「~ませんか」と「~ましょうか」 は同じ意味!?

「~ませんか」と「~ましょうか」は同じ意味!?

人を誘うときの「ませんか」と「ましょうか」って、私たちはどう使い分けているのでしょうか。初級の最初のころに出てくる表現で一見簡単そうなのですが、対人関係に配慮した表現なので、実際使うとなるとちょっと注意が必要です。初級でどう教えたらいいか、いっしょに検証してみましょう。

例1 A:お1人ですか?いっしょに飲みましょうか。
   B:いいですよ。

例2 A:お1人ですか?いっしょに飲みませんか。
   B:いいですよ。

例1は文法的に絶対ダメというわけではありませんが、なんとも言えない唐突感。そういうキャラの人ならOKかもしれませんが・・・。

例3 A:明日の待ち合わせ、どこで会いませんか。
   B:じゃあ、映画館の前で。

例4 A:明日の待ち合わせ、どこで会いましょうか。
   B:じゃあ、映画館の前で。

例3は完全に非文です。例4が正解です。では、次の例です。

例5 A:あ、席が空きましたよ。お座りになりましょうか。
例6 A:あ、席が空きましたよ。お座りになりませんか。

例5は???、例6が自然です。

 

「ませんか」・「ましょうか」のポイント整理

では、ここで誘いの「ませんか」と「ましょうか」の教え方のポイントを整理してみましょう。

聞き手の答えが「Yes」か「No」か分からないときは?

例1のように「〜ましょうか」で唐突に誘うと、え、いきなり!一方的で強引〜とびっくりされてしまいます。

聞き手の答えが「Yes」か「No」か分からない場合、聞き手がその行動をするかどうかまだ分からない場合は「〜ませんか」を使います。「〜ませんか」には話し手の聞き手に対する誘いへの配慮があります。

一方の「ましょうか」は、聞き手を含む“私たち”の意志を確認するときに使います。ですから、開口一番で「~ましょうか」を使うと、対人関係を無視していて一方的で強引〜配慮に欠けるという印象を相手に与えてしまうのです。ということで、「~ましょうか」を使って誘う場合は、必ず何らかの前提が必要です。

ただし、3時にお茶を飲むのが既定路線なら、以下のように「~ましょうか」が使えます。

例7 A:あ、3時かあ。お茶飲みましょうか。
   B:そうですね。

疑問詞と一緒に使えるのは・・・

聞き手と一緒にすることについて相談するときに、聞き手の意見を聞く表現が「疑問詞 + ~ましょうか」です。たとえば、一緒に映画を見に行くことが決まっている上で、

× いつ行きませんか。   〇 いつ行きましょうか。
× なにを見ませんか。   〇 なにを見ましょうか。
× どこにしませんか。   〇 どこにしましょうか。

となります。疑問詞と一緒に使えるのは例4のように「~ましょうか」だけです。

尊敬語と一緒に使えるのは・・・

動詞が尊敬語である点がポイントです。尊敬語の動作主は相手だけで、話し手は含まれません。よって、尊敬語と「~ましょうか」は一緒に使えません。

× 明日、私のうちにいらっしゃいましょうか。
〇 明日、私のうちにいらっしゃいませんか。

 

 

初級のテキストではどのように扱っている?

初級のテキストではどのように扱っているかいくつか見てみましょう。テキストによって以下のような違いがあります。何をどこまでどのタイミングでどう教えているか、チェックしてみると面白いですよ。

『初級日本語 げんき』

3課で「~ませんか」、5課で「~ましょうか」が提出されているのですが、例文も練習問題も例7のような置き換え可能な文脈で紹介されているので、違いについて質問されるかもしれませんね。質問に備えておくといいでしょう。

『みんなの日本語 初級』

6課で「~ませんか」を扱います。「~ませんか」はありますが「~ましょうか」は文型として扱っていません。よって、あえて違いを説明することはありません。誘いを受け入れる返事の「〜ましょう」もここで出てきます。申し出の「〜ましょうか」は14課で出てきます。(※ ただし、会話練習のなかにさらっと「~ましょうか」が使われています・・・)

『できる日本語』

誘いの「〜ませんか」は初級のL6で提出されています。「〜ませんか」のリアクションで「そうしましょう」がでてきますが、ここはフレーズでまるっと覚える感じになっています。ちなみに、申し出の「~ましょうか」は初級のL7ででてきます。初中級のL6で「疑問詞 + ~ましょうか」の限定された形で提出されています。

『JAPANESE FOR BUSY PEOPLE』

「~ませんか」と「~ましょうか」が Unit7で同時に提出されています。ただ、「~ましょうか」は「疑問詞 + ~ましょうか」に限定されています。

 

これまで色々なテキストで「~ませんか」と「~ましょうか」を導入してきましたが、個人的にはJBPが好みだったりします(古さは気になるけれど…)。課を分けて提出しているテキストが多い中、JBPは同時に提出しています。分けて提出することで、かえって混乱を招いてしまうことも考えられるので、使う場面を会話の流れの中でいっぺんに提示するのもアリかなと思っています。皆さんもこれを機に、コレだ!と思う方法を模索してみてください。

 

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