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日本語教師の先輩体験談~技能実習生向けオンライングループレッスン~
技能実習生向けのレッスンの求人はたまに見かけますね。どんなふうにレッスンをするのでしょうか。経験のあるIさんにお話を伺いました。
日本語オンラインレッスンを始めたきっかけ
オンラインレッスンを始めたきっかけはふたつあります。
ひとつ目は、日本語教師としての経験を積みたかったからです。求人を見ても指導歴1年以上が望ましいと書かれているのをよく目にします。日本語学校での勤務とオンラインレッスンの経験があれば、日本語教師としての今後の活動に役に立つと思いました。
ふたつ目は、将来海外で日本語教師として働きたいと思っていますが、海外の求人をみても給料が低いので、場所を選ばずに働くことができるオンラインレッスンに目を付けました。オンラインレッスンでの経験を重ねておけば、海外生活での足しなると思ったからです。
技能実習生向けオンライングループレッスンを始める準備
機器類(パソコンや、Wi-Fi環境)、ミニホワイトボードも準備しました。技能実習生は全員ベトナム人ですが、私自身、ベトナムの言語習得はもちろん、ベトナムについての知識はゼロです。旅行に行ったこともありません。
技能実習生向けオンライングループレッスンの内容
レッスンは、完全直接法です。英語も一切通じません。パソコンのZoomを利用するか、LINEでSpeakingをします。Zoomは、無料の個人アカウントを使用しますが、1回のレッスンが30分なので、途中で切れる心配もありません。対象は技能実習生なので、主に仕事の場面で使用する会話練習をします。職場の人とのコミュニケーションの取り方や、日本の文化についても教育します。技能実習生は、3名1組を30分で、1日に4組教えます。この12名で構成された技能実習生を1グループとして、全部で4グループ受け持ちました。1グループずつ2週間に1回のローテーションで行い、1コマ2時間の授業です。文法を一から教えることはありませんが、会話の中で変換ミスがあれば、文法に触れて教えることもあります。
技能実習生向けオンライングループレッスンの待遇
1コマ4,000円(1コマ2時間なので時給2,000円)で、月給32,000円~36,000円の間です。月によって5週がある曜日もありますので、その週は調整します。基本は、週2回の2コマです。その他に、自分の都合でレッスンを調整することもでき、比較的柔軟にスケジュールを組むことも可能です。有給や保険制度などは一切ありません。レッスンに必要な書籍などは、自身で揃えることになります。
更に、授業後に技能実習生の様子や今後の方針などをする際のミーティングも大体1時間かかりますが、そちらの報酬もありません。また、通信に必要な機器の準備や維持費などももちろん発生しません。学習者に接した時間のみの報酬です。
技能実習生向けオンラインレッスンを始めて良かったこと
定期的な会話のレッスンを通して、日本語教師のスキルを上げられること。ベトナム人の発音の特徴や、ベトナムの土地や文化、食べ物などを知れたこと。10代後半から、単身日本に渡り余暇を楽しむこともなく、仕事と日本語の勉強をする彼らのバックグランドを知り、ニーズにあった日本語教育が何かを勉強できたこと。
技能実習生向けオンラインレッスンを始めて大変だったこと
大変だったことは三つあります。
一つ目は、発音の聞き取りに苦戦しました。「ざ、ず、ぞ」と「じゃ、じゅ、じょ」「や、ゆ、よ」の区別ができないようで、会話の中で何を言いたいのか聞き取ることが大変でした。正しい発音を教えても、日本人の「R」「L」の違いと同じで、定着するまで大変でした。
二つ目は、文化の違いには、戸惑いました。彼らは、女性に対して「かわいい」と、挨拶のようにいいます。「かわいい」と、女性に言うことが悪い事だと思っていませんから、レッスンの度に言われるので、教師として舐められているのかと悩んだ時期がありました。日本人の女性と結婚したいという明確な目的を持っていたからのようですが、もし、道端で「かわいい」と連呼していたら軽いナンパだと誤解を受けるその教育が必要だと分かるまでは大変でした。
三つ目は、基本は熱心に学ぶのですが、仕事で疲れてレッスンに参加しない生徒も中にはいます。また、技能実習生は共同生活をしており、母語での会話がメインで、日本語を話す機会が、職場の人と話すだけですが、発音の干渉などから「何を言っているのか分からない」と言われてしまうようで、企業が求めている日本語力をグループレッスンで、どのように進めていくのか大変でした。
技能実習生向けオンラインレッスンを検討されている方へ
世話好きな人には特におすすめします。場所を問わず、ネットの環境さえあれば仕事として成り立つのも大きな理由ですが、今後、日本には多くの技能実習生が来て働くことになります。その際、自国の文化と日本の文化の違いに戸惑い悩む人もいると思います。日本に来る前と日本に来てからの待遇や環境に慣れずに、逃亡するというニュースも見ます。ネイティブの日本人とのコミュニケーションがうまく取れず、人間関係に悩む技能実習生も少なくありませんから、日本語教師としてなら、語彙コントロールをしながら話を聞いて、企業側と技能実習生の間に入り、サポートする仕事にはやりがいがあります。面接時に、企業側が求めているニーズを明らかにしてくことで、授業計画も立てやすくなると思います。
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