日本について外国人に聞かれたら?ー日本の教育事情(大学と就職活動)ー

日本について外国人に聞かれたら?ー日本の教育事情(大学と就職活動)ー

前回は『日本について外国人に聞かれたら?』シリーズ3で、日本の教育事情(小学校〜高校)について書きました。今回は、大学受験〜就職活動について書きたいと思います。

昨今の日本は”学歴社会”というほどではなくなったかもしれませんが、”どこの大学を出たか”は一生ついて回るステイタスのようなものでまだまだ重視されています。新卒採用においても、依然として大学名でフィルターをかけている企業が多いのが現状でしょう。

”一流企業”に入りたいのなら”一流大学”に入る。働き方や意識が多様化してきてはいますが、今もこの考え方は根強く残っています。

それでは、それぞれを詳しくみてみましょう。

 

受験というシステム ーステイタスとしての大学ー

日本の大学の仕組み

日本の大学には国公立大学と私立大学があります。

国立大学の学費は4年間で250万円程度、私大文系で400万円程度、私大理系は高く550万円程度となっています。(ちなみに、日本では大学入試の時に文系・理系に分かれるが、近年この分け方にも賛否両論あり)

日本の大学入学試験(入試)のシステム

大抵の大学では4月入学のために9月〜10月から願書の提出がはじまり、1月から2月にかけて選考が行われます。

入学選抜は下記のいずれかの方法でするケースがほとんどです。

(1)大学入学共通テスト(旧センター試験)+個別試験、
(2)推薦入試(一般的には内申書と小論文)
(3)総合型選抜(旧AO入試*)

*「AO入試」とは、学力だけでなく学習意欲や学校への適性、さらに個性や能力などを評価する入試。それぞれの大学が対話やプレゼンテーションなど様々な手法基準で選抜している。

この大きく分けて3種類の方法で合否を出しています。(2021年から呼び名や内容に変更あり)

(1)の大きな特徴は、以前のセンター試験と比べ、知識の理解の質を問う問題、思考力、判断力、表現力等を発揮して解く問題などに重点が置かれている、という点です。

日本の大学入試の現状

昔ほどではなくなったものの日本の大学受験は”受験戦争”などと言われています。塾や予備校といった教育マーケットも巨大です。自分の行きたい大学に合格できなかった場合、行きたい大学に入るために1年から数年間、予備校で勉強するなどして受験をし直す人もいます。これを日本語で「浪人する」といいますが、入学試験に合格するためにもう一年勉強するのが目的であり、欧米のギャップイヤーとは似て非なるものです。

一部の人気大学は相変わらず高倍率で狭き門ではありますが、一般的には中国や韓国の受験競争ほど過酷ではないと思います。どの職業についてもそこまでの所得格差がないことが理由のひとつかもしれません。ただ、今後はどうなっていくでしょうか?

また、こんなことを聞いたことがある方もいるでしょう。日本の大学は入るのが難しく、卒業は比較的簡単。実際、小〜高校の学習の最終目標が大学受験であるケースでは大学に進学が決まると、まるで「人生の休暇」のようにサークル活動や飲み会、アルバイト、海外旅行や語学留学など好きなことを始める人が多くいます。

 

日本の就職活動

大学生活を締めくくる一大イベント「就活」

就職活動(就活)、これは大学生活を締めくくる一大イベントです。就活のシステムは国や文化によって違っています。日本の就活は世界的に見ると非常に独特で、新卒一括採用というのが最大の特徴です。新卒一括採用とは、ある時期(大学4年時の6月)を境に就活が一斉にスタートするというものです。

日本企業の採用の視点

学生の本分でもある学業での成果や興味よりも、それ以外の活動の内容などにより興味をもち評価をすることが多いように思います(特に文系の学生)。

ただ「学歴(どこの大学を出たか)」は採用の際、今もなお重視されています。その大学に「入ることができる学力」=「地頭のよさ」or 「与えられた土俵でコツコツと努力を続けられる姿勢」「努力の結果」を評価しているからです。

また、就職後の成長力を見越して採用を決定する傾向があり、”ポテンシャル”=素直で学習意欲の高い人も好まれます。「仕事や専門分野の知識などがなくても素質のある若者を一斉に入社させ、時間をかけて社内で自分たちのカルチャーに育てていく」というのが、特に大企業にとっては一番王道の採用手法です。実際に日本の労働法では雇用される側の権利が非常に強く保障されるため、企業としては当然のリスクヘッジと言えるでしょう。

日本の働き方の変化・採用の変化

しかし「新卒の3割が3年以内に離職する」という今の時代、企業は育成コストをかけ続けることができるのでしょうか。長期的に内需・労働力が減っていく中で、マーケットも労働力も経済力の現状維持をするために働き方の多様化を受け入れざるをえないでしょう。

日本の就職活動のシーンといえば、かの有名なリクルートスーツ。これは社会人になるための一種のイニシエーションのようになっています。ただ、この辺も少しずつ変化があるようです。昨今は多くの企業が面接やインターンシップで「服装自由」を採り入れています。自由と言われてもなかなか難しいというのが学生の本音のようですが。

今後は日本の就職活動も少しずつ変わっていくのでしょう。リクルートスーツ姿が、歴史の遺産のように感じられる日がくるかもしれませんね。

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