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日本語教師の先輩体験談~独学で検定合格、大学院を経て日本語教師に~
日本語教育能力検定試験を独学一発で合格し、その後、修士を取得、日本語学校で教えるようになってこの3月で丸3年。今回は私Kが唯一日本語業界にスカウトした友人Mさんにお話を伺いました。
日本語教師を目指したきっかけ
K:はじめに、日本語教師を目指したきっかけを教えてください。
M:8年くらい前ですかね。その当時、Kさんと私は幼稚園で唯一のワーキングママでした。私は時短勤務で復職してまもなく第3子の妊娠がわかり、今後のキャリア、ワークライフバランスについて悩んでいました。代わりのきく組織プレーに自分の限界を感じていました。私たちは同い年で同じ二児のワーキングママ、よくそんな話をしていましたね。
私の祖母も教師でしたが、Kさんを見ていて生涯を通じて何かのプロになれる仕事っていいなと思っていました。そんなKさんに言われた「日本語教師に向いているんじゃない?」の一言は大きかったです。背中を押されたような気がしました。
語学を教える仕事はとても魅力的にうつりましたね。私は学生のころ、中国に留学したり、会社の研修でアメリカに行ったりしていて、語学の勉強が好きでしたから。また、スタートが遅くとも全ての経験がいかせる仕事だというアドバイスも非常に印象的でした。
K:そうでしたね。よく覚えています。Mさんは留学経験があり、勉強が得意で、言葉選びのセンスがバツグン、物事の見方や考え方などのバランスがよく、いつもポジティブ。日本語教師に向いているな、一緒に働いたら楽しそうだなと思って声を掛けました。
先日拝見した大学院受験の際にMさんが提出した志望動機の一部が印象的だったので、引用させてください。
15年間の金融機関勤務を終え日本語教師を目指したのは、子どもの通う幼稚園の先生との出会いがきっかけです。子ども一人ひとりを尊重し、ニーズを正確に察知し、心に寄り添いながら柔軟な対応が出来る方です。また、常に笑顔と人間味があふれています。そこにはプロフェッショナリズムが感じられます。彼女に出会い、私も誰かの人生に直接関わっていく仕事を極めたいという想いを強くいたしました。
独学で日本語教育能力検定試験に挑戦!
K:日本語教師になるためにはいろいろな方法がありますが、Mさんは迷うことなく独学での検定合格を選んでいましたね。
M:まず、日本語教師になるためにはどのような方法があるか調べました。第3子の出産後、大学に通うことや420時間の講座を受講しに外出することは物理的に無理です。必然的に日本語教育能力検定試験の合格を目指しました。
孤独な試験勉強の日々でした。何が一番辛かったって、勉強それ自体よりも同じ目標を持つ友人がいなかったことです。試験当日、会場でたくさんの受験生を目にした時はたくさんの同志を得たような気持ちになり、勝手に心強くなったことを覚えています。(笑)
科目履修生から修了まで
K:検定合格の後、すぐ報告の電話をくれましたね。
M:合格通知を手にして、すぐ連絡しました。「おめでとう」の言葉の次にKさんが発した言葉は「じゃ、次は大学院ね。いきなり修士にならなくても単位が取れる制度があるから、それをやってみて」でした。「え、次?」ですよね。
K:はい、次です。「鉄は熱いうちに打て」です。(笑)
ちょうど私自身も仕事の幅を広げるのであれば、大学院に行ったほうがいいなと考えていたので。Mさんが出産したばかりで仕事ができないのはわかっていました。ただ、せっかく検定に合格したのですから、将来の就職に繋げるべく何らかの形で日本語教育に関する勉強を続けてほしかった。資格は取ったものの・・・という人も多くいますからね。なので、勉強するなら今のうち、時間も退職金もあるんだし、まずは母校の科目履修生になってみたらどうかと勧めてみました。
M:私にとっても、週1回1授業から専門的に勉強できる制度はとても現実的なプランでした。それまでは試験勉強の悩みなどを話す仲間すらいませんでしたから、新たにスタートした学生生活は新鮮でした。経験を踏まえ悩み議論を重ね、考察を行う人々ばかりの環境は刺激的でしたね。
当時の私は目の前の授業準備と振り返りで精一杯でしたが、自然と修士を目指すことになりました。どこの後ろ盾もなかった私の推薦状もKさんが書いてくれましたね。
また、「卵(経験)が先か鶏(学問)が先かというだけの話よ」と、現場の経験もなく理論の世界の入り口に立っていた私に屈託ない笑顔で話してくれた教授の一言にも救われました。
こうして全く日本語教師経験のない私は、無邪気にも無謀にも修士過程に進学しました。科目等履修生から修了まで4年。第3子の卒園式の翌日が私の修了式でした。
日本語学校にて非常勤講師としてスタート
K:修了した後は?
M:日本語学校で経験を積もうと思いました。現場に出るにあたり、一番重視したのはOJTが充実した日本語学校であるということです。
大学院で影響を受けた先生が関わっていた日本語学校で非常勤講師として働くことにしました。私が所属した学校は、授業の内容や問題点、成功事例などについて多くを共有するべきという考え方だったため、恵まれた環境で日本語教師デビューができました。
半年くらいは長いトンネルの中にいたように思いますが、あれから3年たって、今はそれもいい思い出になりました。
K:大学院で学んで良かったと思うことはありますか?
M:大学院が森なら、現場の日本語学校は木。「木を見て森を見ず」と言う言葉がありますが、現場に出たばかりの頃は「森を見て木も見ている」感じでした。
大学院でそれなりに知識や理論は身につけたものの、教師としては1年生。はじめはそのギャップが結構しんどかったですね。修士課程の時は漠然としか理解できていなかったことが、経験を通して自分のものになってきているのを今は感じています。
日本語教師の魅力とは?
K:最後に日本語教師という仕事の魅力を教えてください。
M:全く別の職種からの転職でも、全ての経験をいかすことができるのが日本語教師の良い点だと思います。日本語教師になってからもそうですね。知識や経験は私を裏切らない。また、誰かの人生に直接関わっていることの充足感と「私じゃないとできない」という責任感のようなものを日々感じられるのも日本語教師の魅力です。
K:本当にその通りですね。いつか一緒に仕事がしたいですね。お互い、がんばりましょう。ありがとうございました。
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