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レッスン準備のコツ:語彙編
レッスン準備って導入の場面を考えたり、例文考えたり、練習考えたり…とまあ盛りだくさん。私も毎日試行錯誤の連続です。
実は私、日本語教師を始めて5年経とうとしているのですが、「準備大変だな…」「休日返上かぁ…」と思いながらレッスン準備をすることがちょいちょいあります。気持ちがノッてきて楽しいと思うこともありますが、「もう少し手っ取り早い準備の方法ってないのかなぁ」と、ときどき考えてしまいます。
そんな中、最近は中上級を担当させていただく機会が多くなり、その準備に充てる時間が多くなってきました。文法はもちろんですが語彙も準備をしっかり行っていないと、不意の質問に答えられず焦ってしまったり、感覚だけでその場凌ぎの説明をしてしまい後で困ったりすることがあります。
でも、最近は学生に「なるほど〜」と言われることが多くなってきたような。これが正しい方法なのかどうかわかりませんが、今回は僭越ながら、5年日本語教師をして私が気づいた「こうすると結構いいかも〜」というレッスン準備の方法をご紹介しようと思います!
Tips1 なんだかんだいって辞書!
もうこれは鉄板で、私もこの過程は欠かさずしています。
ただ、私は使う辞書にこだわっています。日本人が使う辞書といえば、広辞苑だと思いますが、私が使っている辞書は「明鏡国語辞典 第二版(大修館書店)」です。私がこの辞書を使っている理由は、「私の持っている電子辞書に入っていたから」という理由からだったのですが…。「おい、たまたまか!」と突っ込まれそうですが、「明鏡国語辞典」は、日本語教育に資することを意識して作られており、基本方針として「語の用いられ方や文型を踏まえて、それぞれの語の意味を記述する」としています。例文なども日本語教育を視野に入れて書かれているのではと思えるものがあるので、実際に教えるときにも役に立ちます。
英語圏の方が学生なら英和辞典・和英辞典を使って訳を調べておくというのもいい方法だと思いますが、日本語母語話者も使うような辞書はあくまで私たち日本語教師のリサーチ用です。初級・中級学習者におすすめするなら、紙の辞書は『基礎日本語学習辞典』、オンライン辞書は「Japanese Learner’s Dictionary(日本語学習者辞書)」「Jisho.org」「takonoto」あたりが日本語学習者用の辞書として使い勝手がいいのではないでしょうか。実際、学習者もよく使っているようです。ときどき変な訳もありますが、良し悪しもふくめて私たちが見ても参考になることが多いです。
Tips2 その語彙を使った例文を考える!
語彙の意味をおさえたら、次にどんな場面でその語彙を使うのか分析するために例文を書き出していきます。汎用性の高い語彙は自分で例文を考えるのが一番いいですね(でも、偏らないように注意が必要)。インターネットで検索をかけても出てきますが、教える相手のレベル・年齢や仕事や趣味などを思い浮かべながらレッスンで使うのにふさわしいかどうか考えられるといいと思います。
また、上級レベルになると自分自身が日常生活で使ったことない(なんなら聞いたことない)語彙が時々出てくることも…。そんな時、私は「X(旧Twitter)」を使って検索をかけています。もちろん正確でないものもあるので、そこは見極めなければいけませんが、どんな場面でどのように使っているのか、ある程度傾向が見えてくるのでおすすめです。その傾向をふまえた上で考えると、イメージがふくらんで例文が作りやすくなると思います。
Tips3 ネイティブが聞いたらどんな印象を受けるのか考える!
日本語の語彙って意味だけ知っていても、使用場面を間違えてしまうと相手に失礼だったり、意図しないニュアンスで伝わってしまったりして、恥ずかしい思いをしてしまうことがありますよね。
学習者は日常生活の中で実際に日本語の誤りを直してもらえる機会ってなかなかありません。こんな時こそ日本語講師の出番です。ネイティブならではの視点で丁寧に例文などを見せながら使うシーンや使い方なを見せてあげると、「学校に来てよかった!」「先生がいてよかった!!」と感じてもらえると思います。
ということで最後は、その語彙の持つニュアンスについて考えることです。私が気をつけていることトップ3は、、、
- フォーマルなのか、カジュアルなのか
- 書き言葉か話し言葉か
- 失礼にあたるかどうか
これらは文法導入の際考えるポイントと同じだと思いますが、日本語は類義語が他の言語より多いように思います。私はこの3つのポイントを気をつけながら、できるだけ客観的にフラットな視点で例文や場面を考えるようにしています。
さいごに
今回は日本語教師歴5年の私が実践しているレッスン準備(語彙編)について紹介しました。いかがだったでしょうか。語彙や文法分析はまあまあ骨が折れる作業ですが、日本語教師として避けては通れない道です。学習レベルが上がれば上がるほど抽象語彙や日常で使わない語彙などが増えてきて大変ですが、少しでも皆さんのレッスン準備の参考になれば幸いです!
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