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コーチングを日本語教育の場で活用する
「部下が指示以上のことをしなかったのは、私にも原因があったんですね・・・」
「妻(夫)の話を聞いているつもりになっていただけでした・・・」
「もっと早く学んでいれば、きっと楽しく子育てできたかもしれません・・・」
いきなりなんのこと?!と思われたことでしょう。すみません。
これらはコーチングを学んだ後に受講者の方々からよく聞かれる感想です。個人的な事で恐縮ですが、私は日本語教師の他にも仕事をしており、二足の草鞋を履いております。
私が所属するビジネスサポートをしている会社のサービスの中に、ビジネスコーチング研修があります。
受講後に、部下・後輩との接し方に関してだけではなく(ビジネス向け研修なのに意外なことに)夫婦や親子関係の気づきを得たというお声をたくさんいただきます。
私の印象ですが、コーチングを学ぶ方の多くは、他者を思いやる気持ちが強く、とても勉強熱心です。みなさん「良い上司」「良い先輩」「良い指導役」「良い親」なんです。ただ・・・どうやらその熱心さゆえに「あれこれ教えたがり聖人」「良かれと思ってアドバイスしちゃう屋さん」になってしまっているようなのです。
これって日本語教育の場でも当てはまるのでは・・・?と思い、日本語教育の場でコーチングを活用する方法について考えてみました。
そもそもコーチングって?
コーチングは、「自ら考え、自ら解決方法を見つけ出し、自ら行動に移す。その活動の支援をするコミュニケーション」のことです。
耳を傾け(傾聴)、相手の持っているものを引き出し(質問)幅広い視点を与え、あるがままを受け入れたり背中を押したりします(承認)。
・・・と、字面だけだとちょっと難しいかもしれませんね。皆さんも、信頼できる人に話すだけで心が軽くなったり、話しているうちに自分で解決方法を見つけたりしたご経験はないでしょうか?
そうです。コーチという専門職でなくても、コーチングは日常的に行われているのです。
コーチング×日本語教師:具体例
それでは早速コーチングが日本語教育の現場で活用できる場面を考えていきたいと思います。
【場面1】学習目標を明確にする
「JLPT N2に合格する」といった具体的な目標であれば、勉強内容や方法は決めやすいでしょう。でも、Cotoにいる学習者は生活者が多いので、試験合格がゴールという方は少ないです。昨今は学習者の学習ニーズも多様化しています。
・・・ということで、会話の中で以下のような質問をしていくといいかもしれません。
例えば、
- 日本語を勉強したいと思ったきっかけ
- 日本語を使ってできるようになりたいこと
- 日本語スキルのレベルアップさせたい部分
目標を明確にする手助けができますし、日本語教師としても会話の中で見えた学習者の人間関係や価値観をその後のレッスンに生かすこともできそうですね。
目標は変わることもあるので、学習範囲がひと段落ついたタイミングで行ってみるとよいかもしれません。
【場面2】学習や成長を振り返る
学習習慣が身についている方から「中級レベルまで来たけど、最近成長している気がしない・・・」という声を聞くことがあります。
ある程度のレベルになると、ただ楽しく学んでいた日々は終わり、思ったより伸びない自分の語学力に肩を落とす。・・・あるあるですね。
素晴らしいじゃないですか!ぜひ心から承認しましょう。学習だけでなく何かを継続できるなんて素晴らしいことです。なかなかできることではありませんよね!
勉強を続けていると、どうしてもまだできないことが目についてしまいます。そんなとき他者からの承認があると、プラスの部分にも目が行きやすくなります。日本語の知識やスキルだけでなく、学習を通して得た生活習慣や人間関係などを話してもらうとモチベーションの維持&向上につながりそうです。
【場面3】不安に対処する
モチベーションが落ちている?何か不安を抱えている?・・・そんな学習者の様子が気になることもあるでしょう。
このとき、不安や落ち込みの原因を質問によって探りたくなったり、親切心で解決策をアドバイスしたくなったりするかもしれません。
でも、メンタルが下降気味の時は「今は何も考えたくない」と考える気力すらないことがあります。また「私だって頑張っているのよ!」と質問した相手にイライラをぶつけてしまったり、「わかっているけどできないの!」とアドバイスや承認を素直に受け取れなかったりして自己嫌悪に陥ってしまうことも・・・。
そんなときは「あなたの様子がいつもと違い気になっている」と切り出し、相手が話すきっかけを作ってみると良いかもしれません。
今回は3つの場面を挙げました。日本語教師×コーチング、相性がよさそうです。レッスンは一度担当したら長〜いおつきあいになることもあります。長くなればなるほどいろんなコトが出てきますからね。コーチングスキルを身につけておくと、 学習者の自律学習が進んだり、レッスンのリピート率が上がったりといった効果も期待できます(これ、私のようなオンライン講師には超重要!!)。コーチングスキル、ぜひレッスンに活用してみてください。
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