オンライン日本語教師はキャリアにならない? ~オンラインと対面、両方経験して感じたこと~

オンライン日本語教師はキャリアにならない?のか。

「オンライン日本語教師って、キャリアになるんですか?」

最近、日本語教育界隈で、こんな話を聞きました。

「オンライン日本語教師として働いた経験は、キャリアとして見られない」

オンライン日本語教師というと、

  • 在宅で自由に働ける
  • 好きな時間に働ける
  • 場所に縛られない

といったイメージを持つ方も多いかもしれません。

一方で、

  • 収入が不安定そう
  • 孤独そう
  • 社会経験として評価されにくいのでは?

という不安の声もあります。

実際のところはどうなのでしょうか。

私は、日本語教師としてのキャリアをCotoのオンラインレッスンからスタートし、その後、対面の日本語学校(※Cotoではない学校です)でも教えるようになりました。

(ご参考)

日本語教師の働き方:告示校で働いてわかったCotoとの違い

両方を経験して感じるのは、「オンラインだからキャリアにならない」というよりも、“どんな環境で、どんな形で働くか”によってかなり違う、ということです。

今回は、Cotoでオンライン日本語教師として働いている立場から、「オンライン日本語教師はキャリアになるのか?」について、私自身の経験をもとに考えてみたいと思います。 

オンラインで日本語を教えるという働き方を検討している方にとって、判断材料の一つになれば幸いです。

「オンライン日本語教師」といっても実態はかなり違う

まず最初に感じるのは、「オンライン日本語教師」と一括りにするのは、実はかなり難しいということです。

たとえば、個人でプラットフォームに登録し、自分で集客しながらレッスンを行うスタイルもあれば、学校や会社に所属して働くスタイルもあります。

これは感覚としては、フリーランスと会社員の違いに近いかもしれません。

個人で活動する場合は、

  • 自分で学生を集める
  • プロフィールを作り込む
  • レッスン予約を待つ
  • 教材を準備する
  • トラブル対応も自分で行う

必要があります。

自由度は高いですが、その分、営業力やITスキル、トラブル対応力など「教える力」以外のスキルもかなり求められます。

一方、Cotoのように学校に所属して働く場合は、教材やカリキュラム、相談体制がある程度整っていることが多いと思います。

もちろん楽という意味ではありませんが、「教えること」に集中しやすい環境ではあるでしょう。

逆に、私が非常勤で働いている対面校では教材を自作することも多く、宿題チェックや採点業務の負担もあります(これがけっこう大変です…)。

ですから、実際には、「オンラインだから大変」「対面だから楽」といった単純な話ではないのだと思います。

(ご参考)

オンライン日本語教師は「孤独」なのか?【Cotoの取り組み】

オンライン=自由なのか?

オンライン日本語教師というと、

「自由に働ける」

「苦手な学生は避けられる」

といったイメージを持つ人もいるかもしれません。 

ただ、個人的には、「オンラインか対面か」そのものよりも、どんな組織で働くのかの方が要素としては強いと思います。

たとえばCotoでは、オンラインでもグループレッスンがあります。

決められたカリキュラムの中で授業を進める必要がありますし、他の教師との連携もあります。もちろん「あの学生は苦手だからブロック」なんてできません(笑)

そのため、「オンラインだから自由に好き勝手できる」という感覚は、私にはあまりありません。 

オンライン特有の難しさもある

もちろん、オンラインならではの難しさもあります。

以前、その難しさについて記事に書きましたので、詳しくは下記記事をご覧ください。

(ご参考)

【日本語教師】オンラインレッスンの難しさとは?【前編】

【日本語教師】オンラインレッスンで私が大切にしている3つのこと【後編】

特に初級レベルでは、

  • 身振り手振りが伝わりにくい
  • 学生の細かな反応が見えづらい
  • 教室空間を使った説明ができない

など、オンラインと対面では「同じ日本語教師でも、かなり別のスキルが必要だな」と感じています。

だからこそ、オンラインと対面は対立するものではなく、お互いを補完し合うものだと考えます。

ただ、個人的には、特に初級クラスの場合、オンラインか対面か以上に影響が大きいのは、「学生の人数」だと感じています。

1対1、または少人数でじっくり教えられるかどうかは、とても大きいポイントです。 

たとえば、学生が大勢いて、その全員が日本語も英語もまったく通じない場合は、さすがにオンラインでは大変だろうなぁ…と想像します。

ちなみに、Cotoでは基本的に直接法(日本語を日本語で教える)を採用していますが、初級では英語などの媒介語を必要に応じて使っています。

また、教材も英語での解説がついているので、オンラインで初級学習者を教えることが特別大変だとは感じていません。

(ご参考)

日本語レッスンで英語をどう使う?【前編】

日本語レッスンで英語をどう使う?【後編】

オンライン一本のリスク

もし「日本語教師を本業にしたい」「将来的にキャリアアップしていきたい」と考えているのであれば、最初からオンラインだけに絞ることは、あまりおすすめしません。

というのも、オンライン日本語教師(特に個人でプラットフォームを使って活動する場合)は、収入が不安定になりやすいですし、「どんな経験として評価されるのか」が見えづらいからです。

さらに、「教える力」だけでなく、集客や営業、自分自身のブランディングも必要になります。

もちろん、それが向いている人もいますし、自分らしい働き方を実現できるケースもあるでしょう。

ただ、「まずは現場経験を積みたい」「安定した環境で力をつけたい」と考える場合は、対面校や組織に所属する形からスタートする方が、結果的に学べることは多いのではないかと思います。

「日本語教師としてのキャリア」の前に

この記事を書きながら改めて感じたのは、日本語教師のキャリアは、「日本語を教えた経験」だけで決まるものではない、ということです。

在宅で働けるオンライン日本語教師というと、 「家で好きな時間に働ける」「好きなことをして稼げる」といったイメージが先行しがちです。

一方で、この「自由に働ける」というイメージが先行することで、仕事としての大変さや専門性が見えづらくなっている面もあるのかもしれません。 

そして、実際、私が告示校の採用時に評価されたのも、日本語教師としての能力やオンラインで教えたことがあるという経験よりも、「他の業界で長く会社勤めをした」「マネージャーとして人材育成を行ってきた」「他部署やお客様と協力して業務を立ち上げてきた」といった、社会人としての経験の方でした。

繰り返しになりますが、日本語教育の現場で求められるのは、授業スキルだけではありません。

実際の現場では、

  • いろいろな背景を持つ人と関わる力
  • 時間や体調を管理する力
  • チームで働く力
  • 感情をコントロールする力

など、「社会人としての基礎力」がとても重要になります。

こうした「社会人としての基礎的な力」があってこそ、日本語教師としての専門性も活きてくるのだと思います。

そして、それはオンラインでも対面でも同じです。

だからこそ、「オンラインだからキャリアにならない」と単純に考えるのではなく、

  • 自分はどんな働き方をしたいのか
  • 何を積み上げたいのか
  • どんな環境で成長したいのか

という視点で考えることが大切なのではないでしょうか。

まとめ

オンライン日本語教師は「キャリアにならない」と言われることがありますが、実際には一言では言い切れないと感じています。

今回見てきたように、その違いは「オンラインか対面か」よりも、レッスンの形態や、どんな環境で働くかによる部分が大きいのではないでしょうか。同じオンラインでも、カリキュラムや教材、サポート体制によって、働き方や感じ方は大きく変わります。

また、日本語教師のキャリアは、授業経験だけで決まるものでもありません。日々の仕事の中で培われるコミュニケーション力や自己管理力といった、社会人としての基礎的な力も大切な要素です。

「オンラインだからキャリアにならない」と単純に考えるのではなく、自分がどんな経験を積みたいのか、どんな働き方を目指したいのかによって、選ぶべき環境も変わってくるのだと思います。

そんな視点で、日本語教師としてのキャリアを考えるきっかけになればうれしいです。

(ご参考)

日本語教師1年生による「cotoに入ってビックリしたこと3選」(前編)

日本語教師1年生による「cotoに入ってビックリしたこと3選」(後編)

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