中級文法コラム25 「にもかかわらず」「つつも」「ものの」「からといって」
A:Bさん、英会話学校に通い始めたそうですね。
B:ええ、大学で4年勉強したにもかかわらず、全く話せないものですから…
A:そうですか。で、通った効果は出てるんですか?
B:いや、それが行こうと思いつつも、忙しくてなかなか…
A:あまり、行けてないんですか?
B:ええ、3か月在籍しているものの、出席したのはまだ3回くらいなんです…
A:そうなんですか…
B:英会話学校に通ったからと言って、すぐに英語がペラペラにはなりませんよね…
今回は、「にもかかわらず」「つつも」「ものの」「からといって」を取り上げてみます。
- 大学で4年間勉強したのに、全く話せない。
- 行こうと思っているのに、忙しくて行けない。
- 3か月在籍しているのに、3回しか出席していない。
- 英会話学校に通ったのに、ペラペラになりません。
えーっと、どれも「のに」と置き換えられますね。
じゃ、学生にも「のに」と同じです~で良いかなって、、、もちろんダメですね。
にもかかわらず
- 大学で4年勉強したにもかかわらず、全く話せない。
⇒大学で4年勉強した効果が全く出ていない。
- 大雨が降っているにもかかわらず、彼はキャンプにでかけた。
⇒大雨なんかまったく気にしない。
- 何度も注意しているにもかかわらず、彼はまた同じ失敗をした。
⇒注意した効果が全くない。
このように、前件の効果や影響が、後件に全く表れていないときに使うのではないでしょうか。そして、そこには「結局ダメじゃん」という呆れ、前件に影響されないことに対する驚きや意外感が含まれています。
つつも
- 行こうと思いつつも、忙しくてなかなか…
⇒行こうと思っているけど、行っていない。
- 部長は部下に時間を守れと言いつつも、いつも5分くらい遅れてくる。
⇒部長は時間を守ることは大切だと思っているけど、実行はしていない。
- これは犯罪だと知りつつも、誘惑に負けて手を出してしまった…
⇒悪いことだとわかっているけど、やってしまった。
これは、心で思っていること、頭で考えていることと行動が一致していない、という状況で使用していますね。また、心で思っていることを言いますから、前件には思いつつ、知りつつ、考えつつ、あきらめつつ…など心の動きを表す動詞が来ています。
ものの
- 3か月在籍しているものの、出席したのはまだ3回くらいなんです…
⇒3か月在籍しているのは事実だが、結果は3回しか行っていない。
- 「ものの」の使い方は理解しているものの、使いこなせていない。
⇒一応使い方は理解してるけど、実際は思ったように使えていない。
- 怪我は治ったものの、後遺症が残ってしまった。
⇒怪我が治ったのは事実だが、実際は後遺症が残って以前のようには動けない。
表面的にはそう見えるんだけど、実際は思ったようにいっていないんだよね、残念!というニュアンスがあります。前件は事実を言い、後件ではその事実から予想・期待する結果とは違う結果になっているときに使われます。
からといって
- 英会話学校に通ったからと言って、すぐに英語がペラペラにはなりません。
⇒ペラペラになるためには、学校に通うだけでは不十分。努力をしなければいけない。
- 試験に合格したからと言って、大学に入学できるわけではありません。
⇒大学に入るためには試験に合格するだけでは不十分。期日までに入学金や授業料を納めたり、面接や内申点なんかも影響するでしょう。
- リーダーだからと言って、威張るなよ!
⇒リーダーという立場だけで、威張るのはよくない。
前件の理由だけでは、後件には不十分というときに使っています。「から」が理由を表すポイントですね。「〜だから当然・・・だ」と考ている相手への批判や注意・助言の気持ちで使われます。「からといって」は「~ということない、~とは限らない、〜わけではない」のような部分否定の表現と一緒に使われることが多いです。
まとめ
- にもかかわらず…前件の効果や影響が、後件に全く表れていないことに驚き、呆れの感情を抱く
- つつも…心で思っていること、頭で考えていることと行動が一致していない。心の動きを表す動詞を使う。
- ものの…前件は事実。後件はその事実から想像する結果とは違う結果。
- からといって…前件の理由だけでは後件には不十分。
全部「のに」に置き換えられても、実際は全く違う機能を持っているんですね。逆に言うと、「のに」の守備範囲って広いのですね〜。
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