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「〜てから」と「〜あとで」の使い分け
ドリカムの「卒業してから〜もう三度目の春〜♪」卒業してから3年どころか、うん十年たっていますが、Anyway…
<同窓会での会話>
A:大学卒業してから春ちゃんに会った?
B:ううん、全然。彼女、卒業したあと、すぐアメリカに留学しちゃったからね。
本日のお題は「〜てから」と「〜たあとで」です。
この2つ、英語だとafter、どちらも時間(とき)を重視するのは同じなのですが、日本人は上の例文のように使い分けていますよね。でも、学習者の発話で「あれ?なんか変・・・」と感じたり、この場合は置き換えられないよね、なんてケースがあります。たとえば、「お酒はハタチになってから」は「たあとで」はおかしいですね。
「〜てから」と「〜たあとで」は多くの場合、置き換え可能
「AてからB」と「AたあとでB」は多くの場合、置き換えが可能です。ただし、置き換え可能な場合でもニュアンスは少し異なるようです。
- 玉ねぎを刻んでから炒めます・・・ 刻む → 炒めるの流れはシームレス
- 玉ねぎを刻んだ後で炒めます・・・ 刻む →(他の動作)→炒める:2つの動作/行為は必ずしも連続的でなくてよい
たとえば、「小説を読んだ後で、映画を見た」もそうですね。小説を読んで、すぐに映画を見たとは限りません。数日後かもしれませんし、数年後かもしれません。このように「AたあとでB」には、「AてからB」のような一連の流れがあるわけではありません。「AたあとでB」は、あくまでAとBの動作の前後関係を客観的に言うときに使います。
ですから、次の例文のような無意志動詞や自分の意志ではコントロールできない状況などとも馴染みがいいのかもしれません。
- 母は何事でも決まったあとで、文句を言うんです。
- 地震が起こったあと、停電になった。
- 牛乳を飲んだあとで、お腹が痛くなった。
「〜てから」と「〜たあとで」、置き換えると不自然な場合
質問です。次の例文、どちらが自然だと思いますか。
A <お母さんが子どもに>
- 手を洗ってから、食べなさい。
- 手を洗ったあとで、食べなさい。
B <飲み会の席で>
- 全員そろってから、乾杯しましょうね。
- 全員そろったあとで、乾杯しましょうね。
C <フードコートで>
- 食べてから、食器をカウンターに返すことになっている。
- 食べたあと、食器を自分でカウンターに返すことになっている。
Aの場合、「てから」のほうが自然です。食べるなら、まず「手を洗う」のが条件よ、というニュアンスがあります。Bも同じです。乾杯する前に「全員そろう」ことが必要という気持ちが含まれているように思います。Cは「食器をカウンターに返す」ことの方がより言いたいことのように感じますね。いかがでしょうか。
AてからB
「AてからB」は、時間的な状況や条件を前の動詞で説明していることが多いです。つまり、「Bの事柄が起こるためには、まず先にAの事柄が起こることが必要である」という場合に使われます。
- お湯が沸いてから、野菜を入れます。
- 日本に来てから、空手を始めました。
- ペットが死んでから、母はずっと元気がない。
- 準備運動をしてから、泳ぎましょう。
- よく読んでから、サインをしてください。
- アルコール消毒をしてから、店内にお入りください。
- 甘いものを食べなくなってから、肌の調子がいい。
これらは「Aた後でB」に置き換えるとちょっと不自然です。「AてからB」は、時間的な状況や条件を前の動詞で説明していることが多く、「Aが先!Aが条件!Aがきっかけ!」でAに重きを置いています。「お湯が沸いてから」「日本に来てから」のように「いつ行うのか」がキーになっています。
違和感を感じた時は、前件後件のどちらに重きを置いているかをまず考えるといいかもしれませんね。
AたあとでB
「Aたあと(で)B」も、Aが終了してからBが始まるという前後関係を表します。
- アメリカの大学を卒業したあと、日本の大学院に留学した。
- 本を読んだあとで、タイトルの意味がわかった。
- 電車を降りたあとで、スマホがないことに気がついた。
- ブログをアップしたあとで、誤字を見つけた。
「Aたあと(で)B」の場合、「Aは絶対にBの前に終わった動作」で、「牛乳を飲んだあと」「夕飯を食べた」という時点を明確に示しています。「たあと」ではその時点で「何を行ったのか」がキーのようです。
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