【日本語教師】学習者におすすめしたい日本語学習アプリ10選|悩み別レビュー(前編)
Contents
はじめに
先日、「ちょっと学習者になってみよう!日本語学習アプリ体験会」が開催されました。
一口に日本語学習アプリといっても、その種類はさまざまです。学習者のレベルや目的、学習スタイルによって、向いているアプリは異なります。
実際に使ってみると、「この機能は便利」「この例文は少しわかりにくい」「このアプリはこんな学習者に向いていそう」といった特徴が見えてきます。
こうした使い勝手や適性は、普段から日本語を教えている教師だからこそ気づける視点ではないでしょうか。
主要なアプリを一通り試しておけば、学習者から「おすすめのアプリはありますか?」と聞かれたときにも、教師として紹介しやすくなるでしょう。
今回は、教師の視点でアプリを使ってみた感想をご紹介したいと思います。
※本記事の機能や料金は、記事執筆時のものです。
悩み別:教師目線で使ってみた日本語学習アプリ
①「何から始めればいいかわからない」学習者には
Duolingo
<使ってみた感想>
日本語だけでなく、多くの言語に対応しているほか、チェスや数学まで学べる学習アプリです。
実際に使ってみると、1レッスン3分程度から始められ、イラストやキャラクター、音声も豊富でゲーム感覚で進められます。 テンポよく問題が進み、気づけば10分ほど続けていました。
また、「連続学習日数」やポイントなど、学習を継続したくなる仕組みが随所に取り入れられています。
私が試した範囲では、扱われている文法や語彙は、N4程度までの学習者に向いている印象でした。
初級文法の定着や復習には十分役立ちますが、中級以上の学習者には物足りなく感じるかもしれません。
<こんな学習者におすすめ>
- 日本語を学び始めたばかりの人
- 何から勉強すればいいか迷っている人
- 毎日の学習習慣を身につけたい人
- ゲーム感覚で楽しく続けたい人
<レッスンでこう活用できそう>
学習習慣がなかなか定着しない学習者には、「まずは毎日5分だけやってみましょう」「通勤・通学で電車に乗ったら、まずDuolingoを開いてみてください」といった具体的な声かけがしやすいと感じました。
日本語力そのものを伸ばす教材というより、「毎日日本語に触れる習慣」を身につけるための入り口として活用できそうです。
<教師メモ>
初級へのおすすめ ★★★★★
中級へのおすすめ ★★☆☆☆
宿題への取り入れやすさ ★★★★★
継続しやすさ ★★★★★
② カタカナが苦手/似た文字をよく読み間違える学習者には
Memory Hint
<使ってみた感想>
国際交流基金が提供する、ひらがな・カタカナ・漢字を、それぞれ個別に学べる無料アプリです。
今回は「Katakana」を試してみました。
アプリには「Read the Katakana」「Choose the Katakana」「Listen & Choose」「Similar Katakana」の4つの練習があります。
特に良いと感じたのは「Similar Katakana」です。
「シ」「ツ」「ソ」「ン」のような、形がよく似た文字を見分ける練習ができるため、苦手な学習者には特に効果がありそうです。
シンプルな内容ですが、1回1分程度で取り組めるので、通勤・通学中などのスキマ時間にも続けやすいと感じました。
<こんな学習者におすすめ>
- カタカナがなかなか覚えられない人
- 似た文字をよく読み間違える人
- イメージで覚えるタイプの人
- 短時間で少しずつ練習したい人
<レッスンでこう活用できそう>
カタカナは、ひらがなほど頻繁に登場しないため、読むのに苦労する学習者は少なくありません。
レッスン中、学習者がカタカナを読めないと、つい教師が読んでしまうことがありますが、そのままでは学習者は音をまねしているだけで、文字を認識できていない可能性があります。
とはいえ、レッスン中にカタカナだけを集中的に練習する時間を確保するのは難しいものです。
そんな学習者には、「毎日1分だけ『Similar Katakana』をやってみましょう」と宿題として提案しやすいアプリだと感じました。
レッスン時間を使わずに、苦手な文字だけを効率よく復習するツールとして活用できそうです。
<教師メモ>
初級へのおすすめ ★★★★★
中級へのおすすめ ★★★☆☆
宿題への取り入れやすさ ★★★★★
継続しやすさ ★★★☆☆
③「読めるけれど書けない」「漢字の形があいまい」学習者には
漢字道場
<使ってみた感想>
漢字を手書きしながら学べるアプリです。
日本語学習者専用ではなく、日本の学校で習う漢字をレベル別に学習できるようになっています。
漢字が読めても、実際に書くと字の形が崩れてしまったり、癖の強い字になってしまったりする学習者は少なくありません。特にオンラインレッスンでは手元が見えないため、書く練習が不足しがちです。
このアプリでは、スマートフォンの画面に実際に指で漢字を書きながら学習できます。書いて覚えるタイプの学習者には取り入れやすいと感じました。
また、学習を続けるためのリマインダー機能もあり、毎日の学習習慣づくりにも役立ちそうです。
おすすめは「テーマ別」の中にある「海外で人気の漢字」です。英語と関連付けながら学べるため、外国人学習者にとって興味を持ちやすいテーマだと感じました。
さらに、オンライン対戦機能のほか、四字熟語やことわざ、百人一首なども収録されており、漢字が好きな学習者でも長く楽しめる内容になっています。
<こんな学習者におすすめ>
- 漢字は読めるけれど書くのが苦手な人
- 字の形が崩れやすい人
- 手を動かして覚えたい人
- 漢字が好きで、さらに学習を深めたい人
<レッスンでこう活用できそう>
オンラインレッスンでは、学習者がどのような書き順や字形で書いているかを細かく確認することが難しい場面があります。そのため、授業だけでは書く練習の量が不足しがちです。
そんな学習者には、「1日5分だけ漢字道場で書く練習をしてみましょう」と宿題として取り入れやすいと感じました。
「読む」だけで終わらず、「実際に書く」機会を増やすことで、漢字の定着にもつながりそうです。
レッスンでは補いにくい「書く練習」を、自宅学習で補えるアプリとして活用できるでしょう。
<教師メモ>
初級へのおすすめ ★★★☆☆
中級へのおすすめ ★★★★☆
宿題への取り入れやすさ ★★★★☆
継続しやすさ ★★★★☆
④「文法や語彙を体系的に学びたい」学習者には
Bunpro
<こんな学習者におすすめ>
Bunproは、JLPTの初級レベルからN1までの文法を体系的に学べる学習アプリです。
今回はN3レベルを体験してみました。
利用するにはメールアドレスとパスワードを登録してアカウントを作成する必要があります。このひと手間はありますが、その分、学習記録が保存され、自分の進捗を確認しながら学習を続けられます。
文法ごとに意味や使い方、例文が豊富に掲載されており、説明は英語と日本語(ふりがな付き)の両方に対応しています。例文には音声も付いているため、読む・聞くの両面から学習できます。
問題は選択式ではなく、自分で答えを入力する形式です。うろ覚えでは答えられないため、文法の理解や定着を確認しやすいと感じました。
また、学習記録がデータとして可視化されるため、「ここまで学習できた!」という達成感も得やすいアプリです。
<こんな学習者におすすめ>
- 文法を順番に積み上げながら学びたい人
- JLPT対策を計画的に進めたい人
- 英語で文法の説明も確認したい人
- 選択問題より、自分で考えて答えたい人
<レッスンでこう活用できそう>
文法の説明や例文が充実しているため、学習者の予習・復習用として活用しやすいアプリだと感じました。
また、日本語と英語の両方で解説が掲載されているので、教師が導入例文を考える際の参考資料としても役立ちそうです。
英語を媒介語として教えている場合には、学習者への説明を組み立てるヒントにもなるでしょう。
ゲーム性はあまりなく、イラストやBGMもほとんどないため、「楽しみながら学ぶ」というよりは、「文法をしっかり理解したい」という学習者に向いている印象でした。
<教師メモ>
初級へのおすすめ ★★★★☆
中級へのおすすめ ★★★★★
宿題への取り入れやすさ ★★★★☆
継続しやすさ ★★★★☆
⑤「日本語を話したいけれど、いきなり会話は不安」な学習者には
Aomi Japanese Speaking
<使ってみた感想>
Aomi Japanese Speakingは、日本語の発音や会話練習に特化したアプリです。利用するにはメールアドレスとパスワードを登録してアカウントを作成する必要があります。
会話でよく使う短いフレーズを声に出して練習できるほか、このアプリの最大の特徴は、ピッチアクセントを視覚的に確認できることです。
音声だけでなく、頭高型・中高型・尾高型・平板型といったアクセントの違いが画面上で表示されるため、自分の発音を意識しながら練習できます。
収録コンテンツもユニークで、「ハロウィーン」などのカタカナ語、「佐藤さん」など日本人の名字(検索機能あり)、「富士山」「新宿」といった地名、「いただきます」「もったいない」など英語では一言で表しにくい日本語まで幅広く学べます。
さらに、早口言葉や「愛想が尽きる」といった慣用句も収録されており、初級者だけでなく上級者でも楽しみながら学習できそうだと感じました。
無料版でも基本的な学習はできますが、一部の機能には制限があります。有料プランも用意されているため、継続して活用したい場合は検討してもよいでしょう。
<こんな学習者におすすめ>
- 日本語を話したいけれど、自信がない人
- 発音やアクセントを改善したい人
- 実際の会話の前に一人で練習したい人
- 日本らしい表現や慣用句も学びたい人
<レッスンでこう活用できそう>
こちらの記事(【日本語教師の疑問】N2なのに話せない…スピーキングが伸びない理由とは?)にも書きましたが、会話やスピーチのレッスンでは、「間違えたら恥ずかしい」と感じて、なかなか話し始められない学習者もいます。
そんな学習者には、まずアプリで短いフレーズを声に出して練習してからレッスンに参加してもらうと、心理的なハードルを下げられそうです。
また、アクセントを視覚的に確認できるため、教師が授業中にすべての発音を細かく指導することが難しい場合の補助教材としても活用しやすいと感じました。
<教師メモ>
初級へのおすすめ ★★★★☆
中級へのおすすめ ★★★★☆
宿題への取り入れやすさ ★★★☆☆
継続しやすさ ★★★☆☆
まとめ
日本語学習アプリは、レッスンの代わりになるものではありません。しかし、学習習慣づくりや苦手分野の克服など、教室だけでは補いきれない部分をサポートしてくれる心強いツールです。
大切なのは、「人気のアプリ」を勧めることではなく、学習者一人ひとりの課題や学習スタイルに合ったアプリを選ぶことだと思います。
今回は、学習習慣づくり、文字学習、文法、発音など、授業の補助として活用しやすい5つのアプリをご紹介しました。
後編では、「語彙を定着させたい」「復習を効率化したい」「JLPT対策をしたい」など、さらに別の悩みに役立つアプリを5つご紹介します。



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