例文トレ#19「べき」ってどう扱うべき!?

例文トレ#19 「べき」ってどう扱うべき!?

今回の例文トレーニングでは、助言・忠告の「べき」の例文を募ってみました。

これは、初級の学習者から(訳語につられてだとは思うのですが)「~たらどうですか」「~たほうがいいですよ」はアドバイスとしては弱すぎないか?(あまりシンパシーや思いやりがないのではないか?)という指摘を受けたことから始まります。

「べき」は中級で登場しますが、これはこれでどうなのでしょうか。昨今日本では「べき論」はやめよう!なんて議論もされています。私の「べき」と受け手の「べき」はイコールじゃないよね、誰もが納得する絶対的な「べき」なんてないんじゃない?、「べき」を使うことで自分を追い詰めてしまうのでは?、人の思考を硬直させる・・・とかとか。学校や職場などでは「べき」を使うのを意識的に避けているなんていう人も多いかもしれませんね。

きっと昔に比べて使用される頻度は少なくなったのかもしれませんが、今でも「べき」を使うシーンはきっとありますよね。皆さん「べき」を使って言うアドバイスって、どんなものが思いつきますか?

「べき」を使った例文

Cotoの先生方から出てきた例文をどんな状況で使われるかで分類し、書き出してみました。(いつもながら、語彙コントロールはなしで、私たちが日常で自然に使っているものや聞くものを書いてもらっています!)

人生訓的助言

  • 人間いつどうなるかわからない。会いたい人には会い、食べたいものは食べ、行きたいところには行っておくべきだ。
  • 推しは推せるときに推すべき。
  • 「こうあるべき」をやめれば、人生は楽になる。

悩んでいる・問題を抱えている人への助言

  • 仕事の采配は上司の仕事なんだから、上司に相談すべきだよ(親友へのアドバイス)
  • (誰かと一悶着あった友達Aが、第三者の友達Bにアドバイスを求める場面)
    A 今回は私が折れるべき?
    B いや、そう簡単に折れるべきじゃないよ!
  • 昼間そんなに眠くて勉強できないなら、夜のアルバイトは辞めるべきじゃない?

自分の意見を述べることで助言とする

  • 首相、今すぐ解散すべきです。
  • 停戦して、和平の道を探るべきです。

怒りや呆れを伴う助言

  • やるべきことやってから、遊びなさいよ。
  • 「もっと朝早く起きて活動するべきだよ」なんて他人のライフスタイルに口出しするべきじゃありませんよ。
  • 最初からできないんだったら、そんな約束すべきじゃな〜い!!
  • 昨日のうちに準備しておくべきだったよ!(朝バタバタしている子供に)
  • 自分の事ばかりじゃなくて、もっと子供と遊んだり、出かけたりするべきだと思う(ワンオペ妻→旦那、やんわりと)

オススメする助言

  • お腹いっぱいでも、これは食べとくべきだねー
  • この芝居は、いま見とくべき!
  • 今年の秋冬に買うべきアウター(雑誌で)
  • 無茶なダイエットはすべきじゃないよ。

 

「べき」は思いが強すぎる・・・

みなさん、いかがでしょうか。

今回、Cotoの先生方が作った例文を眺めていて、「べき」は超主観で、超強めゆえ、自己主張に関しては控えめな(?)、そしてポライトネスを重視する私たち日本人は、人に対して「べき」を使うのを避ける傾向があります。そして、それがアドバイスとてです。なので、「ほうがいい」とか、ちょっと強めでも「なきゃ!」ぐらいがちょうどいいと感じています。

というわけで、「強いアドバイスこそ相手を思う気持ちが表せる!」と感じる文化の学生には日本人のは軟弱アドバイスだと感じさせたのかもしれないですね。

「ほうがいい」は、文法的にも比較の構文であることから、あくまでなにかと比較して、という気持ちが入るゆえに弱くなるのかもしれませんね。これに対して、「べき」は “the best of the best” を提示し、「これ以外にない!」というような強さがあります。そのような心持ちを持って言えるシチュエーションって(特に強いアドバイスをしにくい心性を持つ日本人にとっては)限定的なのではないでしょうか。

「べき」の導入&練習Tips

という考察を踏まえた上で、この中級文法の「べき」を導入するとき、みなさんはどの意味・機能から導入したらよいと思いますか。

まずは、書き言葉、フォーマルな場面で使う「主張」の機能、そこからグラデーション的に「アドバイス」に流れるのが定番でしょうか。

「アドバイス」の機能を練習する際は、まずは「おススメ」場面などはすぐに使えて盛り上がりそうです。また、「怒り」は万国共通であり学生からも例文が出やすいかもしれません。「悩み」は関係の近さがポイントです。信頼関係があり近い関係性の相手に対して、私はあなたのことを思って言っているんだよ〜という状況で熱い思いがないと使えません(まあ、それでも相手の受け取り方によるっちゃよるんですけどね・・・笑)。

いずれにしても、場面をしっかり設定してから練習するとよいかもしれませんね。

 

edited by Kazuko

 

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