【日本語教師】オンラインレッスンで私が大切にしている3つのこと【後編】

【日本語教師】オンラインレッスンで私が大切にしている3つのこと【後編】― 100人に好かれなくていい理由 ―

はじめに

前編(【日本語教師】オンラインレッスンの難しさとは?【前編】― 現場で感じた6つのリアル ―)では、オンライン特有の難しさについてお話ししました。

もしかすると、「やっぱり大変そうだな」と感じた方もいるかもしれません。

それでも私は、オンラインでも教え続けています。

なぜでしょうか。

今回は、そんな問いに対する、私なりの答えをお伝えします。

私が気を付けていること

① 初回はとにかく丁寧に

オンラインレッスンは「初回」がとても重要だと感じています。

誰でも、初対面の人と話すときは緊張します。

それが外国語であれば、なおさらです。

だからこそ、最初のレッスンでは「安心してもらうこと」を最優先にしています。

学生さんの状況にもよりますが、私はおおよそ次のような流れで進めています。

レッスン前

  • チャットで簡単な挨拶と予約のお礼を送る
  • 「リラックスして楽しんでくださいね」と一言添える

レッスン冒頭

  • 簡単な自己紹介をし合う
  • 今日のレッスンの希望や目標を確認する

レッスン終了時

  • 今日の感想をうかがう
  • できたことを具体的にフィードバックする

レッスン後

  • チャットで改めてお礼を伝える
  • 必要に応じて今後の見通しや学習アドバイスを送る

初回で「ここなら安心できる」と思ってもらえるかどうか。

オンラインでは、それが継続にも大きく影響すると感じています。

② 付加価値を常に考える

少し前までは、オンラインレッスンの魅力といえば「いつでも、どこでも受講できること」でした。

しかし今は、AIで会話練習ができる時代です。

「いつでもどこでも」という手軽さだけでいえば、AIのほうが優れている部分もあるでしょう。

では、学生さんはなぜAIではなく、人間の先生を選ぶのでしょうか。

人間の先生から学ぶことの、どこに価値を感じているのでしょうか。

この問いに正解はありません。

けれども、「自分が提供できる付加価値は何だろう」と考え続けることは、とても大切だと思っています。

それはAIと差別化したり、他の先生と比べたりするためではありません。

あなたの経験、あなたの言葉、あなたの関わり方。

そこにしか生まれない価値があります。

たとえば、学生さんの背景を踏まえたフィードバック。

その人の生活や目標に寄り添った言葉は、AIにはまだ難しい部分かもしれません。

だからこそ、「私は何を届けたいのか」を、常に問い続けることが大事だと思っています。

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③ あいづちを打ちすぎない

cotoでは、話す量の目安として「学生:教師=7:3」あるいは「8:2」と言われています。

教師が話しすぎないことは、対面でもオンラインでも共通しているcotoのポリシーです。

ただ、オンラインの場合はそれに加えて、「あいづちを打ちすぎない」ことも意識しています。

というのも、オンラインでは音声が重なると、対面であれば自然に発生する「うんうん」「はい」「なるほど」といった小さなあいづちであっても、相手の声を聞き取りづらくしてしまうからです。

また、そのことが相手を不快にさせたり焦らせてしまったりします。

そのため、オンラインでは特に、

  • 学生が考えている時間は静かに待つ(ただし待つ時間は7秒まで)
  • 相手が話し終わってから反応する
  • リアクションは、うなずきや表情、ハンドジェスチャー機能などで補う

といったことを意識しています。

オンラインでは、「あいづちは少し控えめなくらい」がちょうどいいのかもしれません。

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100人から好かれなくていい

ここまで、オンラインの難しさと、私なりの工夫をお話してきました。

いろいろ試行錯誤していますが、うまくいかないこともあります。

どんなに初回を丁寧に行っても、リピートがないことはあります。

継続していた学生さんが、ある日パタリと来なくなってしまうこともあります。

私自身、まだまだ修行中です。

これから身につけていかなければならないスキルも、きっとたくさんあります。

でも、すべてを「教師の責任」として背負う必要はないのではないか、と今は思っています。

学生さんの個人的な事情かもしれません。

違う先生と話してみたくなったのかもしれません。

そして何より、教師と学生も人間同士です。

相性は、どうしてもあります。

共感型が合う人もいれば、理論型が心地よい人もいる。

元気でノリのよい先生が好きな人もいれば、落ち着いた雰囲気の先生を好む人もいる。

やさしく寄り添ってほしい人もいれば、少し厳しく引っ張ってほしい人もいる。

それは、力量の問題というよりも、スタイルや価値観の相性の問題かもしれません。

もし私と合わなかったとしても、その学生さんがどこかで日本語の学習を続けてくれているなら、それはそれでうれしい。私はそう思うようにしています。

――そういえば、この記事を書きながら思い出した学生さんがいます。

彼とはそれなりに長い付き合いになりますが、これまでに何度かお休み期間がありました。

転職活動が忙しかったとき。

大学院の勉強との両立が難しかったとき。

JLPTに全力で取り組んだあと、少しリフレッシュしたいと言って離れたときもありました。

そして今は、赤ちゃんが生まれるとのことでお休み中です。

先日、そんな彼から久しぶりに連絡がありました。

元気な赤ちゃんと、すっかりパパの顔になった彼の写真とともに、

「最近日本語から離れていたので、また先生とのレッスンを再開したいです!」

というメッセージが届いたのです。

心がじんわり、あたたかくなりました。

私は、この記事の【前編】で、「オンラインは簡単にやめられる」と書きました。

でも同時に、いったん離れても、また戻ってきやすいのもオンラインなのかもしれません。

100人全員に好かれなくてもいい。

でも、目の前の一人には誠実でありたい。

ご縁のあった誰かが、また戻ってきてくれる。

その積み重ねが、教師という仕事の喜びなのだと思います。

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まとめ

オンライン日本語レッスンでは、学生との関係づくりや継続の難しさを感じることもあります。

だから私は、初回の安心感を大切にすること、自分なりの付加価値を考え続けること、そして学生が話しやすい環境を整えることを意識しています。

それでも、すべての学生と長く続くわけではありません。オンラインでは、出会いも別れも思っている以上に早いものです。

けれど、いったん離れても、また戻ってきてくれる学生がいる。その瞬間に、教師としての喜びを改めて感じることがあります。

100人全員に好かれる必要はありません。目の前の一人に誠実に向き合うこと。その積み重ねが、オンラインでも確かな関係を育てていくのだと思います。

もしあなたがオンラインで教えることを考えているなら、あなたは学生とどんな関係を築いていきたいですか?

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