日本語教師の先輩体験談~アメリカで日本語を教える~

日本語教師の先輩体験談~アメリカで日本語を教える~

今日は、アメリカでの日本語教師経験がある若手日本語教師Aさんにお話を伺いました。アメリカで日本語教師をしていた方はあまりいないので、どんな経緯でアメリカで教えることになったのか興味をそそられます!

渡米したきっかけ

もともと高校の英語教員をしていたこともあり、教えることと英語そのものに興味がありました。また、学生時代少しアメリカに留学したのですが、それが不完全燃焼だったので「もう一度行きたい」とずっと考えていました。そんな中たまたま「アメリカの大学で勉強しながら日本語を教えよう!」というプログラムを見つけたので、迷わず応募しました。

日本語教師としてアメリカへ行く準備

ビザは交流訪問者ビザ(J-1)で、参加したプログラムの担当者と派遣先の大学がサポートしてくれました。それ以外の準備は、退職手続き・各保険の加入手続き・プログラムのオリエンテーション参加などで、全体的にペーパーワークが多かった印象です。

アメリカでの日本語レッスン

派遣先の大学は歴史あるHBCUの1つで、あまり大きいところではありませんでした。日本語教師は私のみで1〜4年を担当(1コマ50分×週15コマ)させてもらいました。

他の多くのアメリカの大学のように、基本的には宿題で予習をしてきてもらい、授業では実際に使う練習がメインでした。授業の概要は以下にまとめます。

 ・Fact / Act:授業の前半40-45分はActの時間で、ドリルや会話などの口頭練習(英語厳禁)。最後の5-10分はFactの時間で、文法説明や質問受け(英語OK)。

・Lab: 週に1回。文字、リスニング、文化知識を扱う。

・テスト:学期ごとに、written / oral / listening の3種類。成績に大きく響く。

 授業とは別に・・・

・自習:大学のPCではいつでもロゼッタストーンという言語学習ソフトが使えるようになっており、それを使って毎日自習したり研究室に質問に来たりする熱心な学生もいました。

・Japanese Club:週1回行い、参加してくれた学生と日本の文化体験をしていました。習字・折り紙・日本料理・浴衣・映画鑑賞・日本のゲーム・豆まきなどの活動をしました。

 授業は全てパワーポイントだったのですが、各教室にスクリーンやPCがありましたし、仕事用の個人PCや研究室も用意されていたので何も不便はなく、むしろとてもやりやすかったです。大学で働く場合は、ほとんどこのような環境になると思います。

アメリカの日本語教師の待遇

TAだったこともあり、給料は月500ドルとかなり安かったです。しかし、家(他のTAとシェア)・学食・医療保険など生活に必要なものは全て提供されていたので、お給料まるまる自分の娯楽等に使えました。

また大学では「日本語教師」として授業を行うだけではなく、「学生」という立場でもあったので授業も各学期に3つずつ取っていたのですが、その授業料も全て無料でした。(これは大学の待遇というより、参加したプログラムのシステムです。)

アメリカで日本語を教えて良かったこと

同僚の先生方がとても親切で何かと気にかけてくれていましたし、TA担当の学部秘書やスーパーバイザーもいて困ったときはいつでも助けてくれました。また、同世代の他言語のTAがいたことで、切磋琢磨し合いながら仕事することができ、とても充実していました。

そして何より素敵な学生ばかりで、毎日エネルギーをもらいながら楽しく授業が出来ました。

アメリカで日本語を教えて大変だったこと

悪かったことではないですが、大変だったことと言えば教師と学生の二足草鞋です。教師としての授業づくりも学生としての勉強も手抜きはできないので、課題が多い日・プレゼンテーション前・テスト期間などの睡眠時間は少なかったと思います。

でも今思えば、その「やるしかない環境」に身を置けたからこそ、多くを学び、いろいろなことに積極的取り組めたのだと思います。

アメリカで日本語を教えることを検討している方へ

様々なバックグラウンドを持つ方々がいるアメリカで日本語を教えるということは自分にとっても学習者にとっても貴重な経験だと思います!

州や地域にもよりますが、アメリカ国内では日本文化はそこまで浸透していません。アジア圏の人があまりいない地域もあり(私がそうでした)、そういった所では「日本人」としてはもちろん「アジア人」としての自意識も芽生え、新たな自分を発見し、アジアや日本を見つめ直すいい機会にもなります。

養成講座などで紹介している求人はアジア圏が多く、インターネットで探しても条件に合うところが少ないので、先にも述べたようにアメリカでの日本語教師の仕事を探すのは大変で、なかなか一筋縄ではいきません。

それは「日本語教師の資格がある」ことだけではなく、英語を話せることはもちろん、「米国在住者」「博士号取得者 」「教員免許所持者」などの条件を必須としている学校が多いからです。

アメリカで日本語教師をやってみたい方は、とにかく求人が出ている学校にどんどん連絡してみることをお勧めします。条件に合わなくても「ちょっと話してみよう」ということもありますし、聞いた話ですが、忘れた頃に返事が来ることも結構あるそうです。

また、

 ①大学や大学院で自分の勉学をしながらTAを経験する。

 ②インターンやボランティア、プログラムに参加してコネクションを作る

というところから始めるのも1つの手だと思います。

JEGSのサイト(https://www.jegsi.com/)にも求人が出ているので参考にしてみてください。

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