながら作ります。
日本の料理は作ったことがないので、今度オムライスを作ってみたいです。
このように、
- 追加情報
- 理由
- 条件
などを加えて、少し長く話す練習にします。
目安として
N5レベル
→ 2文は必ず言う
N4レベル
→ 3文+理由を1つ
という目標を設定すると効果的です。
■質問例
<N5レベル>
今、暑いですか。
趣味は何ですか。
朝、何時に起きますか。
コーヒーは好きですか。
どうやって学校に(へ)行きますか。
家族は何人ですか。
昨日、何をしましたか。
週末は休みですか。
北海道に(へ)行きたいですか。
毎日何時間勉強しますか。
<N4レベル>
日本語は難しいですか。どうしてですか。
朝、何時に起きて、何をしますか。
日曜日はたいてい何をしますか。
毎日どのように(どうやって)日本語を勉強していますか。
好きなスポーツは何ですか。どうしてですか。
北海道へ行ったことがありますか。
勉強するとき音楽を聞きますか。
料理をしますか。何をよく作りますか。
次の休みに、何をしたいですか。
よくだれと日本語を話しますか。
③しりとり
グループクラスなら、シンプルなゲームですが、「しりとり」も意外と盛り上がる活動です。
<ルール>
- 名詞のみ
- 「ん」がついたら負け
- 最後の音に続けて、次の言葉を言う
以下のように例示するとわかりやすいです。
例:さとう → うみ → みず → ず → ずぼん(✕)…
初級学習者でも知っている名詞は多いので、意外と長く続きます。
参考までに…
N5の学習語彙数は、全体で 約800語程度と言われており、その中の約半分以上(400以上)が名詞です。日常会話で使われる身近な名詞(人、場所、時間、食べ物、持ち物など)が中心です。
N4の学習語彙数は、全体で約 1,500語(N5の約800語に新出の約700語を加算)その中の約 800 〜 900語 全体の約 55 〜 60% 程度が名詞語彙です。
まとめ
今回は、時間が余りそう、困った!という、いざというときのための活動をご紹介しました。
大事なのはこれはあくまで非常用タスクだということ。毎回のように、時間があまってしまうという場合、まずはご自身の教案を見直すことが先決です。が、その原因は、授業の準備が足りないというより、実は練習のさせ方が少し軽くなっている、十分ではないということも大いに考えられます。→「時間が余る:タイムマネジメントについての考察」
準備もやった、練習もしっかりできた、そのうえでお困りの際には、ぜひ今回紹介したようなタスクをぜひお試しいただければと思います。







