「~ないことはない」と「~ないわけではない」って同じ?

「~ないことはない」と「~ないわけではない」って同じ?

先日cotoのチャットでこのような質問が投稿されました。

<質問内容>

「~ないことはない」を勉強した生徒さんから、「~わけではない」とどう違うのかと質問をされました。この2つに意味の違いはあるのでしょうか。置き換えできない場合もありますか。

「~ないことはない」と「~わけではない」…。見た目はそっくりですね。

少し例を挙げて見てみましょう。

<例1> 

A:1週間でできますか。
B:できないことはないですが、かなり頑張らないと難しいですね。
B’:できないわけでないですが、かなり頑張らないと難しいですね。

…このケースは「~ないことはない」と「~わけではない」を入れ替えても、どうやら意味は同じですね。

 

<例2> 

A:とても明日までには終わりそうにないんですけど…。
B:いや、やる気があれば、できないことはありませんよ。
B’:いや、やる気があれば、できないわけではありませんよ。

…おや? なんだか違和感を覚えます。

というわけで、今回は「~ないことはない」の使い方を「~わけではない」と比較して掘り下げていきたいと思います。

 

「~ないわけではない」と置き換えられる場合

 

「日本語文型辞典」(くろしお出版)には以下のような説明があります。

A:1週間でできますか。
B:できないことはないですが、かなり頑張らないと難しいですね。

A:行きたくないの?
B:行きたくないことはないけど、あまり気が進まないんだ。

「一面ではそうだが100パーセントそうだというわけではない」といった断定を保留して言うような場合に用いる、とのこと。

なるほど。ここでの「~ないことはない」は断定保留。つまり「できるが必ずしもできるということではない」「できないこともある」ということで含みを持たせています。「~ないことはない」は比較的中立的と言えますが、私が相手から「できないことはないですねぇ」と言われたら、(あ~、こりゃできると期待しちゃダメなやつだ…)と思いますね。

 

では、この例文での「~ないことはない」を「~ないわけではない」と置き換えて確認してみましょう。

A:1週間でできますか。
B:できないわけではないですが、かなり頑張らないと難しいですね。

A:行きたくないの?
B:行きたくないわけではないけど、あまり気が進まないんだ。

はい。「~ないわけではない」と置き換えても違和感はないですね。文脈や話し手の印象によっても受け取り方は変わると思いますが、「~ないわけではない」で言われたら、(いやいや、そこをなんとか頼むよ・・・)ともうひと押ししたくなります。

「~ないことはない」と「~ないわけではない」は置き換えられますが、若干受け手のニュアンスは異なりそうですね。

 

「~ないわけではない」に置き換えられない場合はあるの?

別の例を見てみましょう。再び「日本語文型辞典」(くろしお出版)で確認してみます。

A:とても明日までには終わりそうにないんですけど…。
B:いや、やる気があればできないことはありませんよ。

相手の発言を受けて「そのようなことは全くない」と全面的に否定する、とのこと。

 

なるほど。ここでの「~ないことはない」は全面否定。つまりこういうことです。

B:やる気があればできないことはありませんよ。→B:やる気があればできますよ。

「ことではない」の場合、話し手は具体的な事柄や状況(ex. このボリュームならね、あと1日あるからね)からできると判断しています。

 

では、この例文での「~ないことはない」を「~ないわけではない」と置き換えて確認してみましょう。

A:とても明日までには終わりそうにないんですけど…。
B:いや、やる気があればできないわけではありませんよ。

こう言われたら、ちょっとモヤっとしませんか。イラっともします。抽象的な理由(ex. みんなやっているんだから)でなんだか嫌な感じです。文法的には間違いというわけではないけれど、この言い方をネイティブの日本人は選びません。

いやあ、これらのニュアンスを学習者に理解してもらうのは難しいですね。ネイティブの私たちでも難しいです。こういった場合は、「置き換えられない」といってしまった方がいいのでしょうか・・・。

 

紛らわしい二重否定

冒頭の質問に戻ります。

「~ないことはない」を勉強した生徒さんから、「~わけではない」とどう違うのかと質問をされました。この2つに意味に違いはあるのでしょうか。置き換えできない場合もありますか。

…ということでしたね。

これまで見てきたように「ないことはない」には、文脈により断定保留と全面否定との2つの意味があります。そして、断定保留の場合には「ないわけではない」と入れ替え可能、ということになります。

いやしかし、それにしてもです。非常に紛らわしい表現だと思いませんか。それは「ない」が二つある=二重否定だからでしょう。それに加え、文脈や話し手の言い回しによっても異なる解釈が生じる可能性があるからでしょう。。。この回りくどさや微妙なニュアンスの違いがノンネイティブの頭を悩ませるのでしょうね。

 

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