フィードバックの受け止め方

ネガティブな評価や言葉が忘れられない

ネガティブフィードバックをどう受け止めるか

先日、私は球場に出向きビール片手に野球観戦をしておりました。プロ野球を見る方ならご存じだと思いますが、どの球場にも大きなスクリーンがあり、選手の打率や投手の防御率が表示されています。

私、アレを見ると心がキュ~っとなってしまうんですよね。打率、防御率、エラー数、ヒット数…。常に成果が数字で評価されています。

そして、活躍すればヒーローインタビューを受け、逆にチームの足を引っ張れば叩かれる…そんな世界に生きている選手たちに、勝手に自分と似たようなものを感じてしまうのです。

ビールの酔いも冷めるってもんです。

個人事で恐縮ですが、私の本業は企業研修の講師でして、仕事に対する評価を突きつけられる日々を送っております。毎回のアンケートでは、内容理解度・講師満足度などが数字でハッキリ出ます。

アンケートのコメント欄に書かれてあることの多くは嬉しい内容ですが、中には心をグリグリとえぐってくるようなものもあります。無記名制ということもあり、攻撃力高めです。

評価が高いと次のお仕事がもらえ、低いと仕事がなくなっていく…。いわゆる人気業の世界なので、プレッシャーがないと言えばウソになります。

また、ネガティブフィードバックがまったく気にならないなんてことはありません。それなりに凹んでいます。

でも、ネガティブな言葉や態度に上手く対処できないと、精神的に追い詰められていきますし、次の仕事に悪影響を及ぼしかねません。

…と、自分のことばかり書いてしまいましたが、今回は教師のメンタルについての第2弾です。

前回、教師のメンタルについて書かせていただいた記事に、思いのほか反響をいただきました。そして、教師がいかに精神的に疲れやすい仕事であるかということを実感いたしました。

(前回の記事はこちらです)

一般的な日本語学校と違って、Cotoは学生が好きな先生を選ぶプライベートレッスンが多いですし、グループレッスンもいかに継続してもらうかが大切なので、教師にエンターテイメント性が求められる人気業と言えるかもしれません。

また、Cotoのサイトでも先生たちが魅力的に紹介されていますから、学生さんの期待値は高いでしょうし、当然ながら会社として目標としている数値や方針もあります。

常にサービスやレッスンの質の改善が求められる分、その過程でネガティブな声を受けることもあるかもしれませんね。

というわけで今回は、「他の先生や、学生から言われたことが心に引っかかっている」「評価されることで、精神的なダメージを受けてしまった」というような、ネガティブフィードバックについての受け止め方を考えていきたいと思います。

まずはフィードバックを切り分けてみる

そもそものお話ですが、すべてのフィードバックに対して真摯に向き合わないといけないのでしょうか?

そんなことをしていたら精神的にまいってしまいます。切り分けを行いましょう。

①お門違い・ただの憂さ晴らし

SNSなどでよく見かける「お門違い・ただの憂さ晴らし」系のフィードバックです。これに対しては、心の境界線を引くべきだと思います(心の境界線については第1弾の記事をご参照ください)。

ネット上でなくても、匿名のアンケートなどは、身元を明かさない安心感もあいまって、攻撃性が増す傾向があります。

相手が何かに対して抱えている不満や怒りといったものは、「相手の問題」であって「私の問題」ではないですし、そもそも対応のしようがありません。

②性格や属性に関するもの

「その人らしさ」や「属性」に関するフィードバックも、基本的に対応しなくて良いでしょう。

日本語のレッスンの場であれば、「パワフルでよく笑う先生」や「落ち着いた物静かな先生」といった性格的なものですね。

「パワフルでよく笑う先生」はノリが良く楽しく会話がしたい学生さんにとっては「良い先生」でしょうが、じっくりと考える時間や論理的に納得することを大切にしたい学生さんにとっては「悪い先生」となるかもしれません。

なので、この手のフィードバックをもらった際は、良し悪しではなく、相手と合うか合わないかの問題と捉えたほうが良いと考えます。相性はあります。人間だもの。

③スキル・能力・やり方に関するもの

3つ目は、学生さんや他の先生方からもらう次のようなフィードバックです。

「できるだけ英語で説明しないで」「質問の答えがわかりづらい」「教師が話しすぎ」「もっと変換練習を増やして」etc.

この種のフィードバックはあなたの人格に対する攻撃ではなく、やり方に対しての意見・要望であることがほとんどです。

①とは違い、あなた自身に向けられたものであり、②とは違い、変えられないものでもありません。③は、身に着けられる・変えられるものであるため、このフィードバックこそ向き合うべきだと思います。

実はフィードバックをするのは難しい

ここで少し横道にそれて、フィードバックをする側に視点を当てたいと思います。

いろいろな研修会や勉強会をする中で、しみじみと感じるのは「フィードバックをするのはとても難しい」ということです。

「はい、みなさ~ん、今からペアを組んでフィードバックをし合ってください~」と指示を出して、上手くいくことはまずありません。

フィードバックをする方・される方の心構えを十分に説明し、どのような点をどのようにフィードバックをするのか具体的に伝えないと、ほぼ失敗します(何度も痛い目に遭ってきました…)。

それにしても、なぜフィードバックができない(しない)のでしょうか?

個人的には次の5つの原因があり、そのどれかに該当するからだと感じています。

1、フィードバックする環境・しくみが職場にない(環境的問題)

2、重要性がわかっていない(認識的問題)

3、実力がない(能力的問題)

4、意欲がない(意欲的問題)

5、思いやりがない、相手の成長を願っていない(人格的問題)

逆に考えると、フィードバックすることに慣れており、スキルも意欲も思いやりも有している人なんて、そうそういないのではないでしょうか。そりゃ、フィードバックが難しいわけです。

こんな仕事をしていますと、ベテランこそお金を払ってでもフィードバックを受けるべきなんじゃないかと思うことが多々あります。

どんな職業であっても、キャリアが長くなり経験が増えてくると、遠慮して誰も言ってくれなくなるからです。

それから、そもそもフィードバックが入ってこないこともあります。

例えば、ある学生さんから突然レッスンの予約が入らなくなった、というのものです。

忙しいのかな?レッスンが合わなかったのかな?わたし何か言っちゃった?と、いろいろと想像はしますが、正直言ってこういうケースはお手上げで、改善のしようがありません。

フィードバックがもらえるだけ、ありがたいことなのではないでしょうか。

なぜネガティブフィードバックを引きずってしまうのか

考え方の中にはいろいろなものがありますが、その中でも自分や他者を苦しめる思考パターンがいくつかあると言われています。心理学的には認知の歪みとも言われます。

この思考パターンの中で、今回の内容に関係するものが3つほどあります。

①心のフィルター

一つの嫌なことが気にかかり、くよくよ考え現実を実際より暗くみてしまうことを言います。

例)「他の人はほめてくれたけど、Aさんはズバズバ指摘してきた…(数時間ぐるぐる)」

②マイナス化思考

出来事の否定的な側面ばかりに目がいき、それが全てであると思い込んでしまうことを言います。

例)「学生さんがレッスンに出なくなったのは、きっと私のレッスンに不満があるからだ」

③結論の飛躍

物事を根拠もなく悪く解釈し、自分にとって不利で悲観的な結論をすぐに決め付けてしまうことを言います。

例)「あの人が厳しいことを言ったのは、私のことが嫌いだからだ」

これら認知の歪みが強く苦しみが大きいときは、専門家の力を借りたほうがいいでしょうが、まずは自分の認知の歪みのパターンに気づくことが第一歩だと言われています。

「あ~、自分はこういう考え方に囚われていたかも…」と気づくプロセスを繰り返し行っていくことで、歯の矯正のように思考が少しずつ矯正され、考え方が柔らかくなっていきます。

それでもキツかったら…

今回は、ネガティブフィードバックの受け止め方について考えてきました。

どのようなものは受け流して、どのようなものに対応したらいいか、その切り分けについて触れました。

フィードバックするのも簡単ではないため、有益なネガティブフィードバックは、自分の成長のためにもぜひ真摯に受け止めたいところです。

しかし、です。

いくら有益であっても、その言葉がキツく感じられてしんどくなったり、自分への攻撃のように思えてビクついてしまうことだってあるかもしれません。

今まで言ってきたことと矛盾しますが、そういうときは思い切ってフィードバックを一定期間遮断してしまうのもアリだと思います。つまり情報のデトックスですね。

そもそもフィードバックを受けるのは、自分が成長することでより楽しく働けるようになるためであるはずです。苦に感じたり、働く喜びが減ったりするのは、本末転倒なのではないでしょうか。誰もハッピーになりません。

ご自身に厳しくなりすぎないでください。有益なフィードバックであったとしても、全部を受け止めなくてもいいのですから。

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