中級文法コラム18 似ている言葉①
皆さん、こんにちは。
今回は文法ではないのですが、最近のレッスンなどで気になった学生の誤用などからいくつか似ている言葉の違いを見ていきたいと思います。
文法でもそうですが、学生から意味の違いを聞かれて「ほとんど同じ意味だから、どちらを使ってもいいですよ」なんて言った次の瞬間に学生から誤文が出てきて「あれ?ごめ~ん。それ、使えない…」ってなったりしたこと、ありますよね?
同じ意味だと思っていても、やっぱり何か違うからそれぞれの言葉が存在しています。それを使い分けられれば日本語ネイティブに一歩近づけそうですね。
取り替える vs 交換する
1.
- サイズを間違えて買ったセーターを店で交換してもらった。
- サイズを間違えて買ったセーターを店で取り替えてもらった。
2.
- そろそろ危なくなってきたので、タイヤを交換した。
- そろそろ危なくなってきたので、タイヤを取り替えた。
3.
- クリスマスパーティーでプレゼント交換をした。
- クリスマスパーティーでプレゼントを取り替えた。
4.
- 仕事で名刺を交換した。
- 仕事で名刺を取り替えた。
1と2のペアはどちらでも問題なさそうですね。でも、3と4は何だか引っかかりませんか?
プレゼント交換はみんなで楽しく音楽に合わせてプレゼントをまわしている光景が目に浮かびます。一方、プレゼントを取り替えたというと、何だかもらったプレゼントが気に入らないから、他の人のプレゼントと替えちゃったみたいに感じませんか?
名刺交換もスーツを着た二人が頭をペコペコしながら「どうぞよろしくお願いします」と言っているような光景が浮かびますが、名詞を取り替えたと聞くと、「ん、何に?どういうこと??」となりませんか。
つまり、「取り替える」の意味は、「今ある物を他のものにかえる」という意味なんじゃないでしょうか。一方の「交換」は「それぞれの場所が入れ替わる」というような意味なのかなと思います。
「交換する」 A⇔B 「取り替える」 A⇒B
「セーターを店で交換した」 → 私が買ったセーターは店へ、店の在庫のセーターは私へ
「セーターを店で取り替えた」→ サイズ違いのセーターを正しいサイズに
どちらも同じように聞こえていましたが、セーターの移動に注目しているから「交換」、サイズの違いに注目しているから「取り替える」と、、、実はちゃんと使い分けていたんですね。
タイヤについても
「タイヤを交換した」 → 古いタイヤをとって、その場所に新しいタイヤを取り付ける。
「タイヤを取り替えた」→ 溝のなくなったタイヤを溝がある新しい別のタイヤにする。
こちらも着眼点を変えれば使い分けられると思います。
このように同じだと思っている言葉でも、その言葉が何にかかっているのか注目していくと、違いが見つけられます。本当は違うかもしれませんが、教える側も学生さんも「なるほど」と自分なりに理解してちゃんと使い分けられるなら、それでいいんじゃないかと思います。
出身 vs ホームタウン(故郷)
新規の学生に自己紹介してもらったりしていると時々こんな文がでてきます。
「私の出身は小さい町です。私の出身はカーニバルが有名です。私の出身に雪が降りません」
ん?・・・で、あなたの出身、どこやねん? となってしまいますね。
なぜこんな間違いをするかというと、結構いろいろな教科書で「出身=hometown」と訳されているからです。だから、学生たちは「出身」という言葉を「故郷」のような意味だと思って使ってしまうのではないでしょうか。
でも、私たちが「出身」という言葉を使うときは、町を説明するのではなく、「○○から来た」と言いたいときに使います。
「はじめまして。私は北海道の新冠出身です。新冠は静かな町です。新冠は馬産で有名です。新冠の冬はすごく寒いです。これ、新冠のお土産のばふんまんじゅうです。どうぞ」
「新冠出身」のように「地名+出身」という使い方をしています。また、町を紹介する時は「出身は」のように主語にはせず、「新冠は」と地名で言いますね。
学生があまりにも笑顔で「出身は~」「出身は~」と話してくれるのでつい、はいはいと聞いてしまうのですが、やっぱりここはちゃんと直してあげたいですね。
あ、「いくつか」と書いたのにもう結構長くなってしまいました。これはシリーズ化かな。他の言葉はまたいつか!
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