「ざるを得なくなる」ってどう使う?

「ざるを得なくなる」ってどう使う?

 先日、講師からこんな質問がありました。

「台風の影響で、沖縄旅行を諦めざるを得なくなった」と「諦めざるを得ない」の違いは何でしょうか。

うーん…。確かに言ってることは同じような…。「〜くなった」だから、「変化」の意味があるんだろうけど…。ということで、今回はこのニュアンスの違いについて考えてみましょう。

 

ざるを得ない

まずは、「〜ざるを得ない」の表現について考えてみましょう。

文法書によると、

「(何かの事情や理由があって)〜することは避けられない」という意味。

 <例文>

  • 地震の影響で電車が全部止まっちゃった…今日はタクシーで帰らざるを得ないなぁ。
  • このグループのチケット、人気すぎて抽選全部外れちゃった…涙 今回は諦めざるを得ない・・・涙
  • クライアントがうちの会社を訪問するって!?明日は出社せざるを得ないか。あーあ、リモートの日だったのに。
  • 彼の性格を見ると周りからの評判は悪いが、確かに仕事は早い。悔しいが彼の実力を認めざるをえない。
  • 他に誰もやる人がいないのであれば、私がやらざるを得ないでしょ
  • ビッグチャンスだけど、家庭の事情で今回のオファーは断らざるをえない。

このように、「ざるをえない」は外的要因、つまり避けられない/抗えない状況など、自分自身の意思ではどうにもできない事情によって、諦めを強いられるときに使われます。

表現が硬いせいか、諦めモードだからか、話し言葉で使うと、なんとなくずーんと重い感じがします。「くぅー、残念、無念・・・致し方ない」という気持ちがぐっと伝わってきますね。

「〜ざるを得ない」VS「ざるを得なくなった」

「〜ざるを得ない」で抗えない状況や心情は説明できるけど、ここに「変化」というニュアンスは別にないんじゃない…??というところに気づくのではないでしょうか。

・諦めざるを得ない → 状況の描写のみ

・諦めざるを得なくなった → 状況の変化が起きている

もうちょっと見てみましょう。 

・病気が見つかり、今まで元気だったけど、入院せざるを得なくなったようだ。

→今まで元気だったあの父が、入院する状況にまでなった。

・台風接近に伴う影響で、今回のイベントは中止せざるを得なくなってしまいました。

→今までの予報と違って、悪天候で開催できない状況になった。

・スタッフが足りなくて、出勤せざるを得なくなってしまった。

→休みのはずだったが、出勤しなければいけない状況になった。

 「ざるを得ない」も「ざるを得なくなった」も事実だけ見ると同じですが、変化という視点で表現したい場合は、「ざるを得なくなった」を使ったほうが「ことの成り行き」の説明がつくように思います。「こうなったのは不可抗力なんです」で、「ざるを得ない」は自動詞的用法の「なる」と相性がいいんでしょうね。

 

「〜ざるを得なくなる」会話練習での扱い

今回のテーマの「〜ざるを得なくなる」の表現、個人的にはそんなに使いたくないですが、いったいどんな時に使うのでしょうか。

例えば、こんな状況はどうでしょうか。

 ☆上司と週末にゴルフに行く約束があった

A:すみません、土曜日のゴルフのことなんですが…

B:うん、どうした?

A:…本当に申し訳ありません!!実は急な会議が入ってしまい、出勤せざるを得なくなりまして…。

B:あ、そうなの…。大変だね…。

A:せっかく誘っていただいて楽しみにしていたのに、本当に申し訳ございません😭

 

上司に誘われていたゴルフの予定があったけど、どうしても行きたかったけど、断らなきゃいけない…。聞き手も「どうしようもない状況で行けなくなった」という状況を察することができて、断られても、嫌な気分にはならないのではないでしょうか。

たとえ行きたくなかったとしても、とりあえず「したいけど、やむを得ず…」感を出せるので(言い方、ワルっ・・・)、相手を不快にさせることなく穏便に断れそうです。笑

「〜ざるを得なくなった」は人間関係を重んじる日本において、日本人は知っておくと便利な配慮表現ではありますが、こういった表現は日本語を学ぶ全ての外国人に使えるようになってほしいといった類のものではありません。ただ、どんなに日本語が流暢な外国人でも、このようなニュアンスがある表現はわかりにくいということは知っておくと良いかもしれませんね。

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