日本語教師に求められる役割とは?パート6

日本語教師に求められる役割とは? パート6

ファシリテーターとは?

ファシリテーター(facilitator)とは、活動や会議がスムーズに進むように舵取りをする人のことです。最近よく聞くことばで、色々な書籍も出ていますね。ここ数年、日本語教師能力検定試験でも度々出題されていることばです。

ファシリテーションは、ビジネスの場面における会議の運営方法の一つとして知られており、いかにチームを円滑に効率的に動かしていくかという場面で用いられています。昨今は教育分野の中でも主体的・協働的な学びのために、ファシリテーションの重要性が指摘されています。

 

ファシリテーターとして日本語教師ができること

このパンデミックの中で学び方が多様化し、私たち日本語教師も色々なスタイルでレッスンをしてきました。皆さんも色々経験したからこそ見えてきたものがあるでしょう。

1on1のレッスンやオンラインレッスンでは得難いものが対面のグループレッスンにはあります。対面のグループレッスンでこそ得られる学び、面白さ、良さがやはりあると思います。

レッスンで学習者同士が話す中で生まれるケミストリー、休み時間のたわいもない会話の中から生まれる気づきなどは、教師から得られるものとは異なります。これがもっと上手くなりたいとモチベーションが上がり、主体的な学びにもつながります。

初級〜中級前半のクラスではどちらかというとインプットの機会が多いかもしれませんが、中級後半以上になるとアウトプットの機会が増えてきます。学習者はより抽象的で複雑なことを文脈で話せるようになってきます。適切な表現を考えながら話すことから、内容についても考えながら話せるようになってきます。一方で、このレベルの学習者は上達している実感をなかなか感じられなくなっている時期でもあります。

中級後半以上の学習者には、ペアワークやグループワーク、ディスカッションなど学習者同士で活発に意見交換や問題解決を行うなどアウトプットの機会より多く作ると良いでしょう。クラスメートなど他者との関わりながら、言語運用の運用能力の獲得を目指していきます。

日本語教師はファシリテーターとして、学習者に心理的な負担を感じさせることなく、活発にアクティビティに参加することを促す役割を担います。あくまでも、ここでの私たちの役割は学習者を主役として引き立てる脇役、黒子です。ということで、私たちは黒子に徹することができるようファシリテーターとしてのスキルを身につける必要があります。

 

ファシリテーターに必要とされるスキル

主体的に学ぶことができる場をデザインする力

発言やアイデアを学習者から存分に引き出す場をデザインします。学びを有意義なものにするために、話しやすい雰囲気を作ります。

話し合いのメンバー構成、話し合いの仕方やプロセス、使ってほしいことば、時間配分などを事前にしっかり決めておくこともファシリテーターの役割です。

はじめにアイスブレイクの時間を設けたりして、これから日本語で考えて、聞いて、話そうというモードに切り替えるのも有効です。

学習者とゴールを共有し、サポートする

日本語教師は明確なゴールを設定し、それをクラス間で共有し、定められたゴールに向かえるよう学習者をサポートしていきます。学習者は目的意識を持って、ブレることなく、ゴールに向かうことができるので、達成感を得ることができます。

傾聴力とフィードバック力

教師は学習者の可能性を探るべく、対話をよく観察します。学習者の発言をしっかりと聞き、適切な声がけをしていきます。時には口を挟みたい場面もあるかと思いますが、そこはグッと我慢です。そして、「教えようとしない、決して先走らない」というスタンスで声がけをしていきましょう。

レッスンの最後には必ず、次の学びにつながるようなフィードバックをします。内容もさることながら、日本語の使い方などについても、それぞれの良かった点と改善点を具体的に学習者に伝わることばで述べられるようにしておきましょう。

 

今回は私自身がニュースなどの生教材を扱った上級授業や、日本語教師向けのワークショップを行う中で重要性を感じたファシリテーターという役割についてお話ししました。ファシリテーターとしての役割がうまくいった日は、きっと学習者の顔つきが違いますよ!

過去記事『日本語教師に求められる役割とは?』シリーズ1〜5はこちらをご覧ください!

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