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終助詞「そうだね」vs「そうだよ」vs「そうだよね」
「そうですね」「そうですよ」「そうですよね」先日も学習者から使い分けについて聞かれました。おそらく日本語を教えている先生方もたびたび質問される項目の一つではないでしょうか。
先日、クラスで「最近、むし暑いですね」と学習者に言ったところ、「そうですよ」と言われて、ズッコケそうになりました。これが結構よくあるんです。
終助詞は、文末に現れ、話し手の気持ちや態度を表す助詞です。「ね」「よ」「よね」を使うことで、話し手の感情表現が乗っかり、印象をやわらげる効果があります。この学生も「よ」でソフトな感じになると思ったのでしょうね。
自然な日本語を話すためには終助詞を使いこなせるようになる必要があります。特に、普通体でのカジュアルな会話の場合、終助詞がないとなんとなく不自然ですわりが良くない感じがするので欠かせません。今日は、普通体でのカジュアルな会話を導入した際に登場する「よ、ね、よね」の3つを中心に見ていきます。
終助詞「ね」
同意を求めるときの「ね」
sympathyの「ね」。話し手と聞き手が話の内容を二人とも知っている時に使用します。言い換えると、聞き手が知らないことには使えません。ちなみに、英語だと “right?”, “isn’t it?” といった感じでしょうか。
<例>
- 「今日は暑いね。」「そうだね。」
- 「このお肉、柔らかくて美味しいね。」「うん、美味しいね。」
- 「映画、面白かったね」
- 「じゃあ、明日ね!」
*この場合、答えとして同意を表す時も「ね」を使います。
*「ね」には聞き手を取り込もうという気持ちが感じられます。「ね」は話し手と聞き手が話の内容を二人とも知っている場合に使うので、相手との距離を縮め、親近感を表すことができます。ただ、場合によっては押し付けがましくなるので注意が必要です。
確認を求めるときの「ね」
confirmationの「ね」
<例>
- A「ご予約の渡辺様ですね。」B「はい、渡辺です」
- A「打ち合わせは10時からですね。」B「はい、そうです」
- 「明日が締め切りですね」
- 「ここ、間違っていますね」
*「ね」をつけることで、やわらかい印象になります。
* 答える人(B)は「ね」をつけません。
* 確認を求めるときの「ね」は丁寧体がしっくりくるような気がしています。一般的に、カジュアルな会話の場合は、「打ち合わせは10時からだよね」で「よね」を使います。(あくまでも私の語感です)
依頼・指示・教えるときの「ね」
making suggestions and requests
<例>
- うちに着いたら、電話してね。
- 今度、いっしょに行こうね。
- ちゃんと宿題しなさいね。
- 急いでね。
*「ね」をつけることで、やわらかい印象になります。相手に配慮する必要がないときは「ね」をつけません。(ex. 急いで。急いでください。)
終助詞「よ」
相手が知らない情報、気がついていないことを伝える時の「よ」
informationの「よ」。英語だと、(You might not know, but….)といったニュアンスでしょうか。
<例>
- この本、おもしろいよ。
- 今、セールやってるよ。
- 明日、テストだってよ。
- ここ、間違っていますよ。
- あの、落としましたよ。
*この「よ」には、聞き手が知らないことを話し手が「教えてあげている」というニュアンスがあります。この「教えてあげてる感」がときに高圧的な印象を与えます。目上の人に対して「よ」を使うときは特に注意が必要です!
命令・依頼の「よ」、非難するときの「よ」
<例>
- ちゃんとやってよ。
- 危ないよ。
- そういう嘘はよくないよ。
- 運転、気をつけなよ。
- 約束、忘れないでよ。
- 早く行かないと間に合わないよ。
- 遅刻したAさんに B:「遅いよ」C:「そうだよ」
- 「さ、出るよ」「ちょっと待ってよ。ほんとせっかちなんだから」
- 一緒に行こうよ。
- 「おい、ちょっと待てよ」(キムタクを思い出したのは、私だけでしょうか・・・男性的)
*話し手の主張や言い聞かせているような、一方的な印象があります。話し手自身の判断や意見を強調し、聞き手に何らかの変化や行動を促そうとしています。実際に発話する際も語気は強めです。
終助詞「よね」
話し手が意見の主張をするときの「よ」+同意を求めるときの「ね」(information+confirmation)
<例>
- ミーティングって3時からだったよね。
- あれ、ここにお財布、置いてたよね。
- 漢字って難しいよね。
- この部屋って禁煙だよね。
- 明日の飲み会、来るよね。
*同意・確認を求めるときに使う終助詞「よね」は「ね」と置き換え可能な場合も多いですが、話し手の記憶が現実と異なるような状況では「よね」の方が自然です。
*「明日の飲み会、来るよね。」は言い方によっては「Noとは言わせない」とプレッシャーを与えるような印象になることもあります。
「そうだね」「そうだよ」「そうだよね」のまとめ
学習者が英語話者の場合は英語でニュアンスの違いを説明するのもありです。
ざくっと、これはsympathyの「ね」、informativeな「よ」みたいな感じの説明でもはじめは良いかもしれません。
「そうだね」「そうだよ」「そうだよね」を英語で言うと、以下のようになるかなと。
- A「今日は暑いね」 B「そうだね」 ・・・I agree./I know./I think so, too.
- A「これ、田中さんが作ったの?」 B「そうだよ」 ・・・(Didn’t you know? )Yeah, that’s right. /Exactly.
- A「あんな言い方ってないよね」 B「そうだよね」・・・Totally./Indeed./You’re right./I feel the same.
あれ?言い方の問題か!? そうなんです。日本語の場合も英語同様、トーンが大事。「そうだよね」もトーンによっては同意にもなりますし、プレッシャーをかけて相手に「あ、はい、そうです」と言わせる感じにもなります。アクセントも含めて使い方の例を会話文で見せていくと良いでしょう。
もうちょっと・・・終助詞にみる男女差
終助詞の使い方には男女差があります。男性学習者のパートナーが日本人という場合、その学習者の言葉遣いが女性っぽくなることがあります。その要因の一つが終助詞です。
男女OK・・・「打ち合わせは10時からだね/10時からだよ/10時からだよね」
女性的・・・ 「打ち合わせは10時からね(男女OK)/10時からよ/10時からよね」
上の例文「打ち合わせは10時からね」は男女OKですが、「あら〜、立派なお宅ね〜」「ステキね」など「名詞・な形容詞+ね」は、ときに女性的な感じがします。終助詞を使いこなせると、自然でこなれた印象にありますが、このニュアンスを習得するのはなかなか難しいですね。
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