【日本語教師】学習者におすすめしたい日本語学習アプリ10選|悩み別レビュー(後編)
Contents
はじめに
世にあふれる日本語学習用アプリ。
実際に使ってみると、「この機能は便利」「この例文は少しわかりにくい」「このアプリはこんな学習者に向いていそう」といった特徴が見えてきます。
前編では、普段から日本語を教えている教師の視点で、実際に使ってみた5つのアプリをご紹介しました。
【日本語教師】学習者におすすめしたい日本語学習アプリ10選|悩み別レビュー(前編)
今回は、後半としてさらに5つのアプリをご紹介します。
※本記事の機能や料金は、記事執筆時のものです。
悩み別:教師目線で使ってみた日本語学習アプリ
⑥「覚えてもすぐ忘れてしまう」「効率よく復習したい」学習者には
Anki
<使ってみた感想>
Ankiは、忘れにくいタイミングで問題を出題する「間隔反復学習(Spaced Repetition)」を採用した暗記アプリです。記憶の定着を助ける仕組みに基づいて設計されています。
日本語だけでなく、英語など他の言語学習にも活用されており、汎用性の高い暗記アプリとして知られています。
学習したい単語やフレーズを自分で登録してオリジナルの単語帳を作ることもできますし、すでに公開されている「共有デッキ」をダウンロードして使うこともできます。
問題を解くたびに「もう一度」「難しい」「正解」「簡単」の4段階で自己評価すると、その結果に応じてカードが表示される頻度が自動で調整されます。
苦手な単語ほど繰り返し出題されるため、「どうしても覚えられない単語」だけを効率よく復習できるのが大きな特徴です。
また、学習の進捗が可視化されるため、自分がどれだけ覚えられたかを確認しながら学習を進められます。
今回試した範囲では、広告表示がほとんどなかったため、学習に集中しやすい印象だったのも良かったです。
<こんな学習者におすすめ>
- 覚えたはずなのに、すぐ忘れてしまう人
- 語彙やフレーズを効率よく復習したい人
- 苦手な単語だけを重点的に学習したい人
- 自分専用の単語帳を作りたい人
<レッスンでこう活用できそう>
レッスンで新しい語彙を学んでも、復習の方法が分からず、そのまま忘れてしまう学習者は少なくありません。
そんな学習者には、「授業で出てきた新出語彙だけをAnkiに登録して、毎日5分復習してみましょう」と提案しやすいアプリだと感じました。
苦手な単語を自動的に優先して出題してくれるため、限られた学習時間でも効率よく復習できます。宿題として取り入れることで、授業外の語彙定着にもつながりそうです。
<教師メモ>
初級へのおすすめ ★★★★☆
中級へのおすすめ ★★★★☆
宿題への取り入れやすさ ★★★☆☆
継続しやすさ ★★★★☆
⑦「JLPT対策をしたい」学習者には
Todaii Japanese
<使ってみた感想>
Todaii Japaneseは、JLPT対策を中心に、日本語の記事やコラムを読みながら学習できるアプリです。利用するにはアカウント登録が必要です。
トップ画面には「最新」「おすすめ」「JLPT」などのカテゴリーがあり、特に印象に残ったのは、ふりがな付きのコラム記事の豊富さでした。
私が試したときには、「富裕層専用の婚活サービスとは?(N2レベル)」「日本人が毎週食べる健康野菜 ごぼう(N4レベル)」「除湿機VSエアコン、洗濯物が早く乾くのはどっち?(N1レベル)」など、思わず読んでみたくなるテーマが並んでいました。
学習教材らしい堅い文章というより、身近な話題が多いため、ニュースを読む感覚で自然と日本語を読む習慣が身につきそうだと感じました。気になった記事はブックマークして、後から読み返すこともできます。
また、JLPT対策機能も充実しています。無料版でも各級の模擬試験を受けることができ、試験時間や出題形式も本番を意識した内容になっています。
プレミアム版では、広告の非表示やオフライン辞書、より多くのJLPT問題、レベル別レッスンなどの機能も利用できます。
<こんな学習者におすすめ>
- JLPT合格を目指している人
- 試験形式に慣れておきたい人
- ニュースやコラムを読みながら日本語に触れたい人
- 読む習慣を身につけたい人
<レッスンでこう活用できそう>
JLPT対策というと問題集だけになりがちですが、試験勉強を続けるには、毎日日本語に触れる習慣も大切です。
興味のあるコラムを読むことで、語彙や表現に自然と触れられるだけでなく、読解の練習にもつながりそうです。
また、模擬試験は、本番の試験形式に慣れるためだけでなく、「どの級を受験するか」の目安として活用したり、自分の得意・苦手分野を把握したりするのにも役立つと感じました。
<教師メモ>
初級へのおすすめ ★★★☆☆
中級へのおすすめ ★★★★★
宿題への取り入れやすさ ★★★★☆
継続しやすさ ★★★★☆
⑧「日常で知らない単語が多い」「単語の使い方を正確に理解したい」学習者には
Mjii
<使ってみた感想>
Mjiiは、日本語学習者向けの辞書アプリです。
調べたい単語を検索すると、「Word」では意味、「Kanji」では漢字や読み方、関連語、「Sentence」では例文を確認できます。すべて音声付きなので、意味だけでなく発音もあわせて学習できます。
辞書機能だけでなく、「Practice Reading」では、ふりがな付きのコラム記事を読むこともできます。
私が試したときには、「平成VS令和 理想の彼女」「外国人コンビニ店員に称賛の声」など、興味を引くテーマが掲載されていました。
記事は「Easy」と「Difficult」のレベルを選ぶことができ、音声再生やブックマーク機能も備わっています。
有料版では、漢字の書き取り練習など、辞書以外にもさまざまな学習機能を利用できます。
<こんな学習者におすすめ>
- 日常生活で知らない単語によく出会う人
- 単語の意味だけでなく、使い方まで知りたい人
- 例文を通して語彙を覚えたい人
- 読解力も一緒に伸ばしたい人
<レッスンでこう活用できそう>
レッスン中に新しい単語を学んでも、意味だけを覚えて終わってしまう学習者は少なくありません。
このアプリなら、意味だけでなく例文や音声も一緒に確認できるため、「実際にどう使うのか」まで理解しやすいと感じました。
また、コラム記事を読むことで、授業で学んだ語彙を実際の文章の中で確認する機会にもなりそうです。
宿題として、「分からない単語を3つ調べて、例文まで確認してみましょう」といった課題にも取り入れやすいでしょう。
<教師メモ>
初級へのおすすめ ★★★☆☆
中級へのおすすめ ★★★★☆
宿題への取り入れやすさ ★★★☆☆
継続しやすさ ★★★☆☆
<余談:便利だからこそ考えたい「翻訳機能」との付き合い方 >
最近は、このMjiiだけでなく、多くの学習アプリに画面翻訳(Screen Translator)の機能が搭載されています。
先日ある料理屋に入ったときも、日本語のメニューをスマートフォンで翻訳しながら注文している外国人旅行者を多く見かけました。
もちろん、知らない単語をすぐ調べられる便利さは大きな魅力です。
一方で、その便利さゆえに、自分で辞書を引いたり、お店の人に聞いたりする機会が減ってしまう面もあるかもしれません。
スマホばかりを見ている彼らを横目で見ながら、「せっかくの旅行…。地元民の私に一声かけてくれたら、おすすめをたくさん紹介できるのにな」と思ったのでした。
日本語教師としては、学習者が画面翻訳に頼りすぎることなく、学習の目的や場面に応じて、便利な機能を上手に使い分けることも大切だと感じました。
⑨「好きなキャラクターや俳優と同じように話したい」「趣味を通して日本語を学びたい」学習者には
Miraa
<使ってみた感想>
ここで少し変わり種のアプリをご紹介します。
この記事を書くためにさまざまな日本語学習アプリを調べていたときに偶然見つけ、私自身も語学学習に取り入れ始めたアプリです。
Miraaは、動画や音声を読み込み、自動で字幕を生成し、語学学習に活用できるアプリです。単に文字起こしをするだけでなく、音声と字幕を見比べながら学習できるため、シャドーイングの教材として活用しやすいと感じました。
速度を調整しながら、「聞く」「思い出す(エコー)」「話す」「自分の音声を再生して比較する」というステップで練習できるので、自分の発音やイントネーションを確認しながら学習を進められます。
また、AIによる解説機能もあり、分からない表現や文法をその場で確認できるのも便利でした。
「何から始めればいいか分からない」という人は、アプリ内のPodcast機能から始めることもできます。
さらに、YouTube動画にも対応しており、ふりがなの表示・非表示や品詞表示など、字幕の設定を細かく調整できる点も魅力です。
試しに、私が普段よく見ているプロ野球関連のYouTubeチャンネルで試してみたところ、実況アナウンサーや解説者の音声もかなり正確に文字起こし・翻訳されていました。
好きなコンテンツを教材に変えられるので、「勉強している」という感覚よりも、「好きなことを楽しんでいたら日本語力も伸びていた」という学び方ができるアプリだと感じました。
無料版では利用時間に制限がありますが、継続的に活用したい場合は有料版を検討する価値もありそうです。
<こんな学習者におすすめ>
- 好きな俳優やアニメ、YouTuberの話し方をまねしたい人
- シャドーイングで会話力を伸ばしたい人
- 趣味を通して日本語を学びたい人
- 動画や音声を教材として活用したい人
<レッスンでこう活用できそう>
「勉強のための教材」だけでは長続きしない学習者もいます。
そんな学習者には、自分の好きなYouTubeやPodcastを教材にできるこのアプリは、学習へのモチベーションを維持するきっかけになりそうです。
また、教師が「この動画を見てきてください」と指定するだけでなく、学習者自身が興味のあるコンテンツを選んで学べるため、自律学習を促すツールとしても活用できそうだと感じました。
<教師メモ>
初級へのおすすめ ★★☆☆☆
中級へのおすすめ ★★★★★
宿題への取り入れやすさ ★★☆☆☆
継続しやすさ ★★★★★
⑩「自分の考えを日本語で伝えられるようになりたい」学習者には
ChatGPT・GeminiなどのAIチャットツール
<使ってみた感想>
最後にご紹介するのは、日本語学習専用のアプリではありませんが、語学学習との相性が非常に良いAIチャットツールです。
以前、こちらの記事(【検証】Chat GPTで会話練習できるんなら、日本語教師は要らない??)でもAIを活用した学習法をご紹介しましたが、その後も進化は目覚ましく、今では学習の幅がさらに広がっています。
AIを語学学習に活用する方法は数え切れないほどありますが、今回は私が実際に続けているAI活用法をご紹介します。
私自身も外国語を学ぶ一人として、最近よく取り入れている学習法です。
それは、AIに役割を設定して会話をする方法です。
例えば、
「あなたは〇国の大統領です。」
「あなたは△社の創業者です。」
「あなたは(歴史上の人物)です。」
というように設定すると、その人物になりきって会話をしてくれます。
普段なら絶対に話すことのできない相手と議論ができ、話し方や口調も設定に合わせて返答してくれることが多く、楽しみながら会話練習ができます。
AIに、自分の興味に合った外国語の記事を選んでもらう方法もおすすめです。まず記事を読み、その後「この記事についてどう思いますか?」と質問してもらいながら会話を続けます。
記事の中で使われていた語彙や表現を実際に使いながら、自分の考えを伝える練習ができるため、「読む・考える・話す」を一度に練習できます。
<こんな学習者におすすめ>
- 自分の意見を日本語で話せるようになりたい人
- 会話練習の相手がなかなか見つからない人
- 興味のあるテーマで日本語を学びたい人
- レッスン以外でもアウトプットする機会を増やしたい人
<レッスンでこう活用できそう>
会話レッスンでは、限られた時間の中で一人ひとりが十分に話す時間を確保するのは難しいことがあります。
そんなとき、AIは「24時間いつでも練習相手」になってくれます。
教師が授業で扱ったテーマについて、「AIと5分だけ話してみましょう」「今日習った文法を使って質問に答えてみましょう」といった宿題にも取り入れやすいと感じました。
もちろん、AIの回答が常に正しいとは限りません。そのため、分からない点や気になった表現は、レッスンで教師と確認することも大切です。
AIと教師、それぞれの強みを組み合わせることで、学習の幅はさらに広がるのではないでしょうか。
<教師メモ>
初級へのおすすめ ★★☆☆☆
中級へのおすすめ ★★★★☆
上級へのおすすめ ★★★★★
宿題への取り入れやすさ ★★★☆☆
継続しやすさ ★★★★☆
まとめ
今回ご紹介した5つは、復習・JLPT・辞書・趣味・AI活用という、それぞれ異なる学習ニーズに応えるアプリやツールです。
前編と合わせると、学習習慣づくりから会話練習まで、さまざまな場面で活用できる10種類をご紹介したことになります。
ご紹介したアプリやツールに共通しているのは、「教師の代わり」ではなく、「教師だけでは補いきれない学習を支えてくれる存在」だということです。
学習者一人ひとりの目的や学習スタイルに合わせて上手に取り入れることで、レッスンの可能性はさらに広がるでしょう。
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