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「なんで分かってくれないの!」そんな時どうしてる?自分のコミュニケーションの傾向を知ろう【①セルフチェック編】
その言い方はいかがなものか…
私は勉強会に参加するのが趣味みたいなところがあり、しょっちゅう勉強会やら情報交換会やらに参加させてもらっております。先日「参加費無料」の謳い文句に吸い寄せられ、とある勉強会に参加していた時のこと。
よく考えられた構成、分かりやすい説明、バックグラウンドが様々な参加者…。私は、「無料でこんな勉強会に参加できてありがたいわ〜」と、途中まではニコニコ&ホクホクでした。
でも、グループワークの時間に一緒になったあるメンバー(Aさんとします)の言動に雰囲気がどんどん悪くなってしまったのです。斜に構えたような態度、否定から入る発言、勉強会の進行に対する不満、しまいには主催者に対しての悪口…。おそらくAさんは無意識・無自覚なのでしょうが、私は「同じ場にいるのに、私とこんなに感じ方が違うのか!」とビックリしてしまいました。
また、お節介ながら心配にもなりました。というのは、そこに集まった受講者はいわゆる講師業を生業としている人たちでしたので、もし普段から周りに対してこのようなコミュニケーションを取っていたとしたら、Aさんに関わる人はもちろん、ご本人にとっても不利益が大きいだろうな…と思ったのです。
人に何かを教える職業の人は、自分の未熟さを見られなくなったり、周りへの感謝を忘れたりしたら、「裸の王様」になりやすい立場にあります。私はこの日、うっすらと耳にする巷の評判(教師とか講師とかの職業の人って、ホントに使いづらいよね〜)を思い出したのでした。そして、自分も気をつけねば!と改めて気を引き締めた次第です。
こんな時どうする?
実はこの勉強会の日、私と別のグループではこんなことがあったそうです。
グループワークの時に、参加者の1人が長々と話すので、自分を含む他のメンバーが全然話せなくて、その人の独断場になってしまった。
このような時、私たちにはいろいろな選択肢があります。あなたならどうしますか?
以下のどれに近いでしょうか。「こうあるべき」ではなく、「いつもの私ならたぶんこうする」という視点で考えてみてくださいね。
・苦笑いをして黙って耐える
・自分では直接言わず、誰かが言ってくれるのを待つ
・時計をチラチラ見るなどして、相手に気づいてもらえるような雰囲気を醸し出す
・「他の人のことも考えてください!」とストレートに注意する
・終わった後に周りの人に愚痴を言って鬱憤を晴らす
・主催者に「こんな人がいたから、発言は1人〇分のように明確に指示を出してください」と後でクレームを入れるorアンケートに書く
もしあなたが上記のような選択肢をとったとしたら、それはあまり健康的なコミュニケーションとは言えません。なぜなら、上記の例は「他責パターン」「受け身パターン」だからです。
「いやいや、それは今回はグループワークのメンバーが自分と対等か上の立場の人だからでしょ?」「普段の日本語の授業ではちゃんとビシっと言えるから!いつもは適切に対応しているから」と言いたくなるかもしれません。
はい、たしかに一般的に教師と学生、または親と子には上下関係がありますから、力関係で言うと上の立場である教師や親には力があります。はっきりとストレートに伝えやすいでしょう。上の立場から物を言うことに慣れてしまうと、前述のAさんのような物言いになってしまうのも不思議ではありません。
でも、Cotoの教師と学生は対等な関係です。また教師と教師・教師とスタッフも対等な関係と言えます。
対等or上の立場の人に「困ったさん」がいたとして、あなたが不快な状況に置かれたとき、相手に察してもらおうとすることに問題はないのでしょうか。相手があなたの意図に気づかなかったら…?
例えばレッスンの時。「困ったさん」に自分の気持ちや意図を察してくれることを期待するものの、相手は自分の思い通りに動いてくれない…。当然イライラが募る…。そんな状況では、レッスンのハンドリングがすごく難しくなると思います。
相手に察してもらおうとすると、仕事ではもちろん、プライベートにおいても、人間関係のストレスに晒されやすくなります。
このような「他責」「受け身」そして「自責」といった思考の癖は、努力次第で矯正できると考えられます。また、問題に対するアプローチとして自分を楽にできるのです。
そのために最大の課題となるのは、「気づけるか」ということです。
気づきの重要性
気づきの重要性は、いくら強調してもしすぎることはありません。気づかなければスタートラインに立つことすらできないからです。
「気づき」といえば、日本語教員試験や養成講座などで、コミュニケーションを阻害する要因として、ステレオタイプ・バイアス・偏見などがあることを勉強された方も多いと思います。
「私はそんなバイアスなんて持っていない!」と言いたくなりますが、こういったものは自分では気づきにくい(アンコンシャスバイアス)のが特徴です。そんな私自身もきっと様々なアンコンシャスバイアスに侵されているはずです。
普段のコミュニケーションにおいて、自分のコミュニケーション傾向や思考の癖に気づくことは、改善や成長の第一歩です。特に異文化コミュニケーション力が必要となる日本語教師は、他者を理解するために、まず自己を知ることが大切なのです。
あなたのコミュニケーション傾向を知るセルフチェック
自身のコミュニケーションパターンを内省や観察によってのみ把握するのは難しいので、ここで簡単なセルフ診断をしてみましょう。
以下は、日本におけるアサーション(※解説編でお伝えします)の第一人者である平木典子氏の著書『アサーション入門 自分も相手も大切にする自己表現法』に記載されている質問リストです。
〈質問リストの使い方〉
・それぞれの問いに、はい「〇」か、いいえ「×」で答えてください。
・どちらかを選ぶことが難しい質問もあるかもしれませんが、「どちらかというと、こちら」というところで選んでください。
・はい「〇」と答えたとき、心の中にその時イメージした相手に対するネガティブな感情(例:苛立ち、申し訳なさ、恥ずかしさ)が生じた場合は、〇の横に✔(チェック)印を加えてください。
それではやってみましょう。
〈セルフチェック20問〉
【自分から働きかける行動】
- あなたは人にいい感じを持ったとき、その気持ちを表現できますか?
- あなたは、自分の長所や成し遂げたことを、人に言うことができますか?
- あなたは、自分が神経質になったり、緊張したりしたとき、それを受け止め、伝えることができますか?
- あなたは、初対面の人たちの会話の中に、気楽に入っていくことができますか?
- あなたは、会話の場から一足先に抜けて、立ち去ることができますか?
- あなたは自分の知らないことや分からないことがあったとき、そのことについて説明を求めることができますか?
- あなたは人に支援や助けを求めることができますか?
- 人と違う意見や感じを持ったとき、それを表現することができますか?
- 自分が間違っていると気づいたら、それを認めることができますか?
- フェアで適切な批判を、人前で述べることができますか?
【人の働きかけに対応する行動】
- 人からほめられたとき、素直に「ありがとう」と言えますか?
- 自分のしたことを批判されたときに、きちんと受け答えできますか?
- 不当な要求をされたとき、断ることができますか?
- 長電話や長話のときに、自分から打ち切る提案をできますか?
- あなたの話をさえぎって話し出した人に、対応することができますか?
- パーティーやイベントへの誘いを、率直に受けたり断ったりできますか?
- 訪問販売を断りたいとき、断ることができますか?
- レストランで注文したものと違う料理がきたとき、そのことを言って、取り替えてもらうことができますか?
- 人の善意や好意がわずらわしいときに、それを伝えることができますか?
- 人から援助やアドバイスを求められたとき、必要であれば断ることができますか?
いかがでしたか?
ではこちらの解説を…と言いたいところなのですが、長くなりましたので、続きは次回の記事でお伝えいたします。
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