中級文法コラム14.に限る・に限って・とは限らない

中級文法コラム14.「に限る」「に限って」「とは限らない」

 

A:いや~。冬はやっぱり温泉旅行に限るねぇ。

B:そうだね。一面の雪景色もきれいだね。

A:さっそく写真撮ろう! あれ?

B:どうしたの?

A:あれっ、スマホがない… あ、出かけるまえにしっかり充電しとこうと思って、充電器にさしたんだった…。

B:あらぁ、忘れちゃったんだ…。

A:うわ~、最悪ぅ!今日に限ってスマホ忘れるなんて!!

B:インスタ大好きなAさんが、いつもスマホ持ってるとは限らないんだね。

 

さて、今回は「限る」シリーズを見ていこうと思います。

同じ「限る」でもいろいろな使い方がありますね。どんな使い方があるのでしょうか。例文をあげて考えてみましょう。

 

に限る

<例文>

・冬はやっぱり温泉に限る。

・歌はライブで聴くに限る。

・危ないところにはいかないに限るよ。

 

話している人がBestだ!と思うことを言うときに使います。

でも、人によっては、冬は温泉より「こたつでみかん!」という人もいるでしょうし、ライブよりヘッドフォンで聴くのが好きな人もいるでしょう。危ないところの方が楽しいという人もいるはずです。

ということで、主に話す人の主観でBestだ!と思うことを言っています。

 

<例文>

・お子様ランチ無料!(6歳以下に限る)

・こちらのトレーニングマシンはご自由にお使いいただけます。(会員に限る)

・こちらのサービスチケットで10%割引いたします。(平日に限る)

かつて、「イケメンに限る」なんてのが流行りましたが、このようにお知らせなどで範囲を限定する時に使っていますね。

 

 

に限って

<例文>

・Appleに限って、格安で低性能なスマホは作らないよ。

・山田さんに限って、人を傷つけるようなことを言うとは思えないけど…。何かの間違いじゃない?

・川田君に限って、時間通りに来るわけないじゃん。待ってても無駄だよ。先に行こうよ。

 

皆さんご存知の通り、Apple製品はスタイリッシュで高性能。そんな会社が低スペックの格安スマホを作るとは思えません。ブランドイメージが落ちてしまいますからね。

前件についての特徴や性格をよく知っているという前提で、後件のようなことは絶対ないと信じている。ただ、その確信が揺らいでくると、文末に「と思う」や「とは思えないけど」などがついて、やや表現が弱くなるようです。山田さんを信じたいけど、もしや…という感じです。一方、川田君はまったく信じられてないですね。

 

<例文>

・今日に限ってスマホを忘れた。

・普段暇なのに、誘われた日に限って予定が入っていた。

・体調が悪いときに限って、仕事や残業を頼まれる。

 

今日は旅行で写真をいっぱい撮りたい。いつもは忘れることがないのに、こんな大事な日に忘れてしまった。普段はそうでもないのに、その時だけ残念なことが起こっています。スケジュールは真っ白なのに、誘われた日だけ予定が入っていて行けない。普段定時あがりなのに体調が悪くて早く帰りたい日だけやたらに仕事が増える…。

このように、「何でこのタイミングのときだけついていないの⁉」と怒りたくなる気持ちの時に使います。

 

 

とは限らない

<例文>

・イタリア人だからって陽気だとは限らないんだよ。僕みたいにシャイなイタリア人だっているんだよ。

・プレゼントをもらったからといって、嬉しいとは限らない。

・旅行に行ったとき、いつもお土産を買うとは限らない。

 

「~からって、~からといって」とくっついていますね。イタリア人と聞くと陽気なイタリアンってイメージがありますが、そのイメージ通りではない人ももちろんいますよね。昨今このようなステレオタイプのイメージを授業内で言うのは気をつけたほうがいいとは思いますが…。皆さんも、導入文にはくれぐれも使わないでくださいね(笑)。

プレゼントもたいていもらうと嬉しいものですが、稀に本当にいらないものもらったりしますよね。プレゼントではないですが、子供の頃にお歳暮やお中元で干しシイタケが届いたときほんとにがっかりしました。それから、旅行と言えばお土産ですが、絶対みんなが買うわけではありませんね。

このように「一般的には~というイメージだけど例外もあるよ」というときに使います。

 

まとめ「に限る」「に限って」「とは限らない」

  1. 「に限る」話し手がBestだ!と思うことを主張する。お知らせなどの中で、範囲を限定する。
  2. 「に限って」根拠があって、対象となる人などを強く信じているから「絶対に~ない」。この時だけなぜかついていない。
  3. 「とはかぎらない」ステレオタイプや一般的なイメージに入らない例外もある。

必ずしも教科書や文法書が正しいとは限りません。いろいろ例文を作って自分なりに考察して理解を深めていけば、文法書を読んでたまに感じるモヤモヤ感が晴れるかもしれませんよ。

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