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420時間日本語教師養成講座に通って日本語教師になる
日本語教師になる方法の一つに、日本語教師養成講座の修了があります。社会人になってから資格を取得する人も多く、既に活躍している日本語教師の中には養成講座の修了生もたくさんいます。こちらの記事ではそんな日本語教師養成講座について詳しくご紹介します。
420時間日本語教師養成講座の概要
日本語教師養成講座とは、日本語教師として日本語を教えるのに必要な知識や技術を身につけるための講座です。1980年代より「日本語教員養成のための標準的な教育内容」に従って教育が行われてきました。その後、2000年には文化庁の報告書「日本語教育のための教員養成について」が出され、現在はその中にある「日本語教員養成において必要とされる教育内容」に沿った教育が行われています。
学習内容は「社会・文化・地域に関わる領域」「教育に関わる領域」「言語に関わる領域」の三領域に以下の5区分が設けられたシラバスとなっています。
「社会・文化・地域」
「言語と社会」
「言語と心理」
「言語と教育」
「言語」
これらを半年から1年程度で学習していきます。また、この学習内容は2003年度から変更になった現在の日本語教育能力検定試験の出題範囲をほぼ網羅しています。
日本語教師養成講座では実践的な内容をしっかりと学び、検定試験の合格も視野に入れることが可能となっています。
養成講座の種類
420時間コース
法務省告示校での就業を目指す場合はこのコースを修了しましょう。文化庁届出受理をされた420時間コースの講座を修了することで日本語教師の有資格者となります。
【実施団体】
文化庁受理届け出講座を実施している機関・団体は以下で確認できます(令和元年12月現在)。実施機関は全国にあり、通信制の養成講座もあるので仕事や学業との両立も十分可能です。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/kyoin_kenshu/pdf/kyoin_kenshu_list.pdf
特色のある養成講座
実践力を磨く日本語教師養成講座もあります。これらのコースは「法務省告示校の日本語学校」以外で働きたいと思っている方や、日本語教師有資格者でキャリアアップを目指す人等におすすめの講座です。
実習コース
教壇に立つための訓練に特化したコースです。既に日本語教師としての活動経験はあるが、ブランクがある、大学等で日本語教育を履修したが実習は受けていない等の人々のニーズに答えるコースです。
NOP法人や企業が独自に実施しているコース
今、日本語教育は多様化していますが、今後は更に多様化すると言われています。実際に、短期滞在者向けの日本語レッスンやビジネス日本語講座、とにかく話す練習がしたいという学習者向けのオンラインレッスン等の需要も伸びています。
だから、日本語学校の授業とは異なるレッスンをする教師の養成にも注目がされています。そのためにNPO法人や企業が独自に養成講座を実施しているものがあります。それぞれの日本語教育に特化した必要なスキルを必要な分だけ身に着けることができるというメリットがあります。
また、実施団体が主催する日本語スクール等での活躍を前提としているケースもあります。
養成講座の費用
ここで大まかに養成講座の費用を確認しておきましょう。
・420時間コース 50〜60万円前後
・実習のみのコース 10万円前後
・NPO法人や企業等の独自養成講座 5万円前後から
現在、日本語教師に公的な資格はありません。また、公的な資格として公認日本語教師(仮)などができたとしても、その資格がなければ日本語を教えられないというものでもありません。企業の宣伝や誘い文句ではなく、自分自身で必要な養成講座を選びたいものです。
養成講座の選び方(選ぶポイント)
では、養成講座を選ぶ際、どのようなことをチェックすればよいのでしょうか。
実習のボリューム
教育実習に力を入れているところもあれば、そうでないところもあります。例えば座学は数十人程度のクラスで学びますが、実習のクラスは少人数制となる等の配慮があったり、二段階での教育実習を提供してくれる講座があります。たとえば、一回目の実習では留学生に教え、二回目の実習では地域の外国人向けに教え、十分な教育実習時間を設けています。一方で、クラスメートを留学生と見立てて教育実習とするような講座もあります。
【教育実習の流れ】
一般的に教育実習は以下のような流れで行われます。
座学→教案作成→教案の添削→練習→実際の外国人に教える
その後は、授業を録画した動画等で講師からフィードバックを受け、反省点を振り返ることになります。
教育実習は実際の教壇に立つための最も実践的な課題です。自信をもって教壇に立てるよう、教育実習にも力を入れている講座であるかを確認することは養成講座選びの大きなポイントです。
日本語学校が併設されているか
多くの養成講座では、実施機関が日本語学校を併設しています。その場合、講座の修了生が優先的に併設の日本語学校で採用してもらえるということもあるようです。
併設校での採用に保証はありませんが、講座選びのポイントとして参考にしてみてはいかがでしょうか。
就職サポートは充実しているか
独自のネットワークがあり、高い就職実績を誇る養成講座実施機関があります。養成講座を選ぶ際は、過去の就職実績、修了生の現在の活躍についてもチェックしておきましょう。
まとめ
日本語教師養成講座の概要、コースや種類、実施団体について、少しお分かりいただけましたか。現状、日本語教師になるには420時間の養成講座を修了したり、検定に合格したりすることが近道です。
しかし、今後は日本語教師の活躍の場も多様化していくと考えられています。そうなると、420時間コース以外の養成講座も注目されてくるかもしれません。今ある資格を生かしてキャリアアップを目指したい人、日本語学校以外での日本語教育の担い手となりたい人等には企業等が独自に主催する養成講座もおすすめです。
明確な目標や日本語教師像をもって、養成講座に価値ある投資をしたいものですね。
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