日本語が「話せないことはない」と「話せることは話せる」は同じか? はじめに N3文型を教える準備をしていたときのこと。 「~ないことはない」は【ない】✖【ない】だから「ある」、つまり肯定。だから「日本語が話せないことはない」とはつまり「話せる」って説明すればいいか。と思ったあとすぐ、じゃあ「話せることは話せる」とは何が違うんだ?!というおそろしい疑問が自分の中に沸いてきました。 例え...
「~んだから」の文型は、どう使う? はじめに cotoでは不定期ですが、講師の皆様向けに「文型トレーニング」と言って、お題として提出された「文型」や「語彙」「表現」を使い、語彙コントロールなしの、思いついた文をとにかく書き出す、という練習を行っています。 今回、「~んだから」という文型を取り上げたところ、2週間ほどのうちに60個近くの文が集まりました。 そして、集まった例文を横断的に見ることで、文...
レッスンのコツいろいろ みなさんにとって、学生からもらうフィードバックの中で何が一番うれしいですか。「わかりやすい」「ためになる」「たのしい」…等々、ほめられるならなんだってうれしいですが、「もう少しこうしたい」「こういうのはいやだった」等、少々ネガティブなフィードバックでさえ、自分の授業を客観的にみる姿勢を忘れないために必要で、フィードバックをもらえること自体ありがたいことですよね。 私がもらっ...
使いこなすとなると、結構難しい「可能動詞」 「可能動詞はいつ使うんですか」ちょっと驚くこの質問、しかしこの質問を受けたことは日本語教師人生の中で一度や二度ではありません。活用形の名前にも「可能 potential」とついているし、日本語教師としては「可能形」ほど、意味や機能について説明不要な活用形はないと思いきや、国や言語の違う学生にとっては実は使いこなすのは、けっこう難しいのではないかと思ってい...
「ば形+てください」の文型から見えてくる、条件節文の制限 日本語の条件節には、「と」「ば」「たら」「なら」があり、学生はもちろん、先生方も、違いの説明に戸惑うことも多いかと思います。 「ば」のほうが意志が強い(絶対条件)など、主観的なニュアンスなどで説明するより、接続のルールなどテクニカルな切り口で説明したほうが絶対に簡単・簡潔だと思うので、まずはそのルールを見つけるべく、今回は「~ば、てください...
「おそい」の誤用の理由を探る 初級語彙の中でも誤用が多い 「おそい」は初級語彙で、かつ日常語彙でもあるため、一見簡単そうに思えますが、実は学生の誤用が多い語彙でもあります。初級の学習者のみならず、中級以上の学習者でも、正しい使い方ができない学生が多くいるのではないでしょうか。 どうして誤用が多いのか。その大きな理由の一つに「訳語(英語の場合、’late’, ‘slow’と、二つの異なる意味の訳が出...
予定の「ようと思っている」と「つもりだ」の違いをどう説明するか 学生からのよくある質問 初級教科書「げんき」では、10課で「つもりだ」、14課で「ようと思っている」、「みんなの日本語」では31課で2つの文型を同時に学習します。 2つの文法を習った時点で学生からよくある質問が、「(どちらも予定ですが)違いは何ですか」です。 ではなぜ学生からこのような質問が出るのでしょうか。原因は3つほどあるように思...
終助詞「よ」が気になる「よ」! 「よ」「よ」「よ」って何回言うの~ 今日は、私が最近気になっている表現について、ちょっとお話ししたいと思います。それは終助詞の「よ」について。もともとはYoutube界隈の、Youtuber用語だと思うのですが、「新しい××食べるよ」「新しくできた××、行くよ」「いま注目の××するよ」etc…ビデオの中には「よ」「よ」「よ」のオンパレード。 例えば簡単・...
「工夫」の訳語、ついに現る?! 「工夫」って…なに? 日本語と英語、1対1の対訳がつけにくい語彙はたくさんあるかと思いますが、その最たる例としてコトハジメでもしばしばとり挙げているのが「工夫」という言葉です。(⇒コチラ) たしかに、英語ネイティブの上級学習者に聞いても「そのものズバリ!という英訳はなさそうだ」という反応が多く、あえていうなら、ある人は「”well-prepared...