日本語文法基礎 Ⅳ.存在文

日本語文法基礎 Ⅳ.存在文

 

「います」と「あります」

動詞の中に動作ではなく状態、存在を表すものがあります。
今回は、初級で必ずでてくる存在を表す動詞「います」と「あります」について見ていきます。

 

「います」「あります」の前は「が」

*(人・動物など) います /(もの) あります

Ex.)

「います」:シカ が たくさん います。

「あります」:ATM が あります。

 

<場所> (   )が います / あります

*存在文の「あります・います」は<場所>+「で」ではなく「に」を使うので注意しましょう。

Ex.)

「います」:奈良公園に シカが たくさん います。

「あります」:この辺に ATMが ありますか。

 

疑問文の作り方

<yes・no疑問文>

Q:会議室に山田さんがいますか。 A:はい、います。/いいえ、いません。

<疑問詞疑問文>

「田中さんの部屋に何がありますか」「誰がいますか」など

 

「います」「あります」の分け方

「有情のもの(人・動物など生きているもの)animate / living things 」「非情のもの(物・建物など生きていないもの」)inanimate / non-living things 」という分け方が日本語を教えるときの定説です。

ちなみに、日本語では「植物」は非情のものに分類します。

また、同じ魚でも海や川で泳いでいる魚は「いる」で、魚屋で売っている(死んでいる)魚は「ある」と表現します。

ただ、よくよく考えてみると、「あ、まだバスいる〜」「この辺、タクシーいないんだよね」なんて日本人は言いますね。ですから、「動くか、動かないか (moving or not moving」と考えると良いかもしれません。人や動物に限らず、動いているものの存在を表す際は「いる」と覚えておくと良いでしょう。

英語、中国語、ドイツ語、フランス語・・・などにはこのような分け方はありません。まずは「いる vs あるクイズ」などをレッスンの際にしてみると面白いです。盛り上がること、間違いなしです。

Ex.) さくらは?車は?UFOは?犬は?ロボットは?海で泳いでいる魚は?スーパーの店頭に並んでいる魚は?

 

 

もうちょっと・・・存在文と所在文

日本語教育は下記の2つが違う使い方として別々に提示されることがあります。この2つは質問と答えのやりとりで見てみると、違いがクリアーにわかります。

A: このへんに銀行がありますか?
B: ありますよ。
A:(銀行)どこにありますか。
B:(銀行)コンビニの隣にありますよ。

 

1)存在文=「存在」を伝える

Q:  このへんに 銀行が ありますか。
A:  はい、あります。

Q:田中さんのうちにペットがいますか。
A:いいえ、いません。

▷銀行があるかないか/ペットがいるかいないか、その存在の有無を知りたい。

 

2)所在文=「場所」を伝える

(「所在文」は存在の主体(N)が文頭に来ます。Nを取り上げて話題にするため「N」となります。)
Q:銀行は どこに ありますか。
A:(銀行) あそこに ありますよ。

Q:山田さんはどこにいますか。
A:山田さん会議室にいます。(「いません。出かけています」という答えはあり得ません)

▷存在が前提(銀行がある・山田さんが会社のどこかにいる)、存在ありきで話をすすめている。
つまり、「存在文」を「主題化」したものが、「所在文」です。

 

 

 

 

「あります・います」といっしょに導入したい言葉:位置詞

位置詞・・・上、下、右、左、中、外、間、となり

 

存在文で・・・

  • うちの となりに 公園が あります。
  • イスの下に ネコが います。

所在文で・・・

Q:ハサミはどこにありますか。
A:机の上にあります。

 

※位置を表す言葉は万国共通ではありません
英語では「上下」や「前後」は接しているかどうかで日本語より細かく言葉を使い分けています。また、世界の言語のなかには左右を表す言葉がないものがあります。

そのような背景があることを頭の片隅に置きつつ、日本語の位置詞を教えられるといいですね。

Customer Reviews

5
0%
4
0%
3
0%
2
0%
1
0%
0
0%

    Leave a Reply

    Your email address will not be published. Required fields are marked *

    You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

    Thanks for submitting your comment!