日本語レッスンで英語をどう使う?【前編】
1月後半のMs.Hidariの勉強会は「日本語レッスンで英語をどう使う?」でした。基本、cotoのレッスンは「直接法」で行います。が、実際のクラス運営では、最小限の英語(英単語)を用いたほうが有効な場合もあります。今回は、Ms.Hidariが有効な英語での指示や使用場面、文法用語などなどを紹介してくださいましたので、そちらの様子をシェアします。
「日本語レッスンで英語をどう使う?」の論点は3つ!
- 英語をどう使う? HOW?
- 英語をどうして使う? WHY?
- 英語をどうして使わない? WHY NOT?
長くなりましたので、前編・後編に分けました。こちらは前編 『1.英語をどう使う?』です。後編はこちらの記事をご覧ください!
英語をどう使う? HOW?
文法説明のために使う
①助詞の説明
助詞は文法用語ではParticleです。Cambridge Dictionary によると、” a word or a part of a word that has a grammatical purpose but often has little or no meaning”だそうです。うーん。ピンとこない学生がいるのも頷けます。昔、助詞をMarkerと表現した学習者がいました。おー、これはいいと思い、それ以来、Markerということばを私も使っています。
- 「を」object marker コーヒーをのみます
- 「に」destination/direction marker スーパー/しぶやに いきます・・”place” を使わないのは「で」と区別するため
- 「に」time marker 11じに ねます
- 「で」place marker カフェで コーヒーをのみます
- 「と」 (with + person) ともだちと コーヒーをのみます・・・訳/例文を提示したほうがわかりやすい
- 「で」 (by means of) バスで しぶやに いきます
「は」vs「が」の違いはなんですか?・・・よくある質問です。初級の学生にこの使い分けを説明するのは非常に困難です。はじめてこの2つが出てきた場合は、この程度の説明にとどめて例文とともに見せてあげると学生もスッキリ理解できるかもしれません。
- 「は」 topic marker わたしは 左です。(自己紹介)I am “Hidari”.
- 「が」 identifier わたしが 左です。 (Who is Ms.Hidari に対する答え) “I” am Hidari.
終助詞の「ね」「よ」ってどうやって使うの?・・・これもよくある質問です。バシッと一語で提示するのが難しいですが、初級の学生が最初に「ね」「よ」に出会ったときは、以下のように例文+機能で提示するとわかりやすいかと思います。
- 「ね」 agreement (a 同意を求める/b する) A: 毎日雨ですね(a) B: そうですね(b)
- 「よ」 notification (知らせる/教える) A:そちらの天気はどうですか。 B:毎日雨ですよ。
②語順・文型の説明
導入は直接法でしていきますが、さいごに「このStructure/Patternは、”te–form + ください” です。Functionは、”Request, Offer”です」のような言い方でまとめたりすると、学習者の頭の中がよりクリアーに整理されるようです。
- 文型を何と呼ぶか ⇒ Structure/Pattern 例)te–form + ください
- 機能を何と呼ぶか ⇒ Function 例)(Simple) Request, Offer
- 活用形を何と呼ぶか ⇒ Conjugation Form 例)te–form, masu–form, dictionary form
- 語順を説明するときに使う
例)
動詞文⇒ timeに/ placeで/ with(people)と/ objectを/ ACTION. :このように視覚化することで、きれいな文章を作れるようになります。
注文する⇒ thingを/ counter おねがいします。:「2コーヒーお願いします」などの誤用を訂正するときに有効
- その他の文型説明例
「〜たり、〜たり」 List/Listing(「FunctionはListingです」というと、ピンとくるようです)
例)週末は、たいてい掃除をしたり、さんぽしたりします。
「〜て、〜て」 Action in order(時系列がわかるような例文を見せるのがもっとも有効です)
例)今週末は、あさジムに行って、運動して、ともだちと昼ごはんを食べます。
③文法用語一覧
- 助詞 particle/marker
- 動詞 verb (いろいろな動詞:Action Verbs/Moving Verbs, Stative Verbs/State Verbs, transitive and intransitive verbs)
- 目的語 object
- 文型 structure/pattern
- 助数詞 counter
- 時制 tense (past/non–past) non–past: future, general tense(habit)
- 『げんき』7課「ている」 進行「本を読んでいます」:Ongoing Action、結果の状態「目黒に住んでいます」:Status(住まい、仕事、結婚など属性)テキストに記載している”result of change”という言い方でちゃんと伝わったことがない…
- その他 句点(。):Full Stop 読点(、):Comma
クラス運営のために使う
①指示出しの例:英単語というよりカタカナ言葉での指示出し
- 「リピート、お願いします」: “please repeat after me!” であることを認識させる。これはコーラスの意味ですね。クラス用語として慣れてもらうと便利です。ときどき”repeat the phrase!”と勘違いをしてしまう学生がいるので要注意。
- 「ナチュラルスピード(で)、お願いします」:繰り返し言わせるのはときに学生にとってストレスになることもありますが、この言い方をすると学習者はちょっとやる気になるようです!
- 「~さん、question to ~さん、お願いします」(慣れてきたら、「~さんに しつもん、お願いします」にすると良い)
- 「~さん、~さん(と)ペア(で)、お願いします」
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