日本語で雑談がしたい!

日本語で雑談がしたい!

昨今、雑談力がアツいですね。本や雑誌の特集などでもよく目にします。

この背景には昨今多くの職場で導入されたテレワークによるコミュニケーション不足があります。日本語教師の世界もそうですが、テレワークによってオーガニックなコミュニケーションや、カジュアルな情報共有の場が減ってしまったという新たな問題が出てきました。そこで注目を集めたのが雑談です。学習者によると、「コーヒーチャット」といった雑談の時間を設ける企業も多いようです。

ただ、日本語学習者にとって日本人との雑談は非常にハードルが高いようです。「打ち合わせ自体は英語だけど、その前の挨拶やちょっとした雑談を日本語でしたい」「同僚やMeetupで知り合った日本人と雑談がしたい」といった相談を度々受けます。たしかに、そこを日本語ですると、相手との距離がぐっと縮まりますからね。「雑談ができるようになりたい」というニーズが多い理由、わかります。

以前コトハジメの記事『アイスブレイクのススメ』で紹介しましたが、日本語のレッスンでも雑談(“-ish”)の機会はあります。たとえ初級のクラスであっても、既習の文法や語彙をつかってできるような簡単なやりとりをレッスンに取り入れている方は多いのではないでしょうか。まずはここからですね。

 

日本語で雑談をするために必要なことって何?

話すときに必要な item

実は必要なitemは山ほどあるのですが、まずは語彙や文法の知識。これは少しずつ積み上げていくしかありません。

ただ、特定の話題に関する語彙は学校では取り扱いませんから、各々で語彙を増やしていく必要があります。私は出産・育児をアメリカでしたのですが、この時期の共通の話題は子育て。子育てに関する語彙・表現を徹底的に覚えました。これで、ママ友との雑談がぐっとしやすくなりました。だれと何を話したいかを考え、その話題に関する語彙・表現を自分なりに掘り下げてストックを持っておく、これはとっても大切なことです。

 

会話を続ける上で必要な item

「自分のペースで話すのはいいけれど、どうも会話が続かない・・・」こんなお悩みもよく聞きます。

会話を続ける上で必要なitemの一つにリアクションがあります。日本語学習者向けの書籍ではありませんが、以前読んだ『人は話し方が9割』に「拡張話法」という方法が紹介されていました。これは日本語学習者でも会話に取り入れることができるなと思ったのでご紹介します。

「拡張話法」は相手の話にリアクションをして会話を広げていくのが目的です。ズバリ「相手にしゃべらせる作戦」です(これ、かつての私もけっこう使った戦法です。こうやって言語化してもらうと妙な納得感あり。笑)

「拡張話法」には、感嘆→反復→共感→称賛→質問という順番があるそうです。これを日本語レッスンに落とし込んでみるとこんな感じに。(絵文字=表情もポイント!)

 

  • 感嘆

「昨日、ハイキングに行ってきたんですよ」「へー!そうなんですか😊」

  • 反復

「尾瀬に行ったんですが、きれいでしたよ」「へえ、尾瀬、いいですね❤️」

  • 共感

「途中で雨が降ってきてしまったんです」「うわ〜、それは大変でしたね😞

  • 称賛

「でも、こんなきれい虹の写真が撮れたんです」「おー、すごいですね❗️」

  • 質問

「帰りに寄ったお蕎麦屋さん、おいしかったですよ」「なんていうお店ですか」

「○屋というお店です」「あ!○屋ですね、私もインスタで見ました。何を食べたんですか?」

 

感嘆のあとに「どこに行ったんですか」、反復のあとに「どこにあるんですか」「東京から何時間くらいかかりますか」、共感のあとに「それでどうしたんですか?」と質問すると話がより膨らみます。5W1Hの疑問詞とYes/Noの質問をうまくローテーションして使うと会話は続いてきます。この質問力、アップさせたいですね!

 

聞き上手はリアクション上手:「相づち」について

上記のようなリアクションなら、初級後半レベルの学習者でもできそうな気がしませんか。

リアクションもこのようにバリエーションがあると会話が単調にならず、いいですよね。リアクションは会話を続けるために欠かせませんので、運用練習の中でぜひ紹介して、積極的に取り入れていきたいですね。

拡張話法とセットで使いたいのが相づちです。相づちは「私はあなたの話をちゃんと聞いていますよ〜」という合図です。例えば、「うん」「へー」「ふーん」「なるほど」「たしかに」など。

日本語は上手なのに相づちの打ち方がおかしかったり、うまく相づちが打てなくてすぐに会話が終わってしまったりする人っていますよね。これはもったいない!相づちは消極的なコミュニケーションという感じもしなくはないですが、実は会話をする上でとっても重要な機能を担っているのです。

もちろん相づちは外国語にもありますが、そのタイミングは言語によって異なります。たとえば、英語の場合、頻繁な相づちはむしろ邪魔で失礼な行動とされることがあります。ということで、日本語における相づち表現というのを学ぶ必要があるのです。

 

 

Small talk is a big deal! ぜひ皆さんも日頃のレッスンに雑談トレーニング取り入れてみてください!

<本日の参考文献>

雑談の正体』 著:清水崇文(凡人社)

人は話し方が9割』 著:永松茂久(すばる舎)

Weekly J:book1』(凡人社)自然な会話、リアクションが多く含まれていてお勧め!(対象レベル:初級後半〜)

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