【検証】ChatGPTを使って日本語レッスン初級学習者向け教案を作ってみた

【検証】ChatGPTを使って教案を作ってみた

AIよ…私の代わりに教案作ってくれんか…

先日「ChatGPT-4o、語学の先生になれるか使ってみた」と題して、Cotoフォーラム主催の勉強会が開催されました。私からは以前書かせていただいたコチラの記事(【検証】Chat GPTで会話練習できるんなら、先生いらない?? – 日本語教師応援サイト コトハジメcotohajime )を踏まえ、ChatGPT-4oの使用感や私の体験談をシェアさせていただきました。勉強会の後半では、AIが今後どう使えるか、どう助けになるか、クラス運営的に今後どのような問題が生まれそうかなどディスカッションが行われたのですが…

この勉強会である先生がおっしゃっていたことが、私の心に火を点けました。

私たちの仕事の9割は教案を書くこと。この膨大な作業をなんとか軽減できないか

そう!本当にそう!!

もう~、毎日毎日膨大な時間が取られる教案づくり。導入はどうしようか、どんな教材で練習しようか、応用はどのようにもっていこうか、時間配分をどうしようか…など、準備することは山ほどありますよね。正直言って「しんどい!」と思うこともあります。

AIに教案を書かせる…よっしゃ!すぐにやってみよう!と鼻息荒く意気込んでいたのですが…。

この勉強会の終了後すぐに、なんと主催者のH先輩が実際にChatGPTを使って教案を作る実験をして、その結果をシェアしてくれたのでした。

「AIよ…私の代わりに教案作ってくれんか」…そう思ったのは私だけではなかったようです。

ということで、今回はChatGPTが作った教案を考察していきたいと思います。

初級文法「ている」の教案を書かせてみる

AIを使うときのポイントは、AIが分かるように指示すること。

フワっとした指示ではダメで、具体的であればあるほどアウトプットの精度が上がります。

それでは、ChatGPTに指示を出してみます。

【指示文1】

教える文型:結果継続「ている」

学習者:カナダ人

時間:50分

展開:導入文、活用練習、入れ替え練習、応用練習

要望:必要な語彙と例文がそれぞれほしい

「ている」を学ぶ学生は、N5程度のレベルです。

うーん。「残業する」も「上達する」も中級で学ぶ単語なので、語彙が難しすぎますね。

【指示文2】

「語彙が難しすぎます。JLPT N5レベルでお願いします」

 

ChatGPT「了解しました。JLPT N5レベルの語彙を使用して、レッスンプランを作成し直します」

…お願いしますよ、もう~

おお!語彙が簡単になっている!いいじゃない!
…いや待てよ…「はい、食べています」「はい、書いています」…??
これ結果継続の「ている」じゃないやん。進行形の「ている」じゃないですか、も~。

【指示文3】

練習する、話す、勉強する、見る、聞く、作るなどの動詞は〜ているの形だと結果継続ではなく進行の意味になる動詞グループです。

ChatGPT「ご指摘ありがとうございます。それでは…(云々)。例えば結婚する、知る、住む、持つなどを使います」

そうそう!頑張ってくれよ~

お…!?どうだどうだ??…いい感じじゃないでしょうか…

所感:補助的に使うのはいいが、使う側に日本語教育&AIの知識が必要

検証してくださったH先輩の所感:「ChatGPT先生の教案は50点!」…キビシー(笑)

やはりプロンプト(指示文)はより具体的に細かく出すべきで、最終的にはこのような指示になりました。

それから、たまに例文が不自然なことがあります。

「猫を持っています」…これは、英語からの直訳でしょうね。

イマイチな部分はありますが、生成AIは日本語文法に関する知識や理解は、データとしてある程度正しく貯まっているようです。伸びしろを感じます。

さて、どのようにAIと付き合えばいいでしょうか。

  • 一度でも教えたことのある文型に、別の角度からアイデアがほしいとき
  • 一通り自分で教案を書いたはいいが、いまいちピンとこないとき
  • もうひとつ練習のアイデア、例文がほしいとき
  • 授業の大まかな流れをつかみたいとき

このようなときに、AIを利用するのは有用だと思います。

ただ!丸投げはやはりまだ無理ですね。適切なプロンプトを書くには、こちらの知識や経験が必要です。
現時点では、教案づくりに時間を割くか、プロンプトの正解を探すのに時間を割くかのどちらかなら、やはり自分でう~んとうなりつつも教案を書く方がタイパは良さそうです。

とは言え、AIを使わない手はないと思います。学生たちがバンバンAIを使っているのに、先生は毛嫌いして使わないというのは時代錯誤だと思いますし、何か思いついたらとりあえずやってみるという柔軟な姿勢は持っていたいものです。

生成AIは、例えるならば、成長の伸びしろがある自分の秘書のような存在でしょうか。自分が主となり、相手の特性をよく理解した上で的確な指示ができるのならば、AIは優秀なあなたの秘書として助けになってくれるでしょう。

というわけで、「ワンクリックで教案ができて、レッスン時間までゴロゴロ生活」は、残念ながらまだまだ先になりそうです…。

もっと読む

■日本語教育×ChatGPT⇒コチラ

■ChatGPTで会話できるんなら先生いらない??⇒コチラ

 

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