Contents
「〜と会う」vs「〜に会う」
「会う」「話す」などの相互的な動詞の相手は「と」のほか「に」でも表せます。
- 昨日、駅でたけしさん[と/に]会いました。
- 進路のことを父[と/に]話しました。
- メアリーさんは旅行についてハナさん[と/に]相談した。
- 車[と/に]ぶつかったが、幸い怪我はなかったようだ。
- メアリーさんは考え方がタケシさん[と/に]似ている。
- メアリーさん[と/に]約束したことは必ず守れよ。
「と」でも「に」でも文は成り立つけれど、意味が異なる場合も
「と」は相互的な動作、「に」は一方的な動作を表します。なので、助詞「と」を「に」にすると意味が変わってきます。
<例文>
父と相談する(二人で一緒に考える)
父に相談する(父は相談を受ける) *「に」は行為主体の積極性を表す
上の例文を使って、ニュアンスの違いを見てみましょう。
- とくに会う約束はなかったけれど、たまたま駅で会ったというときは「に」のほうが自然です。
2. 進路のことをある程度自分で決めていて報告するだけの場合は「に」にほうがいいですね。
3. メアリーさんはタケシさんとの旅行について考えていて、ハナさんはその相談にのったのなら「に」、メアリーさんとハナさんが二人で一緒に行く旅行について相談しているのなら「と」になります。例えば、進路について相談する場合、相談相手が進路について知識が豊富な先生ならどうでしょう。この場合は「進路について先生に相談する」が適当です。(先生がすごくフレンドリーで同じ目線で相談してくれたとしたら、「先生と」もありかも!?)
4. 車と誰かが出会い頭にぶつかった場合(責任が両方にある場合)は「と」、止まっていたのに車がぶつかってきた場合は「に」をとります。交通事故で保険会社に状況を伝えるのであれば、この差は大きいですよね。ちなみに、「車が電柱にぶつかった」電柱は動きませんから「に」しかとりませんね。
5. タケシさんを基準にして「似ている」と言っているのであれば「に」になります。「タケシさんは後ろ姿がお父さんによく似ている。」これは遺伝的なものなので、判断する基準がお父さんなので「に」がいいですね。
6. 「メアリーさんに」にすると、なんだか弱みを握られている感じがしませんか。タケシさん、何か悪さをして友達に諭されているのかなと言った感じです。対等な感じがしません。
人によって語感の違いは多少あるかもしれませんが、、、いかがでしょうか。ニュアンスの違いがわかりましたか。つまり、相手との関係を「→」で示すと、友達に会うの「に」は相手に対して向かっていて「私→友達」というイメージ、友達と会うの「と」相手と対等の立場で「私→←友達」というイメージです。
「に」か「と」かのどちらかでしか示せない場合
次に、「に」か「と」かのどちらかでしか示せない場合も見てみます。
「と」・・・両方がお互いを相手として動作を同時にする
一人ではできない動作、二人いないと成立しない動作の場合は「と」を用います。「といっしょに」で置き換えができないというところがポイントです!
「❌メアリーさんはタケシさんといっしょに結婚した」
このような相互動詞は「結婚する」のほかにも「ケンカする」「協力する」「約束する」「話し合う」「戦う」などがあります。
<例>
- メアリーがタケシと結婚した。
- メアリーと今後のことについて話し合った。
- 決勝戦でアメリカチームと戦った。
「に」・・・一方が相手に向かって動作をしている
人を相手に「に」を使う動詞は「話しかける」「賛成する」「反対する」「に恋する」などがあります。これらは必ず相手がいる動詞に使われます。
- 知らない人が私に話しかけてきた。
- 母に付き添ってデパートに行く。
- ご両親によろしくお伝えください。
- 田中さんにプレゼントをあげます。
ちょっと横道に・・・「に比べて」と「と比べて」の違い
先日、こんな質問がありました。
「~に比べて」の文型で、「に比べて」と「と比べて」の違いについて、わかりやすい例文がないかと悩んでいます。文型辞典やテキストは「に比べて」だけで「と比べて」には言及してないようなのですが、「と比べて」も使いますよね。このニュアンスの違いにモヤモヤしています。
はい、確かにちょっとモヤモヤしますね。
<例文>
- 以前に比べて、メアリーさんの日本語は上手になった。
- 兄に比べて、弟はスポーツがよくでき、頭もいい。
- 男性に比べて、女性の方が一般的に寿命が長いそうです。
- 昔に比べて、外で元気に遊ぶ子供の数が減ってきている。
どの文も「と比べて」と言い換えることができますね。基本的にはこの二つ、同じです。
ただ、あえて言うのであれば、「兄と比べて私は・・・」「兄に比べて私は・・・」のように、同類のものを相互に比較するときに「と比べて」を使う場合があります。ちなみに、下の例文のように「比べる」は本来、比べる対象に関して「と」しかとれません。この例文はどれも比較対象は同類のものです。
- 以前の製品と比べてみると、ずいぶん使いやすくなりましたね。
- 翻訳を原文と比べると、ちょっとニュアンスが違うんだよね。
- 若い頃に比べると、月日の流れが早く感じるようになった。
- 姉は頭が良すぎて、私とは比べものにならない。(慣用的用法)
この感覚が影響しているかもしれませんね。「に比べて」と「と比べて」は、どちらを使っても意味の上では同じですが、あえて言うのであれば、このような違いがあると言えるのではないでしょうか。
Customer Reviews
Thanks for submitting your comment!