日本語レッスンでの、楽しく学ぶ会話練習のコツ

日本語レッスンでの、楽しく学ぶ会話練習のコツ

時間が余ったらどうしよう…という不安

日本語教師であるみなさんにとって、いちばん怖いものは何でしょうか。学生のつまらなそうな顔?学生からの質問に答えられなかったらという不安?準備が間に合わないというあせり?…
私は昔から一貫して怖いのは、授業中に「時間が余ること」、「やることがなくなってしまうこと」です。

というわけで、その不安をぬぐうために、私は時間が余りそうなときにくりだせる練習の引き出しを増やそうと思い立ちました。これは、学習者のため、というより、自分自身が不安なく授業に向かうための、安心材料としての努力です。が、結果的には、練習のさせ方のバリエーションが増えることにもなってよかったと感じ、今回私が実際にやった練習について少しご紹介したいなと思った次第です。

楽しいレッスンに必要なのは引き出しを持つこと

多くの引き出しを持っていると、(プライベートレッスンの)学生が突然授業中に「今日は復習したい」とか、「会話だけがしたい」などとイレギュラーなことを言ってきたときにもた慌てず対処できるし、グループレッスン時などのアイスブレークタイムにも応用可能です。また、同じ練習でもアプローチが違うことで学生も飽きずに練習ができるかと思います。

コトハジメでは、他にも楽しいレッスンのためのいろんな引き出しを持つヒントをブログで紹介しています。

こちらもご覧ください。

■日本語で雑談がしたい
https://cotohajime.net/2022/07/08/small-talk-is-a-big-deal/

■会話レッスンアイデア<初級前半編>
https://cotohajime.net/2021/11/26/topic-conversation-for-beginners/

■引き出し上手の聞き上手になる
https://cotohajime.net/2020/12/02/native-japaneseteacher-no3/

初級学習者向け会話フォーカスの練習のやり方

会話フォーカス=質問をする(つくる)練習

学生は、日常でも学校でも、会話中で「質問を受ける」立場、会話の受け手になることが多いです。それもあってか、中級以上になっても正しい疑問詞と助詞、語順によって、自然な疑問文をつくることができない人も多いです。
というわけで、もちろんこういう練習は、授業の中で扱うのが本筋ですが、余った時間はextraで練習のチャンス!とばかりに私は(自分が)困ったときには「質問」練習!というパターンを多く取り入れています。

それでは会話練習のアプローチの一つ、「トピック会話」練習のやり方を具体的にみていきましょう。

「トピック会話」の練習は、こうやる!

レッスンスタイル:グループレッスン(出席者が3人以上いればベスト)
使用語彙・文法レベル:
例1:基本動詞、形容詞、過去・非過去が入っていれば可能(げんき5課終了程度)
例2:げんき9課終了程度だと言えることが多くてより楽しい(げんき5課終了程度でも可能)

<方法・手順>
例1:週末や、休みにしたこと、することなど

講師:週末、私はスカイツリーに行きました。~さんは何をしましたか。
⇒講師から学生全員へ同じ質問を投げ、クラス全員が「~さんは~をした」という共通認識を持つ
講師:「Aさんは北海道に行きました」ではBさん、Aさんに質問をお願いします。
B:どうして北海道に行きましたか。
A:主人の誕生日でしたから。
講師:Cさん、Aさんに質問をどうぞ。
C:北海道で何をしましたか。
A:スキーをしました。
※できれば質問した人には何かしらのリアクション(そうですか、いいですね、大変でしたね)などで終われるよう指導する
※質問につまる学生がいたら、
★疑問詞を与えてみる:どこ、だれと、どうやってetc
★Yes-No Questionの可能性も提示してみる:北海道は楽しかったですか・寒かったですか
★話題のヒントを与えてみる:天気、食べ物、ホテル、スタッフ、現地で日本語を話したかetc

例2:(日本人の)友だち紹介

講師:(日本人)の友だちがいますか?
A:はい、います。
※ここはいつでも「はい!います」が答えです。実際にいなくても、フィクションのほうが盛り上がりますので、フィクションもあり、と練習の前に言っておきます。
講師:(友だちの)お名前は?
A:~さんです。
講師:Bさん、Aさんに質問してください。
B:Aさん、~さんは会社員ですか。

その他質問例
・~さんは(名詞)ですか(名詞文:女の人・男の人・学生・同僚etc)
・どんな人か?(形容詞で性格などの答えをえる)
・どこに住んでいるか?
・仕事は何をしているか?
・(ペット・こども)がいるか?(車・自転車・うち)を持っているか
※「住まい」「仕事」「子ども(家族)」については、実際にはパーソナルすぎる質問だからしないことを前提としつつ、練習のための練習としてやる、パーソナルQもオッケーです!と言っておいたほうがベター
・何をするのが好きか・嫌いか・上手か・下手か

会話フォーカス練習以外のアプローチ

本日ご紹介したのは「会話フォーカス」の練習でしたが、ビデオを使う「リスニング」⇒再現&ストーリーテリングの練習や、読解問題を使った内容確認のためのQAづくりなど、他のアプローチもあります。
一つの文法を一つの練習だけで理解レベルにとどめておくのはもったいないです。学習者は使ってみて初めて、外国語を習う意味がわかるし、使える喜びを感じることができます。自発的な会話は日常場面ではなかなか起こりにくいので、来るべきそのときのために「口に出して(output)」練習しておくのはとても大事なことです。これをやっているとセレンディピティの法則で使う場面が生まれたりします。学習者から「この間、クリーニング屋さんでスタッフの人とちょっとした会話ができた」など明るい顔で報告してくれると講師としてもうれしいことですよね。テストに合格!といった形ある結果だけが結果ではないのも語学を教えるだいご味ではないでしょうか。

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