第1回:どんな子どもがKidsレッスンを必要としているの?

第1回:どんな子どもがKidsレッスンを必要としているの?

日本語キッズレッスンを必要としている子ってどんな子?

皆さんは日本語のキッズレッスンと聞いて、どんな子どもに対してレッスンをすることを思い浮かべますか。すぐに思い浮かぶのは日本人以外の子どもかもしれませんね。でも単純にキッズ日本語レッスンは外国籍のキッズだけが対象なのでしょうか。

今、日本では全小中学生の3%が外国にルーツを持っていると言われています。日本国内だけでもこれだけの人数がいるのですから、世界中ではもっとたくさんの子どもたちが日本語を必要としているはずです。

さらに、 「日本語を必要としている子」と一口に言ってもキッズのバックグラウンドは実にさまざま。”両親が外国人のお子さん”と十把ひとからげにできません。では早速ここで、いくつか例を挙げてみましょう。

継承語として日本語を学ぶ子どもたち

まずは「継承語としての日本語」―これは日系人の家族の方が必要としている日本語です。彼らは日常的に街でも学校でも日本語を使う機会はほぼなく、使用は家庭内だけであることが多く、一族のルーツである日本語を子どもにも引き継いでいってほしい、日本人としてのアイデンティティを持っていてほしい、そんな周囲の大人の願いが込められたケースです。

ミックスのお子さんと家族をつなぐ日本語

次は「日本人とのミックスのお子さん」です。ミックスのお子さんの場合、両親どちらかの家族は日本語を話しますから、身内(祖父母や親戚など)とのコミュニケーションに必要な言語として日本語が必要になるケースがありますね。日本国外に住んでいると、どうしても現地の言葉が優位になりますから、こちらも継承語としての日本語教育と言えるかもしれませんね。

日本にやってきた子どもたちの日本語学習

また、海外駐在員のように「親御さんのお仕事の都合で日本に来たお子さん」―この場合、インターナショナルスクールのように日常的には英語を使うお子さんと、日本人の通う学校に通うお子さんとで日本語の使用頻度は全く違います。どちらも日本に来て初めて日本語に触れるケースも多くありますね。特に両親とも外国人の場合、学校の授業にプラスして、せっかく日本に滞在しているのだからとこの機会に子どもにネイティブの日本語を学習する場を…と希望されることもありそうです。出稼ぎ等で日本に来ている方同士がお子さんを設け、日本で子育てをするケースもあるでしょう。

アジアから、世界から。日本語を学びたい子どもたち

その他には、近隣アジア諸国出身の方で、親御さんが日本語の学習経験があったり、日本や日本文化への憧れがあったり、お子さんが大きくなってからの日本への留学や進学目的で、あるいは小さい頃からの「英才教育」として日本語を習わせたい、と希望するケースもあります。

いやあ、ちょっと挙げただけでもさまざまなニーズがありますね。

日本語のキッズレッスンに求められること

ではいま例に出てきたキッズたちは、実際どこでどうやって日本語を学習するのでしょう。

まず大事なのは「うちの子に合っているか」

すべての親御さんが我が子にどんなお稽古をさせるにも、まず望むのは「自分たちのニーズを満たしているか」です。ただ、いま見てきたように日本語を求める動機も理由も多岐にわたっていますよね。継承語として学びたい子、親族とのコミュニケーションのために必要な子、学校生活のサポートが必要な子……。

それでは、それらに応えられるだけのキッズの日本語レッスンはラインナップされているのでしょうか。残念ながら、小学校などの学習支援制度では、さまざまな状況のキッズたちをレベル別・年齢別に細かくクラス分けして進めるのに限界があります。教材も不十分、人手も足りません。

そして次に求めるのは「質の高さ」

次に親御さんが求めるのはなんでしょうか。それは「質の高いレッスン」です。これはお子さんに限らず、大人が受けるレッスンについても同じですね。ある時間、ある金額を払うのですから、より高いスキルやノウハウを持ったプロフェッショナルから楽しくかつ効果的なレッスンを受けたいと願うのは当然の願いですよね。

ではすべての親御さんの期待に応えるだけの日本語レッスンがあるのでしょうか。冒頭で出てきたようにキッズレッスンを必要としているキッズはとにかく幅広く、バックグラウンドも多様化してきています。

大人の日本語レッスンをそのままキッズに提供することも考えられますが、こちらも大人と子どもでは必要とする日本語—語彙・表現など—が全く日本語を使用するシーンが違いますからこちらも無理があります。

誰一人取り残さない環境づくり

近年よく言われ急ぎで必要となっているのは、来日した子どもたちが住んでいる場所や経済的事情によって受け取れる日本語レッスンの量や質に大きな差が出ないようにすること、誰一人取り残されることのない、オールインクルーシブな環境づくりです。

加えて今はICT(情報通信技術)や、AI(人工知能)技術も活用した多角的な環境整備が不可欠です。さらに、そうした環境を安定的に作り出すために、技術面の拡充、サポートの要となる子どもの日本語の研究や、キッズに直接日本語を届ける支援者の育成も必要となっています。

ですが実際の現場ではこれらの整備がなかなか追い付いていないことが課題でもあります。

まとめ

このようにキッズの日本語レッスンは様々なニーズがあるにも関わらず、その対応の難しさとノウハウやリソース不足により、十分なものが存在していないという現実があります。

では日本語のキッズレッスンはどんなものが理想なのでしょう。大人の日本語レッスンとはどこがどう違うのでしょうか。

次回、第2回では大人レッスンと子どもレッスンの違いについてお話ししていきます。次回もどうぞお楽しみに!

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>