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動詞の分類:意志動詞と無意志動詞
日本語の動詞はいろいろな切り口で分類することができます。(参照:日本語文法の基礎 動詞)
たとえば、初級のレッスンの最初にでてくる「ある・いる」などの存在動詞、「行く・来る・帰る」などの移動動詞、初級中盤以降になると自動詞・他動詞がでてきます。
先日、「〜ように」と「〜ために」は一緒ですか?という質問を受けました。よくある質問です。この使い分けに関する質問を受けたら、意志的動詞・無意志的動詞に触れざるをえません。いや、触れるチャンスと前向きに捉えましょうか。
初級後半でも意志的動詞と無意志的動詞の使い分けに関する問題はありますから、少なくとも教師は理解しておく必要がありますね。この切り口って日本語教育ならではなんじゃないの、けっこう重要だぞ、でも厄介だぞ・・・とある日ふと気がつくんですよね。日本語では意志性が大切になる文法が多いので、意志動詞・無意志動詞の区別を知っておくと便利です。
ということで今日は、「意志動詞・無意志動詞」にスポットをあてて見ていきたいと思います。
意志動詞(volitional verb)
◇人の意志で行動や状況をコントロールできる。自分がしたいと思えばできるし、やめたいと思えばやめられる。
<例>「すしを食べます」「学校に行きます」「メールを書きます」「日本語を勉強します」「ジュースを入れる」
こちらはシンプルですね。
どちらか迷ったときは、「〜たい」、可能形や意向形などが作れれば、それは意志動詞です。(※注:これは日本語の語感がないとできません。ざっくりとした見分け方で、例外もあるので決して万能な方法ではありません)
無意志動詞(non-volitional verb)
◇人の意志で行動や状況をコントロールできない。主語に意志を持つ主体をとらない。
自然現象・生理現象・心理現象・感情
「晴れろ〜」「桜よ、咲け〜」といっても私たちはコントロールできませんね。神のみぞ知るって感じです。
<例>「雨が降る」「風が吹く」「熱が出る」「汗をかく」「腹が立つ」「がっかりする」
状態をあらわす動詞
<例>「テストがある」「兄弟がいる」「フランス語ができる」「パスポートが要る」
※意志動詞が活用して、「書ける」「飲める」と可能動詞になると状態を表すことになり、無意志動詞になります。「治る」「わかる」「間に合う」「見える」「聞こえる」のような可能の意味をもつ動詞も無意志動詞です。
偶然の出来事
交通事故や予想できない出来事が生じたことを説明する動詞
<例>「事故に遭う」「いい先生に出会う」
※要注意ポイント:自動詞 ≠ 無意志動動詞
無意志動詞のほとんどが自動詞と同じです。でも、自動詞は目的語を必要としない動詞のことなので、意志の有無とは関係がありません。「行く」「起きる」「座る」「泳ぐ」「泣く」などの動詞は自動詞ですが、意志動詞です。
文脈によって変わるケース
一つの動詞が意志動詞・無意志動詞の両方で使われるものもあります。これらは文脈で判断することになります。
<忘れる>
- 彼女のことはもう忘れよう。→意志動詞
- 宿題を忘れてしまった。 →無意志動詞
<なる>
- 医者になりたい!→意志動詞
- お昼になった。 →無意志動詞
※要注意ポイント:サラッとがちょうどいい!
意志動詞・無意志動詞のどちらに所属するのか判断が難しい動詞もあります。教師が神経質になりすぎると泥沼にハマってしまうので危険です。頭でわかっても使えなければ意味がありません。学習者にとってもいいことはないので、触れるのであれば「コントロールできるか否か」で、サラッといきましょう。上のような簡単な例文を使って説明することをお勧めします。
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