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敬語練習の引き出しを増やそう!
「敬語」に対する苦手意識…
先日、自分が担当したクラスで敬語を扱ったのですが、「敬語」と言った途端に、「あ〜〜〜」とガッカリしてしまった学生が…。この日に限らず、他のクラスでもちらほらこのような反応を見かけたことがあります。敬語は、日本で生活していたら、避けては通れないものですが、「覚えるものが多すぎる!」、「仕組みも難しい!」、そもそも「そんな仕組み、自分の言語にない!」という気持ちがわくのは理解できます。皆さんはそんな時、どうやってモチベーションを上げていますか…?
どんな状況で「敬語」は必要?
みなさんは、自分の日常生活の中でどのぐらい敬語に触れていると思いますか?働いている人ならもちろん「ビジネス」だったり、お店などの接客を受ける際の「サービス」が挙げられると思います。私が敬語を教える前に、まずどんな状況で敬語を聞くのか学生にヒアリングをしているのですが、意外と「初対面の人と会った時には敬語を使う!」ことを知らない人が多いと感じました。敬語の勉強を始める前、ほとんどの人は「ビジネス場面や年上の人と話す時に使う」ことは知っていますが、なかなかこの答えに辿り着く人はわずかなような気がします。
敬語を使う際、年齢だけを考えて敬語が必要かどうか考えるのは、非常に危険です。ネイティブが敬語を使う時のことを考えてみると、年上の人には敬語を使うのはもちろんですが、同年代・同じ年齢の人にだって敬語を使うときもあります。実際のところ、私たちは「相手との距離」によって、使う相手を選んでいるのではないでしょうか。
敬語へのモチベーションのあげ方
他の国にも、敬語のように丁寧さを表す話し方や言葉は存在すると思いますが、日本の敬語ほどシステムがしっかり作られているものはないと思います。「自分の国では敬語なんてないし、カジュアルが好きだから敬語なんて必要ない!」と感じる学生も少なくはないので、無理に勉強させる必要もないのかもしれません。しかし、現実に日本に住んでいれば、嫌でも敬語に触れなければいけない状況はあります。自分は使わないとしても、相手から話しかけられるのは敬語なので、敬語を完全に切り離して生活するのは難しいのではないでしょうか。
まずは、「言えなくてもいいけど、理解できないと不便だと感じる」こと気づくことが大切かもしれません。これは、なるべくクラスの外で日本語を聞いたり使ったりする環境を作り出し、積極的に日本語に触れることが必要です。
また、「敬語が使えれば相手と対等な関係を示せる」ことも実感するのも、モチベーションアップのためにも重要だと思います。「優しさなのはわかるけど、わざわざ簡単な表現を使われると、区別・差別されているように感じる」という声を時々聞きます…。もちろん、使う人に悪意があるわけではないですが、同じ国で生活する上で、話し方を急に変えられると、正直気分はいいものではないです。長年住んでいる人なら、尚更それを強く実感するでしょう。ですが、もしビジネス場面で敬語が使えたら、相手との社会的な対等な関係を示すことができ、見られ方も変わるかもしれません。
敬語練習のアイデア
敬語だけに言えることではないですが、どんな言語能力も一朝一夕で身につくものではないので、実生活で使ったり、クラスの中で敬語を使う環境を作り出して何度も練習を繰り返すことが大切です。繰り返しているうちに、モチベーションが下がることもあるかもしれませんが、できるだけクラスの中で「理解できた!相手に通じた!」と成功体験をさせれば、敬語が面白い!と感じる人は多いと思います。じゃあどんな練習で、すればいいのか!!私が実際にやってみたアイデアをご紹介します。
初めて会った人との世間話でロールプレー
まずは、出身や住んでいるところなど基本的な自己紹介の場面から始まり、普段の生活やどんな仕事をしているかなど、会話を深めると、自然と敬語を使う練習ができると思います。例えば、「ご出身は?」ではなく、「どちらからいらっしゃったんですか?」に変えてみたり、「お仕事は?」を「どんなお仕事をなさっているんですか?」で聞いてみるなど、普段だったら簡単に済ませてしまうような会話も、敬語を使うことでもっとバリエーションが増えるのではないでしょうか。
この場面だったら、ビジネスに限らず、お店で隣になった人との会話などでもあり得るので、イメージが湧きやすいかと思います。
他己紹介する
一般的には自己紹介で多く使われますが、ビジネスであれば、他の人を紹介するような場面も考えられます。イメージできそうな場面だと、自分の取引先の人同士を紹介するような場面ではどうでしょう。どんな仕事をしていて、クラスの中ではそこまで具体的な場面を設定しなくても、クラスメートをみんなに紹介することで、さらに練習できるかと思います。
敬語の練習は、最初単調でつまらなくなりがちですが、使えるようになれば、やっぱり生活がしやすくなるはずです。また、「会話できるようになる!」ことはもちろんですが、「自分の日本語に対する自信」にも繋がるのではないでしょうか。そんな期待に応えるためにも、教師として練習の引き出しを増やしておきたいものです。
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