タイパ?ワークライフバランスって?? 日本語教師の働き方

タイパ?ワークライフバランスって?~圧倒的な「量」の先に見えるもの~

今回インタビューさせていただいたのは、インタビュアーの私もお世話になっているコトハジメ編集部のメンバーでもあるKさんです。

いくつかの日本語学校でのお仕事、アメリカと日本を行ったり来たりする生活、子育て…。
インタビューする中で浮かび上がってきたKさんの「働くことへの考え方」はとてもユニークで、そして働き方改革に対してのある種のアンチテーゼ(笑)でした。

日本語教師としてのキャリアをどう築き上げていくか?どういう職場が自分に合うのか?家族との向き合い方は?そして、働く喜びとは…?きっと考えさせられることが多いはず。

インタビューは、前後半2回(Part 1 & Part 2)に分けてお届けいたします。前半の今回は、Kさんの大学卒業からCotoに至るまでの道のり、です。ぜひ最後までお付き合いください。

インタビュイー略歴

Kさん:
現在Coto 麻布校のLD(Learning Development:教務)。大学卒業後、キャリアスタートは人材派遣会社の営業職。専門学校や日本語学校、米国の日本語補習校などでの勤務の他、日本語の検定試験の作成にも携わるなど幅広い日本語教育の経験の持ち主。ご主人の転勤に伴う3度の渡米や子育てをしながら日本語教師としてのキャリアを築いてきた。

なお、インタビュアーである私Matsubaraについては、こちらに記事がございます。よろしければご覧ください。

Cotoまでの道のり

今、cotoでどんなお仕事をしていますか?

Kさん(以下K):Coto麻布のLD(Learning Development:教務)をしています。LDはCotoに所属する講師の皆さんが安心して楽しくレッスンできる環境や仕組みを整えるのが主な業務です。具体的には講師の採用からオンボーディングまでのサポート、日頃の講師のサポート、教材の作成や整理、講師のレッスンアレンジなどをします。また、これまでインターネット上の講師室 Coto Forumやコトハジメの運営などにも携わってきました。現在は今年の夏にはじまるキッズコースやカルチャーコースの企画運営などをはじめ、様々なコースに携わっています。

Matsubara(以下M):もはや万屋ですね、そしてパワフル(笑)

夫の転勤・子育て… それでもキャリアが途切れなかったのは?

M:Cotoで働く前にも様々なご経験をされていますよね。簡単に教えていただけますか?

K:これまで夫の転勤に伴い、4〜5年の間隔で日本とアメリカを行き来してきました。

ざっと時系列にすると、(日本)人材派遣会社に就職→(アメリカ)TAのボランティア・養成講座の受講→(日本)420hコースを修了、日本語教師として本格的にデビュー→(アメリカ)出産、子育てしながら検定試験作成の仕事など細々と…→(日本)渡米前に勤務した学校に戻り、数年後別の日本語学校に転職→(アメリカ)日本語補習校で高等部の国語教師、継承語教育にも携わる→(日本)渡米前の日本語学校に戻り勤務→コロナを機にCotoに転職、昨年社員登用される(今ここ)。そんな感じです。

M:ホントに日本とアメリカを行ったり来たりしていますね。ご主人の転勤や子育て…。普通この状況では、なかなかご自身のキャリア構築はしにくいと思いますが…。

W:キャリアが途切れなかったのは、もちろん人からいただいたご縁とか、その場の偶然のチャンスがあったというのもあります。でも、常に「次の5年、私は日本語教師としてどうなっていたいか」を考えて行動していたのが大きいと思います。

M:今後も日本と海外を行き来しながらキャリアを続ける予定ですか?

W:実は、昨年から息子と夫はシドニーに住んでいます。今回、私は娘と日本に残る選択をしました。2019年に帰国して5年、私は次のステージを見つけました。今のところ日本で腰を落ち着けて働くつもりです。

海外を行き来する生活を20年近くしてきました。私たち夫婦もどこにいても自分らしくありたいと思ってきましたが、子どもたちにもそうあってほしいと思っています。

今は子どもたちが高校生になり手が離れつつあり、夫のサポートもあり、ようやく思い切り働けるようになりました(笑)。うちの家族は全員、炊事洗濯をはじめ身の回りのことは一人でできるので、今は家のことをあまり心配せずに働けます。

どうしてcotoを選んだの?

M:以前お勤めだったところはアノ有名な日本語学校ですよね?ちょっと踏み込んだ質問になりますが、Cotoに転職しようと思った理由を伺ってもいいですか?2020年といえば、パンデミックの最中でしたね。

W:私のいた日本語学校も感染防止のため通常の対面レッスンができなくなったり、学生がレッスンに来れなくなったりしました。この学校のメソッドを習得したくて、この学校でどうしても教えてみたくて入った大好きな職場でした。ただ、この時の学校の対応は私にとっては納得がいかないもので、自分が成し遂げたいことがここではできないと思ってしまったんですね。けっこう衝動的なタイプで、思ったら即行動しちゃうんです(笑)。それが転職へのきっかけです。

また色々な現場を転々とし、「日本語教師としてどうありたいか」というのが自分の中でクリアに見えてきたタイミングでもありました。日本語教師の働き方、社会的地位の向上や待遇面の改善などに対しても関心が強くなっており、日本語教育ビジネスやマネジメントにも興味が出てきた時期でもありました。

Cotoはインターネットで求人を探していた時に見つけました。「なんか日本っぽくない会社で面白そうだな」というのが第一印象です。また、Cotoのビジョン “Be yourself, anywhere”にもグッときました。ベンチャー的な雰囲気が感じられて「ここでなら面白いチャレンジができるかも」と思い、応募しました。

実際にCotoに入社して感じていることは?

M:いろいろな職場で働かれてきたご経験から、Cotoはどんな会社だと感じていますか?Cotoに合う人・合わない人はどんな人でしょう?

W:Cotoは「こんなのどうですか?」「あ、それいいね」「じゃ、やってみようか」という社風です。ざっくりしていますが(笑)。自ら切り拓いていきたい人は相性がいいでしょうね。どんな仕事もとりあえず挑戦してみようという精神がある方は、Cotoでは楽しく働けると思います。逆に言うと、他者から何か与えてもらうのが当たり前だと思っている人はキツイかもしれません。

あと、私は日本的でしがらみが強い職場、自由がない状態だと苦しくなってしまいます。フリーランスで働くことをずっと選んできたのもその理由です。ただ、Cotoはそういったしがらみが一切ありませんし、外国人スタッフも多いので、私には居心地がいいですね。

M:Cotoではどんなことをしていきたいですか?

W今は、約20年の日本語教師人生の中での気づきや学んできたことを、どんどん周りの人や組織に還元していくフェーズに入っていると感じています。私は日本語教師という仕事が大好きなので、この仕事の素晴らしさ、面白さや深さを皆さんに知ってほしいと心から願っています。

それぞれの人生の中で、学生にはXX先生に出会えてよかったと思ってもらいたいし、先生方には学生からそう思ってもらえる先生になってほしいと思っています。先生方も学生の皆さんも、みんながCotoに出会えて良かったと思ってもらえるといいなと。日本語教師の仕事を心から楽しんでいる人が安心してイキイキ働ける仕組みを作っていきたいですね。

キャリアを積んでいくときに大切な考え方は?

M:日本語教師として経験が豊富なKさんに、ぜひ聞いてみたいことがあります。仕事において最も大切にしている考えはなんでしょうか?

K:ワークライフバランスが重要視されるこの時代にはまったく合っていませんが、私はいつもワークほぼ100%で働いています。ワーク100%でやってきたのは、この仕事が大好きで、楽しいものだったからだと思います。

仕事の面白さや楽しさって思いっきりやってみないとわからないと思いませんか。タイパやコスパもいいけど、時代錯誤だと言われるかもしれないけど、とにかく思いっきりやってみるといいと個人的には思います。日本語教師の場合はたくさんのレッスンと内省の繰り返し、ですかね。ちゃんと量をこなしていくと、質的な変化が起こります(この「ちゃんと」がポイントだったりしますが…本日は割愛します)。またどんな仕事でもそうですが、私はチャンスがきた時に「私、します!」と言えるような状態でありたいと思っています。いろんな仕事をやってみると、自分の“好き”や進みたい道が見えてきたりします。

自分の将来は自分の力で変えていけます。フリーランスは自分のキャリアパスを自分で切り拓いていかなければなりません。でも、それができるのがフリーランスの良さですよね。日本語教師のような仕事の場合はとくにですが、キャリアってそうやって積み上げるものだと私は思っています。

M:ワークライフバランスなんてどこ吹く風ですね(笑)

K:ええ。ちょっと横道にそれますが、Coto Forumでは「例文トレーニング」という講師向けの勉強会を定期的に開いています。短時間でたくさん例文を作り、それを考察するというものです。これを繰り返すと日本語教師としての瞬発力と思考力がつくと思っているからです。これは日本語のレッスンでとても役に立つスキルです。

みんなで試行錯誤を重ねて得た結果が一つにまとまり、そのメカニズムが説明できたときにこの上ない達成感を感じます。この瞬間、参加者の皆さんの顔がパッと明るくなるんです。これは実際に時間と脳を使ってやってみないと味わえない感覚です。この仕事は常に新しい学びが得られるので日々驚かされることばかりですが、この知的好奇心が満たされる喜びというのも日本語教師の仕事の醍醐味で、私たちを突き動かすものの一つなのではないでしょうか。

M:お話、とても共感します。効率を求めるのが悪いわけではありませんが、一見無駄に見える大量行動の中で鍛えられたスキルや思考が、そのあと大いに役立つということがありますよね。

私のコトハジメの記事作成も、お風呂に入っていてもお布団に横になっていても「うーん、あそこはカットして、この文を入れて…いやいや、そもそも切り口が…」とぐるぐる考え、フィードバックをもらっては書き直し…を繰り返しますし。

でも、そうした「タイパ?ナニソレ?」というほどの「量」がなければ、なかなか自分の成長を実感できないし、納得するものもできない。時代に逆行していると言われそうですが、私もいつがオンでいつがオフかわからない生活をしています。

W:わかります。オンとオフの切り替えって、向いている人とそうじゃない人がいると思います。私はのめり込んでしまうタイプなので、今は身体的なタフネスがほしいですね。やっぱり年齢とともに衰えが…笑。体力づくりのためにピラティスや水泳を再開したいとは思っているんですが、なかなか…

M:体力が続く限りお仕事を続けたいですか?

W:そうですね。このまま健康でずっと働き続けたいですね〜。

インタビューを終えて ~「働き方の多様性」に思うこと~

本編の方ではだいぶカットしたのですが、インタビュー中「働き方」ついて思ってきたことを語り合っています。

Kさんは、実は今回のインタビューを受けるのをずっとためらっていたと言います。なぜなら「自分のような働き方は、全然人に勧められないから」だそうです。ただ、私としてはKさんのようなタイプの人も組織にいたほうが、多様性があっていいんじゃないかな、と思ったのでした。

Kさんは「今の私はこのくらいやらないと満足できないから望んでそういう働き方をしているだけ。そして今は私の周りの環境や自分の健康に不安がない状態だからある種振り切った働き方ができるだけ。取り巻く環境や仕事へのスタンスは皆同じだとは全く思わないから、人それぞれでいいんだと思うけどね」と言っていました。

私自身も「ワークとライフの境目がわからん。休むとヤサグレるからずっとオンでいいや」というタイプなので、近年の「ワークライフバランス」という名の働き方を制限するかのような風潮には、ちょっと違和感を覚えておりました。

うーん、働き方の多様性とは、何なのでしょうね…。

それは単に残業はしないとか、プライベートを大切にするということではないように思います。それでは一方の「ライフ」しか見ていないのではないか、と。

働くことに情熱を持っている人が、その能力をいかんなく発揮し社会に還元できたり、人生のたくさん働ける時期において、思う存分働ける環境があったりすることじゃないかな、と個人的には思うところです。

ただ、昨今の世の中の多くの人にはあまり歓迎されない考え方かもしれませんね(苦笑)

 

Kさん執筆の記事を読む

■「選ばれる日本語教師になりたい!」⇒コチラ

■「日本語教師のキモ 例文作成」⇒コチラ

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